没後10年 野村惠一監督特集

濱口竜介監督特集上映 言葉と乗り物

濱口竜介最新作『偶然と想像』までの濱口竜介の歩みをたどる監督作をセレクトし特集上映します。
ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞した『偶然と想像』、そしてカンヌ国際映画祭では『ドライブ・マイ・カー』が4冠、その後各国での受賞・ノミネートの嵐が止まらない、いま世界でもっとも注目される映画作家となった濱口竜介。
大学在学中に映画研究会で撮られた8mm作品ながらすでに濱口映画の特徴が詰まった『何食わぬ顔』、世界に発見されるきっかけとなった初期代表作『PASSION』、軽妙でかつスリリング極まりないコメディ『永遠に君を愛す』、日韓共同制作の体制に応答するかのように様々なボーダーを横断する『THE DEPTHS』、俳優ワークショップから出発し舞台劇制作そのものを組み込んだ4時間超の青春映画『親密さ』、100年残る記録映画を目指して「語り」を捉えた東北記録映画三部作(『なみのおと』『なみのこえ 気仙沼/新地町』『うたうひと』)、来るべき長編へのパイロット版として構想された『不気味なものの肌に触れる』、演技未経験の出演陣とこれまでの演出方法を磨き上げ現代映画のひとつの到達点となった『ハッピーアワー』、そして『偶然と想像』にも繋がる軽やかさを纏った『天国はまだ遠い』。
濱口映画に欠かせない「言葉」、そしてさまざまな「乗り物」━━濱口竜介のフィルモグラフィーを見つめると、一貫した、複数の主題があり、作品ごとでの挑戦があり、それがさらに次の作品へと繋がっていることが浮かび上がってきます4。
いま改めて、そして初めて、濱口竜介作品をスクリーンで発見してください。

■濱口竜介監督略歴

濱口竜介(はまぐち・りゅうすけ)1978年神奈川県生まれ。2008年、東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作『PASSION』がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスに出品され話題を呼ぶ。その後は日韓共同制作『THE DEPTHS』(10)、東日本大震災の被害を受けた人々の「語り」をとらえた『なみのおと』、『なみのこえ』、東北地方の民話の記録『うたうひと』(11~13/共同監督:酒井耕)、4時間を超える虚構と現実が交錯する意欲作『親密さ』(12)などを監督。15年、映像ワークショップに参加した演技経験のない4人の女性を主演に起用した5時間17分の長編『ハッピ—アワー』が、ロカルノ、ナント、シンガポールほか国際映画祭で主要賞を受賞。商業映画デビュー作『寝ても覚めても』(18)がカンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出され、共同脚本を手掛けた黒沢清監督作『スパイの妻〈劇場版〉』(20)ではヴェネチア国際映画祭銀獅子賞に輝く。『偶然と想像』は第71回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞(審査員グランプリ)受賞、『ドライブ・マイ・カー』(21)では、第74回カンヌ国際映画祭にて脚本賞に加え、国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞も同時受賞。その後も世界各地での受賞が相次ぎ、いま、世界から最も注目される映画作家の一人として躍進を続けている。

 

上映作品

何食わぬ顔(long version)

何食わぬ顔(long version)2002年/98分
監督・脚本・編集=濱口竜介/撮影=渡辺淳、濱口竜介、東辻賢治郎/録音=井上和士/音楽=David Nude、ROMAN
出演=松井智、濱口竜介、岡本英之、遠藤郁子、石井理絵 ほか

◆友人に言われるままに亡兄の遺作となる8ミリ映画を撮影する野村。彼の煮え切らない態度が周囲を戸惑わせる。東京大学映画研究会にて全編8ミリフィルムで撮影された本作は、濱口が敬愛するジョン・カサヴェテス『ハズバンズ」(70)の影響が色農い。映画内映画の緻密な構成など、濱口映画のエッセンスがすでに本作には詰まっている。

 

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PASSION

PASSION2008年/115分
監督・脚本=濱口竜介/撮影=湯澤祐一/照明=佐々木靖之/録音=草刈悠子/編集=山本良子
出演=河井青葉、岡本竜汰、占部房子、岡部尚、渋川清彦 ほか


