東陽一略歴(Higashi Yoichi)
◆1934年、和歌山県生まれ。1954年、早稲田大学文学部に入学、内外の文学作品を耽読するかたわら、映画館にも足繁く通った。58年、卒業と同時に岩波映画製作所に入社。主として黒木和雄のもとで助監督につく。62年に退社。黒木や土本典昭、小川紳介、岩佐寿弥ら元岩波映画の仲間たちと「青の会」を結成。ひたすら作りたい映画について議論を重ねる。63年、初の監督作品『A FACE』でその斬新な映像表現が注目される。その後、「映像芸術の会」に参加、評論も手掛け、69年、東プロダクションを岩波映画の仲間だった高木隆太郎と創立して、軍事基地の島、沖縄の実相に迫った長編記録映画『沖縄列島』(1969)を監督。全国的な自主上映活動を行い、画期的な成功を収める。71年には初の劇映画『やさしいにっぽん人』を監督。70年安保反対闘争後の若者の心情を東京・新宿と沖縄の二つに主舞台を据えることで、微妙な味わいのある映像表現の中に日本人の意識構造をも照らし出し、日本映画監督協会新人賞を受賞する。73年、東プロダクションを改組し、「青林舎」を発足。同年、民話的妖怪サトリを登場させ、現代人の不安を追求した『日本妖怪伝・サトリ』を監督。75年、青林舎を離れ、77年に前田勝弘と幻燈社を創りATGと提携し寺山修司脚本で元高校野球の三塁手を主人公に青春の断面を鮮やかに切り取った『サード』を撮り、78年度キネマ旬報ベストテン第1位を獲得、同監督賞など各映画賞を独占。79年にもATGで女子大生の愛と性と風俗をヴィヴィッドに描いた『もう頬づえはつかない』を発表。若い女性たちを中心に圧倒的な支持を得て、ATG史上異例の観客動員に成功する。80年以降は、現代女性の生を瑞々しく描いた快作を、時代時代の人気女優を主役に据えて次々と発表。シナリオなしで五木寛之原作の映像化を試みた『四季・奈津子』(80)、『マノン』(81)、『セカンド・ラブ』(83)、『湾岸道路』(84)と作品を積み重ね、「銀座の女」の変身を描いた渡辺淳一原作の『化身』(86)をヒットさせ、女性映画の巨匠としての地位を揺るがないものにした。92 年、住井すゑ原作の被差別部落の歴史を描いた歴史大作『橋のない川』で毎日映画コンクール監督賞などを受賞。90年代以降は、青林舎を改組した「シグロ」の山上徹二郎プロデューサーとコンビを組んで数々の作品を発表。96年の『絵の中のぼくの村』はベルリン国際映画祭銀熊賞、2000年の『ボクの、おじさん』はベルリン国際映画祭パノラマ・スペシャル部門への招待作品、2003年の『わたしのグランパ』は第27回モントリオール世界映画祭で最優秀アジア映画賞、2004年の『風音』は第28回モントリオール世界映画祭でイノベーション賞を受賞するなど、国内にとどまらず海外でも高い評価を得る。6年ぶりに発表した『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』(10)で第20回日本映画批評家大賞監督賞を受賞。同年、バリアフリー官能映画「エロバリ(エロティック・バリアフリー)」シリーズに挑戦し、東ヨーイチの名義で作品を発表。昨年は82歳にして『だれかの木琴』を発表、巨匠でありながら瑞々しい映像表現で見るものを驚かした。東の劇映画には今回上映出来なかった『湾岸道路』(84年/東北新社・幻燈社)がある。権利の問題から残念ながら上映できなかったが、いつか上映したいと思っている。著書に『午後4時の映画の本』(79年/パンドラ社)、『映画と風船〜ぼくと映画と女優たち』(80年/パンドラ社)、『映画美術の情念』(92年/内藤昭との共著/リトルモア)。岩波映画以来の盟友、小川紳介、土本典昭、黒木和雄、岩佐寿弥、大津幸四郎らが死去。岩波出身でメジャーではない独立プロ出身の監督として、いまや日本映画の至宝のような存在である。今後も活躍を期待したい監督である。
上映作品
岩波映画で黒木和雄監督の助監督に付いて以来の盟友であり、多彩な映画を発表してこられた東陽一監督。69年、復帰前の沖縄を描いた『沖縄列島』で長編デビュー。71年の初の劇映画『やさしいにっぽん人』は沖縄と本土を通し日本人の意識構造に迫る問題作だった。以後も日本人の深層心理、愛と性と風俗を見つめた多様な作品を発表。昨年は82歳にして最新作『だれかの木琴』を監督した東陽一の全貌に迫る!
