薩チャン 正ちゃん~戦後民主的独立プロ 奮闘記~ &独立プロ映画 特集上映

上映作品

薩チャン 正ちゃん~戦後民主的独立プロ 奮闘記~

薩チャン 正ちゃん~戦後民主的独立プロ 奮闘記~2015年/94分/日本
◎監督・脚本:池田博穂◎撮影:野間健◎録音:本田孜◎音楽:小林洋平◎編集:栗原洋平◎朗読:中原ひとみ、江原真二郎、赤塚真人◎出演:早乙女勝元、山田洋次、高部鐵也、宮古とく子、香川京子、山本圭、降旗康男、高橋エミ、劉文兵、山本薩夫

◆終戦直後、映画の民主化と労働の在り方を巡って争われた東宝争議。これによって東宝を解雇された人々や、レッドパージで映画会社から追放された人々は、自分たちの望む映画を作ろうと、独立プロダクションを立ち上げ、次々と映画製作に乗り出す。「暴力の街」の山本薩夫監督、「どっこい生きてる」の今井正監督を中心に、新藤兼人や亀井文夫、吉村公三郎など、戦後、独立プロを立ち上げて活躍した人々の歩みを、関係者の証言などから辿ったドキュメンタリー。

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真空地帯

真空地帯(1952年/白黒/スタンダード/129分)
監督:山本薩夫 原作:野間宏
出演:木村功、下元勉、三島雅夫

◆野間宏の実体験に基づく同名小説を、山本薩夫が映画化。軍隊内部に蔓延する暴力、いじめ、理不尽な命令などを描く反戦映画。原作は毎日出版文化賞を受賞している。
士官の財布を盗んだとして、木谷は陸軍刑務所に二年間服役。出所した木谷は軍の内務班に復帰した。班の内部では班長をはじめ古参兵たちが。初年兵をいじめていた。特に一等兵の曾田は大学出ということもあり、日常的に暴力を受けていた。しかし木谷だけはそんないじめには加担していなかった。曾田は木谷に好意を寄せ親しくなるが、木谷の野戦送りの人員に選ばれることを知ってしまう。木谷が刑務所へ送られたのも、野戦送りの人員に選ばれたのも、すべては派閥争いによるものだった。

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姉妹

姉妹(1955年/白黒/スタンダード/95分)
監督:家城巳代治 原作:畔柳二美
出演:野添ひとみ、中原ひとみ、内藤武敏

◆毎日出版文化賞を受けた畔柳二美の小説を、新藤兼人と家城巳代治が脚色し、家城巳代治が監督。
圭子と俊子の姉妹は、山の中の発電所の社宅に住む両親のもとをはなれ、学校に通うために、都会の伯母の家に厄介になっていた。姉の圭子は十七歳、五人姉弟の少女のせいか家庭的な大人しい性質だが、妹の俊子は三つ年下の天真らんまん型。性格が正反対の二人姉妹の成長を描く心温まるドラマ。

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荷車の歌

荷車の歌(1959年/白黒/シネマスコープ/144分)
監督:山本薩夫 原作:山代巴
出演:三國連太郎、望月優子、岸輝子


◆全国農村映画協会婦人部がカンパで3200万円を集めて製作されたという、当時では大変珍しい投資型の映画。明治から昭和20年代まで農村で時代に揉まれ苦難に耐えながら生きる女の一代記を描く。
広島県の山奥の村。地主の屋敷に女中奉公するセキは、郵便配達夫の茂市に求婚された。茂市は、一銭も月給の上らない配達夫を止めて、荷車ひきになると言った。茂市に好意を感じていたセキは、勘当の身となりながらも嫁いだ。二人は、一台ずつ荷車を引いては村を出て、往復十里の道を町へ通った。
三國連太郎と望月優子が迫真の名演を見せる。

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太陽のない街

太陽のない街(1954年/白黒/スタンダード/140分)
監督:山本薩夫 原作:徳永直
出演:日高澄子/桂通子/原保美
提供:東京国立近代美術館フィルムセンター

◆大正末期、“太陽のない街”と呼ばれているトンネル長屋が、東京下町の日当りの悪いドブ川を挟んでいた。人々は近くの大同印刷に勤め、低賃金でようやく生活を支えていた。しかし会社は突然三十人の首切りを発表した。人々は生活権の擁護のため、争議をもって応じたが、警察の弾圧、生活苦などは日に日につのり…。原作者である徳永直が自ら体験した共同印刷争議をモデルに描いたプロレタリア文学の代表作「太陽のない街」の映画化。 当時のトンネル長屋を再現するため、現在の駒沢公園の地形を利用して広大なオープンセットを建設し、撮影を敢行した。