◆結婚間近の果歩と智也を祝う席上、智也の過去の浮気が発覚し...。男女5人が揺れ動く一夜を描いた群像劇。渋川清彦、河井青棄、占部房子と、「偶然と想像』や濱口作品の常連になる俳優たちが結集している。第56回サン・セバスチャン国際映画祭、第9回東京フィルメックスヘ出品され映画作家・濱口竜介が世界に発見されるきっかけとなった初期代表作。

 

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永遠に君を愛す

永遠に君を愛す2009年/58分
監督=濱口竜介/脚本=渡辺裕子/撮影=青木穣/照明=後閑健太/録音=金地宏晃、上條慎太郎/編集=山崎梓/音楽=岡本英之
出演=河井青葉、杉山彦々、岡部尚、菅野莉央、天光眞弓、小田豊 ほか

◆結婚式当日を迎えた永子には婚約者・誠一に言い出せない秘密があった。『PASSION』に出演した河井青葉と岡部尚が出演し、同作とは反転したような役柄を演じている。秘密と本音が明らかになっていくスリリングさを基調としつつ、突拍子もない展開に笑ってしまうような要素にも満ちた中編作品。

 

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THE DEPTHS

THE DEPTHS2010年/121分
監督=濱口竜介/脚本=大浦光太、濱口竜介/撮影監督=ヤン・グニョン/照明=後閑健太/録音=金地宏晃/編集=山崎梓/音楽=長嶌寛幸
出演=キム・ミンジュン、石田法嗣、パク・ソヒ、米村亮太朗、村上淳 ほか

◆韓国人カメラマン・ペファンは日本滞在中に男娼のリュウをモデルとして見出すも、過酷な運命が二人を待つ。濱口作品初参加となった石田法嗣が、さまざまな境界を取り払っていくリュウを演じる。東京藝術大学と韓国国立映画アカデミーによる共同製作作品で、キャストだけでなくスタッフも日韓混成チームで制作された。

 

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親密さ

親密さ2012年/255分
監督・脚本=濱口竜介/舞台演出=平野鈴/撮影=北川喜雄/編集=鈴木宏/整音=黄永昌/劇中歌=岡本英之
出演=平野鈴、佐藤亮、田山幹雄、伊藤綾子、手塚加奈子、新井徹、菅井義久、香取あき ほか

◆ENBUゼミナールの映像俳優コースの修了作品としてスタートした企画。「親密さ」という演劇を作り上げていく過程をフィクションとして演じる前半と、実際の上演を記録し映画として構成した後半の二部構成で描かれる傑作青春群像劇。現実と虚構が複雑に交錯し続け、虚実の彼岸にあるリアリティーの核心が胸を揺さぶる。

 

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なみのおと

なみのおと2011年/142分
監督=濱口竜介、酒井耕/撮影=北川菖雄/整音=黄永昌

◆津波被害を受けた三陸沿岸部に暮らす人々の対話を撮り続けたドキュメンタリー。親しいもの同士が震災について見つめ合い、語り合う口承記録の形が取られている。未曾有の事態に対してカメラは何を記録し、この被災を伝え続けることができるのか。被災地の悲惨な映像ではなく、映画が「良き伝承者」となるよう、対話と、そこから生成される人々の感情を記録しようとする。

 

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なみのこえ 気仙沼

なみのこえ 気仙沼2013年/109分
監督=濱口竜介、酒井耕/実景撮影=北川喜雄/整音=黄永昌

◆2012年1月から2013年3月に行われた宮城県気仙沼市に暮らす7組11名への対話形式インタピューの記録。『なみのおと』から一年が経ち、「被災者」の声ではなく、現実にそこに生きる「一人ひとり」の声として対話が記録された。発言は、当事者による一次情報としてただ提示されるのではなく、カメラは声の抑揚や発言者や開き手の表情など言葉に還元できない要素を捉える。

 

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なみのこえ 新地町

なみのこえ 新地町2013年/103分
監督=濱口竜介、酒井耕/実景撮影=北川喜雄/整音=鈴木昭彦

◆2012年1月から2012年6月に、福島第一原子力発電所から約50キロ離れた場所に位置する福島県新地町に暮らす6組10名への対話形式インタビュー。三部作に共通して、両監督が聞き手として、カメラを正面から向けられる被写体としても登場することから、制作者の倫理的な態度が窺える。「聞く」ことで得られる「いい声」という経験は、その後制作した『ハッピーアワー』にも大きく示唆を与えた。

