昨年11月26日に77歳で逝去したイタリアの映画監督、ベルナルド・ベルトルッチを追悼して代表作を特集上映。ベルトルッチの原点、半自伝的な長編第2作「革命前夜」、ドストエフスキー原作の「ベルトルッチの分身」、ボルヘスの短編小説に着想を得た「暗殺のオペラ」、ファシズムへ傾倒していく青年を描いた「暗殺の森」、そして遺作となった『孤独な天使たち』の計5作品を一挙上映、ベルトルッチの軌跡を辿ります。
■ベルナルド・ベルトルッチ略歴
1941年、著名な詩人アッティリオ・ベルトルッチの息子としてイタリア・パルマに生まれる。ピエル・パオロ・パゾリーニの下で助監督などを務め、1962年にパゾリーニ原作の『殺し』で監督デビュー。2作目の『革命前夜』(1964)でカンヌ国際映画祭新評論家賞を受賞し、20代にして世界的な評価を受けた。その後も『暗殺のオペラ』(1969)、『暗殺の森』(1970)など映画史に残る作品を発表。『ラスト・タンゴ・イン・パリ』(1972)では、大胆な性描写が物議を醸したが、主演のマーロン・ブランドと、ベルトルッチはアカデミー賞にノミネートされた。坂本龍一が音楽を担当し、清朝最後の皇帝・溥儀の人生を描く『ラストエンペラー』(1987)は、作品賞・作曲賞を含むアカデミー賞9部門で受賞。坂本はその後、『シェルタリング・スカイ』(1990)、『リトル・ブッダ』(1993)でもベルトルッチ作品の音楽を担当。『ドリーマーズ』(2003)以降、体調不良のため監督作がなかったが、デビュー50周年となる2012年に『孤独な天使たち』を発表。2013年には第70回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で審査委員長を務めるなど精力的に活動していた。2018年11月26日自宅で死去。
上映作品
革命前夜
1964年/イタリア/112分/BD
◎監督・原案・脚本:ベルナルド・ベルトルッチ ◎原案・脚本:ジャンニ・アミーコ◎撮影:アルド・スカバルダ◎音楽:エンニオ・モリコーネ、ジーノ・パオリ◎出演:アドリアーナ・アスティ、フランチェスコ・バリッリ、アレン・ミジェット
◆マルクス主義に傾倒するファブリツィオは、ブルジョア階級の婚約者との別れを決める。しかし、友人の死や若い叔母との近親相姦、希望の見えない没落地主を目の当たりにし、思想が揺らぎ始める。スタンダールの名作「パルムの僧院」を下敷きにしたベルトルッチ監督長編第2作。様々な映画手法を駆使し、当時のベルトルッチのヌーヴェル・ヴァーグへの傾倒ぶりが窺われる作品。
ベルトルッチの分身
1968年/イタリア/109分/BD
◎監督・脚本:ベルナルド・ベルトルッチ◎原案・脚本:ジャンニ・アミーコ◎撮影:ウーゴ・ピッコーネ◎美術:フランチェスコ・トゥリオ・アルタン◎音楽:エンニオ・モリコーネ◎出演:ピエール・クレマンティ、ティナ・オーモン、ステファニア・サンドレッリ、セルジョ・トファーノ
◆大学で教鞭をとる孤独な青年ジャコブはある夜、友人の若い男を突然ピストルで撃ち殺す。後日、好意を抱いているクララの誕生日会で奇抜な振る舞いをして会場から追い出されてしまった帰り道、ジャコブの前に巨大な影が現れて‥。ベルトルッチ初のオールカラー作品。分身の影が巨大化していく描写はカール・ドライヤーの『吸血鬼』を彷彿させる。
暗殺の森
1970年/イタリア=フランス=西ドイツ/110分/DCP
◎監督・脚本:ベルナルド・ベルトルッチ◎原作アルベルト・モラビア◎撮影:ビットリオ・ストラーロ◎編集:フランコ・アルカッリ◎音楽ジョルジュ・ドルリュー◎出演:ドミニク・サンダ、ジャン=ルイ・トランティニャン、ピエール・クレマンティ、ステファニア・サンドレッリ
◆第二次世界大戦前夜のヨーロッパを舞台に、幼少期の性的トラウマを抱える青年がファシストの暗殺者へと変貌を遂げるさまを描く。主人公の心象風景としてファシズムに席巻されたヨーロッパの荒廃をたくみに表現したデカダンス風味のフィルム・ノワール!孤独な暗殺者の愛と挫折を鮮烈な映像美で描いた、ベルトルッチの傑作!
暗殺のオペラ
1970年/イタリア/99分/DCP
◎監督・脚本:ベルナルド・ベルトルッチ ◎原作ホルヘ・ルイス・ボルヘス ◎脚本:マリル・パロリーニ、
エドゥアルド・デ・グレゴリオ◎撮影:ビットリオ・ストラーロ、フランコ・ディ・ジャコモ◎音楽:ベルディ、シェーンベルク◎出演:アリダ・バリ、ピッポ・カンパニーニ、ジュリオ・ブロージ
◆現代ラテン・アメリカ文学の鬼才ホルヘ・ルイス・ボルヘスの伝奇集を原作に、舞台を北イタリアの架空の町に置き換え脚色。ファシストによって暗殺された父の死の真相を探るアトスはやがて驚愕の真実にぶつかり…。日没直後のわずかな時間にとらえられた深いブルーの風景、官能的ともいえる光と影のコントラスト、流麗な移動撮影による時間表現等、物語世界を幻惑的にみせ圧巻の映像美がスクリーンに炸裂!
孤独な天使たち
2012年/イタリア/97分/DCP
◎監督・脚本:ベルナルド・ベルトルッチ◎原作・共同脚本:ニッコロ・アンマニーティ◎撮影:ファビオ・チャンケッティ◎美術:ジャン・ラバッセ◎音楽:フランコ・ピエルサンティ◎出演:ヤコポ・オルモ・アンティノーリ、テア・ファルコ、ソニア・ベルガマスコ、ベロニカ・ラザール、トマーゾ・ラーニョ
◆少し風変わりで独りが好きな14歳のロレンツォは両親に嘘をついて、学校のスキー旅行に行かずに、自分の住むアパートの地下で暮らそうと計画するが、思いがけず少し年上の異母姉妹のオリヴィアが現れたことで、すべてが一変する…。巨匠ベルナルド・ベルトルッチの監督デビュー50周年を飾りながらも遺作となったメモリアルな青春映画。
入場料金
前売券
前売1回券1200円 ※劇場窓口、チケットぴあ、セブンイレブン、ファミリーマート、他にて販売中!(Pコード:467-760)
当日券
一般1500円、学生・シニア1100円、会員1000円
※連日朝より当日分の整理番号つき入場券の販売を開始します。
ご入場は各回10〜15分前より整理番号順となりますので、前売券なども受付にて入場券とお引き換えください。
インターネットチケット販売スタート
ご鑑賞の7日前よりインターネット・劇場窓口で日時指定の整理番号付きチケット販売を開始。前売券なども予め窓口で日時指定の整理番号付きチケットにお引換えできます。詳しくはこちら