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キクとイサム

キクとイサム1959年/白黒/シネマスコープ/116分)
監督:今井正 脚本:水木洋子
出演:高橋エミ子、奥の山ジョージ、北林谷栄

◆水木洋子のオリジナル脚本を今井正が監督し映画化。会津磐梯山の農村を舞台に、戦後日本の人種差別を真正面から描いたドラマ。
小学校六年のキクと四年のイサムは黒人と日本人のハーフで、祖母のしげに育てられていた。二人は、町へ出れば好奇の目にさらされ、学校へ行けば「クロンボ」と罵られた。ある日、カメラを持った男が村を訪れ、イサムの写真を撮っていった。気になったキクはしげにそのことを告げるが、しげは姉弟のどちらかを養子縁組に出すと言い出す。

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暴力の街

暴力の街(1950年/白黒/スタンダード/111分)
監督:山本薩夫
出演:志村喬/原保美/池部良

提供:東京国立近代美術館フィルムセンター

◆警察や町議員にまで手を回して町を支配するボスの不正を暴くためにペンを武器に圧力と闘う記者たちの姿を描いた社会派ドラマ。朝日新聞浦和支局の暴力追放キャンペーン記事『ペン偽らず』をもとに実在した事件をセミ・ドキュメンタリーで再現した。埼玉のとある町では、暴力団が検察、警察、公安や町議にいたるまで支配しており、善良な市民は恐れと不安に怯えて暮らしていた。この真相追究に立ち上がった新聞記者たちは調査を開始するが…。日映演傘下の東宝、松竹、大映等の各撮影所のスタッフ・俳優らが結集。既成会社の枠をはずした画期的な映画製作となった。

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愛すればこそ

愛すればこそ(1955年/白黒/スタンダード/84分)
監督:吉村公三郎、今井正、山本薩夫
脚本:新藤兼人、山形雄策
出演:乙羽信子、香川京子、山田五十鈴


◆近代映画協会の呼びかけによって、独立プロ運動支援のため、近代映協、中央映画の全プロデューサーが製作にあたった独立プロのオムニバス映画。脚本は新藤兼人と山形雄策が担当。監督は「花売り娘」を吉村公三郎、「飛び込んだ花嫁」を今井正、「愛すればこそ」を山本薩夫がそれぞれ一話ずつメガホンを取った。出演も乙羽信子、香川京子、山田五十鈴など豪華な面々だが、全スタッフ、キャスト共に無給で取り組んだ。

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ともしび

ともしび(1954年/白黒/スタンダード/97分)
監督:家城巳代治
出演:香川京子/内藤武敏/増田順二

◆沼に囲まれた貧しい小さな村の中学の松熊先生は本も買えない生徒達を励ましながら一生懸命教え、皆の人気者だった。ところが松熊先生の新しい教育手法が村の人々に誤解され、ある事件がもととなって、先生は転任させられる。農村周辺のオール・ロケ作品。貧しい小さな村で周囲の反感を買いながらも新しい教育を進めた教師とその教え子たちを描いたヒューマンドラマ。

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橋のない川 第一部

橋のない川 第一部(1969年/白黒/シネマスコープ/127分)
監督:今井正 原作:住井すゑ
出演:北林谷栄/長山藍子/伊藤雄之助

◆明治末年。奈良盆地の一隅にある貧しい被差別部落。日露戦争で父を亡くした誠太郎、孝二の兄弟は、伸び伸びと育っていたが、被差別部落民に対する世間の偏見はひどく、明治四年に公布された解放令も名ばかりで、就職、結婚も思うようにいかないのが現実だった。住井すゑのベストセラー小説を今井正が映画化した社会劇。明治から大正にかけて、人間の尊厳をかけて激しく生き抜いた人々を描く。

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橋のない川 第二部

橋のない川 第二部(1970年/白黒/シネマスコープ/140分)
監督:今井正 原作:住井すゑ
出演:北林谷栄/伊藤雄之助/長山藍子

◆「橋のない川 第一部」の後編。孝二は高等科を卒業して故郷の小森で靴職人となっていた。一方、兄・誠太郎は大阪の米問屋に奉公していた。その頃日本は軍国主義への道をひた進み、米価は高騰し、“米よこせ”運動が小森部落にも波及するのだったが…。明治末期の奈良盆地の未解放部落を舞台に、根強く残る差別を乗り越え“全国水平社”を創立した貧しい兄弟の姿を描いた作品の第二部完結編。。