A FACE
1964年/JETRO/16ミリ→DVD/白黒スタンダード/24分(英語版)
監督・脚本:東陽一/撮影:島津/写真撮影:山田脩二/録音:久保田幸雄 ■出演:芳村真理、少年
♦東陽一の監督デビュー作。東京オリンピックを控え、米国・カナダのTV放送用に作られた6人の監督による6本の「日本紹介番組」のうちの1本。斬新な映像表現が注目された。
沖縄列島
1969年/東プロダクション/長編ドキュメンタリー映画/35ミリ/白黒スタンダード/90分
監督・脚本・編集:東陽一/製作:高木隆太郎/撮影:池田伝一/録音:久保田幸雄、本間喜美雄/音楽:松村禎三/ナレーション:岡村春彦 、 村松克巳/ナレーション:岡村春彦 、 村松克巳
◆1972年に返還された沖縄。しかし、復帰前と現在はどう変わったというのか! 「私は今日も爆音の中で眠るのだ」――1968年、戦後23年が経過した沖縄。基地に囲まれた返還前の日常を鋭く深くとらえる。東陽一初の長編映画で、当時自主上映され、大阪では会場となった映画館のビルを人列が取り囲み大反響を巻き起こした。いまもオスプレイ配備問題など眠れない日々が続く沖縄。いまこそ見てほしい問題作。
やさしいにっぽん人
1970年/東プロダクション/35ミリ/白黒スタンダード/118分
監督:東陽一/脚本:東陽一、前田勝弘/製作:高木隆太郎/撮影:池田伝一/音楽:東陽一、田山雅光/美術:平田免郎、永沼宗夫/録音:久保田幸雄/照明:鈴木直秀/編集:東陽一、関沢孝子/助監督:前田勝弘、石渡邦夫、栗原剛志 ■出演:河原崎長一郎、緑魔子、伊丹十三、伊藤惣一、石橋蓮司、蟹江敬三、寺田柾、横山リエ、渡辺美佐子、大辻伺郎、平田守、桜井浩子、東山千栄子、秋浜悟史、陶隆
◆前作に続き沖縄の心を、今度はフィクションで迫った初の劇映画。昭和20年、沖縄戦での集団自決を生きのびた赤ん坊であり、今は何もそのことを記憶していないという暗示的な運命を持つ「シャカ」と呼ばれる青年と、その恋人や友人たちの、真の「ことば」を求めての魂の遍歴の記録として、映画は展開される。シャカの河原崎長一郎、恋人ユメの緑魔子が素晴らしい。日本映画監督協会新人賞に輝いた傑作。
日本妖怪伝・サトリ
1973年/青林舎/35ミリ/カラースタンダード/100分
監督:東陽一/脚本:東陽一、前田勝弘/製作:高木隆太郎、重松良周/撮影:田村正毅/美術:下河原友雄、手塚研一/照明:鈴木直秀/編集:東陽一、市原啓子/助監督:青池憲司、栗原剛志 ■出演:緑魔子、河原崎次郎、山谷初男、佐藤慶、吉行和子、渡辺文雄、織本順吉、金井大、坂本長利、下川辰平、石橋蓮司、蟹江敬三、小川紳介
◆人の思うことを次々に言い当て、思うことがなくなると、とって喰うという民話の妖怪“サトリ”を登場させ、「現代人への鎮魂歌」として描いた劇映画第2作。恋人を失い自室に籠っていたあやの前に、突然サトリが現れる。彼女の周囲では様々な事件が起き始める…。サトリに怪優・山谷初男、あやは前作に続き妖艶な演技を見せる緑魔子。東プロから改名した青林舎作品で、最後の高木隆太郎製作となった。
サード
1978年/幻燈社・ATG/35ミリ/カラースタンダード/103分
監督:東陽一/脚本:寺山修司/原作:軒上泊/製作:前田勝弘/企画:葛井欣士郎/撮影:川上皓市/音楽:田中未知/美術:綾部郁郎/録音:久保田幸雄/照明:上村栄喜/編集:市原啓子/助監督:青池憲司 ■出演:永島敏行、吉田次昭、森下愛子、志方亜紀子、島倉千代子、内藤武敏、峰岸徹、片桐夕子、西塚肇、根本豊、池田史比古、佐藤俊介、鋤柄泰樹、水岡彰宏