 

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うたうひと

うたうひと2013年/120分
監督=濱口竜介、酒井耕/撮影=飯岡幸子、北川喜雄、佐々木靖之/整音=黄永昌

◆100年先への被災体験の伝承という課題に対して、東北地方伝承の民話語りから示唆を得て、みやぎ民話の会の小野和子を聞き手に迎え、伝承の民話語りが記録された。語り手と聞き手の間に生まれる民話独特の「語り/聞き」の場は、創造的なカメラワークによって記録されることで、スクリーンに再現される。映画と民話の枠を超えた新たな伝承映画。

 

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不気味なものの肌に触れる

不気味なものの肌に触れる2013年/54分
監督=濱口竜介/脚本=高橋知由/撮影=佐々木靖之/音響=黄永昌/音楽=長嶌寛幸/振付=砂連尾理出演=染谷将太、渋川清彦、石田法嗣、瀬戸夏実、村上淳、河井青葉、水越朝弓 
ほか

◆千尋は父を亡くして、腹違いの兄・斗吾が彼を引き取る。斗吾と彼の恋人・里美は千尋を暖かく迎えるが、千尋の孤独は消せない。千尋が夢中になるのは、同い年の直也とのダンスだ。しかし、無心に踊る彼らの街ではやがて不穏なできごとが起こりはじめる…。来るべき長編映画『FLOODS』のパイロット版でもある異色作。

 

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ハッピーアワー

ハッピーアワー2015年/317分
監督=濱口竜介/脚本=はたのこうぽう(高橋知由、野原位、濱口竜介)/撮影=北川喜雄/照明=秋山恵二郎/録音=松野泉/音楽=阿部海太郎
出演=田中幸恵、菊池葉月、三原麻衣子、川村りら ほか

◆30代も後半を迎えた、あかり、桜子、芙美、純の4人は、なんでも話せる親友同士だと思っていた。純の秘密を知るまでは…。市民参加による「即興演技ワークショップinKobe」から誕生した。ほとんどの登場人物を演技未経験者がつとめ、これまでにない試みでつくりあげた三部構成の本作は、ロカルノ国際映画祭で最憂秀女憂賞を受賞した。

 

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天国はまだ遠い

天国はまだ遠い2016年/38分
監督・脚本=濱口竜介/撮影=北川喜雄/録音=西垣太郎/整音=松野泉/音楽=和田春
出演=岡部尚、小川あん、玄理

◆AVのモザイク付けを生業とする雄三は、女子高生の三月(みつき)と奇妙な共同生活を送っている。ある日、三月の妹から雄三に一本の電話が入る。見える/見えない/見せないこと、カメラを向ける/向けられるなど、過去作とも共通した主題が現れつつ、不思議な爽快感も残す。当初クラウドファンディングのリターンとして企画された短編作品。

 

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入場料金

当日券

一般1,500円/学生・シニア1,100円/会員・高校生以下1,000円

※ご鑑賞当日はオンライン予約の方は専用窓口で発券、当日券は受付窓口 で指定席をお選びの上ご購入ください。開始時間の10〜15分前からご入場いただきます。
前売券なども受付にて座席指定券とお引き換え下さい。1週間前よりオンライン&窓口でご購入いただけます(ただし、前売券は窓口のみ。)
<全席指定席>となります。満席の際はご入場出来ませんので、ご了承下さい。
オンラインチケットはこちら

スケジュール

スケジュール

 

[大阪]シネ・ヌーヴォ
2021年12月30日(木)『ハッピーアワー』上映/特集期間:2022年1月29日(土)〜2月11日(金)

[神戸]元町映画館
2021年12月25日(土)〜30日(木)『ハッピーアワー』上映(以降随時発表)

[京都]京都みなみ会館
2022年1月2日(日)〜1月6日(木)『ハッピーアワー』上映(以降随時発表)

[京都]出町座
2022年1月7日(金)~「東北記録映画三部作」および『親密さ(shortver.)』上映(以降随時発表)
◉特集上映日程、上映プログラム、割引料金は劇場によって異なります。最新の上映情報は各劇場HPにてご確認ください。

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