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浮草日記

浮草日記(1959年/白黒/シネマスコープ/116分)
監督:山本薩夫 原作:真山美保
出演:東野英治郎、島津恵子、高橋昌也


◆旅廻りの市川馬五郎一座。馬五郎には、おけいという養女がいた。おけいと一座の市川吉次とはお互いに惚れあっていた。一座は悪徳行師にあって、貧乏のどん底におちてしまう。解散の一歩手前、炭鉱町に乗り込み座員の必死の呼込が功を奏して小屋は久々の満員となるが…。貧乏な旅一座が、解散前に立ち寄った炭鉱町でストライキに巻き込まれる顛末を描いた喜劇。

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雲ながるる果てに

雲ながるる果てに(1953年/白黒/スタンダード/100分)
監督:家城巳代治
出演:鶴田浩二、木村功、岡田英次

◆白鴎遺族会による『雲ながるる果てに-戦没飛行予備学生の手記』をもとに、神風特別攻撃隊の悲劇を描いた反戦ドラマ。
昭和二十年、九州の特攻隊基地が米軍機により襲撃を受けた。この攻撃により、出撃を待っていた学徒隊の秋田は死亡、深見は負傷してしまう。夫の死を知らずに基地を訪れた秋田の妻は、位牌を見て泣き崩れた。大滝と深見は出撃命令を待つが、連日の雨でなかなか命令が下りてこない。やがて雨が上がり、松井が出撃することになった。松井は深見に「戦争のない国で待ってる」と告げて飛び立っていった。太平洋戦争末期、本土南端の特攻隊の基地を舞台に、日本軍が苦境に立つ中で出撃を待つ若き特攻隊員たちの青春を描く、松竹退社後最初の家城巳代治監督作品。

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にごりえ

にごりえ(1953年/白黒/スタンダード/130分)
監督:今井正 原作:樋口一葉
出演:田村秋子、丹阿弥谷津子、淡島千景

◆樋口一葉の短編小説「十三夜」「大つごもり」「にごりえ」をオムニバス形式で映画化した作品。明治時代、市井の片隅に生きた女たちの苦悩と哀しみを切々と描く。キャストは、文学座員の他に久我美子、淡島千景、杉村春子ら演技派スターが顔を揃える。
モノクロの映像が詩的で美しい、今井正監督最高傑作のひとつ。

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どっこい生きてる

どっこい生きてる(1951年/白黒/スタンダード/103分)
監督:今井正
出演:河原崎長十郎/河原崎しづ江


◆レッドパージで追われた映画人らが作った戦後独立プロ運動の頂点に輝く傑作。日雇いの仕事で暮らす毛利は、大家に、家の取り壊しを行うので出て行くように言われる。妻と子供二人を妻の実家に送り出した毛利は、旋盤工の会社に採用されるが、給料前の前借りを頼んだことから不信をもたれ、翌日クビになってしまう…。戦後の求職難の時代、朝早くから職安の窓口に殺到する失業者たち。一家の離散や心中事件などを通し、戦後の貧困問題をリアルに描く。イタリアン・ネオレアリスモに影響を受けた今井正が、人間味豊かに描いた意欲作。

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入場料金

前売券

特別鑑賞券1,000円 ※『薩チャン正ちゃん〜』もしくは【独立プロ特集】いずれか1作品ご鑑賞頂けます。
※特別鑑賞券は劇場窓口、チケットぴあ、セブンイレブン、サークルKサンクス(以上Pコード:466-325)他にて好評販売中!

当日券

『薩チャン正ちゃん 〜戦後民主的独立プロ奮闘記〜』
一般1,700円/学生1,400円/シニア1,100円/会員・高以下1,000円

【独立プロ映画 特集上映】
一般1,400円/学生1,200円/シニア1,100円/会員1,000円/高以下800円(『薩チャン〜』半券提示で1,000円)
当日3回券3,600円/シニア3回券3,000円/会員2,700円

※連日朝より当日分の整理番号つき入場券の販売を開始します。
ご入場は各回10〜15分前より整理番号順となりますので、前売券なども受付にて入場券とお引き換えください。

スケジュール

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