♦軒上泊の原作を寺山修二が脚本、前田勝弘が製作した幻燈社=ATG提携作品。高校野球の3塁手だったサードは、“どこか大きな町へ行こう”として傷害事件を起こし少年院に入れられるが…。「閉ざされた中にいてこそ、広がる外の世界の美しさがわかる」寺山の美学を清冽ともいえる肉付けを重ね、大人へと成長する少年を描いた東陽一の代表作。映画もヒットし、キネマ旬報ベストテン第1位をはじめ各賞を総なめした傑作。
もう頬づえはつかない
1979年/あんぐる・ATG/35ミリ/カラービスタ/113分
監督:東陽一/脚本:小林竜雄、東陽一/原作:見延典子/製作:有馬孝、工藤英博/企画:多賀祥介/撮影:川上皓市/音楽:田中未知/美術:綾部郁郎/録音:久保田幸雄/照明:磯崎英範/編集:市原啓子/助監督:栗原剛志/主題歌・作詞:寺山修司 ■出演:桃井かおり、奥田瑛二、森本レオ、伊丹十三、加茂さくら、伊佐美津江、日夏たより、都倉成美、織本順吉、根岸明美
◆ベストセラーとなった見延典子原作を東陽一が桃井かおり主演で映画化。女子大生のまり子は、アルバイト先で知り合った同じ大学の橋本と同棲していたが、ある日、以前つきあっていたルポライターの恒雄が戻ってきて…。桃井かおりが、何ごとにも情熱を持てない大学闘争後の“シラケ世代”の感覚をみごとに体現。当時、社会現象を巻き起こし異例の大ヒットを記録。以後、東陽一は女性映画の第一人者として女性の美と生を巧みに描いた快作を連作する。
四季・奈津子
1980年/東映・幻燈社/35ミリ/カラービスタ/120分
監督:東陽一/台詞:粕谷日出美/原作:五木寛之/製作:吉田達、前田勝弘/撮影:川上皓市/音楽:田中未知/美術:綾部郁郎/録音:久保田幸雄/照明:上村栄喜/編集:市原啓子/助監督:栗原剛志/音楽プロデューサー:五木寛之 ■出演:烏丸せつこ、佳那晃子、影山仁美、太田光子、阿木燿子、岡田裕介、本田博太郎、風間杜夫、牟田悌三、山谷初男、火野正平、岡田眞澄、田村隆一、白井佳夫
◆女性の新しい生き方を描きベストセラーになった五木寛之の原作を、東陽一が映画化。自由な映像を目指し脚本はあえて作成せず、ダイアローグ・ライター粕谷日出美を起用し、原作のセリフを現場で膨らませる形で撮影を行った新感覚映画。性格も全然違う4人姉妹の次女・奈津子が、自分の居場所を探しながら人間的に成長していく様を描く。ヒロイン奈津子役には一般公募で選ばれた烏丸せつこ。ふわりと漂うような生活実感素晴らしい。
ラブレター
1981年/にっかつ・幻燈社/35ミリ/カラービスタ/83分/R18+
監督:東陽一/脚本:田中陽造/原作:江森陽弘/製作:前田勝弘/企画:佐々木志郎/撮影:川上皓市/音楽:田中未知/美術:綾部郁郎/録音:久保田幸雄、栗林豊彦/照明:磯崎英範/編集:市原啓子/助監督:栗原剛志 ■出演:関根恵子、中村嘉葎雄、加賀まりこ、仲谷昇、中村龍史、北見敏之、小川隆一、平光琢也、宇田川智子、三谷昇、遠藤薫、伊藤利恵、西田健
◆日活ロマンポルノ10周年を記念し、関根恵子主演で東陽一が監督した初のロマンポルノ作品。三十歳も年上の詩人の女弟子で愛人として尽くし、次第に精神を病んでいく女の姿を描く。詩人、金子光晴との30年に渡る愛の生活を過ごした大河内令子の話を聞き書きした江森陽弘の原作『金子光晴のラブレター』の映画化。ウサギと呼ばれ、けだるさの中で生きる女を共感を持って描く。当時26歳の関根恵子が素晴らしい!
マノン
1981年/幻燈社/35ミリ→デジタル/カラービスタ/108分
監督・原案:東陽一/脚本:東陽一、田中晶子/製作:前田勝弘/企画:多賀祥介/撮影:川上皓市/音楽:荒木一郎/美術:綾部郁郎/録音:久保田幸雄/照明:磯崎英範/編集:市原啓子/助監督:栗原剛志 ■出演:烏丸せつこ、津川雅彦、佐藤浩市、荒木一郎、伊佐山ひろ子、ビートたけし、市原清彦、河原崎長一郎
◆オペラ「マノン」を原案に、自由奔放に生きる劇団研究生のヒロインみつこと、彼女に翻弄される三人の男たちを描く。“女性の自立”をテーマに数々の作品を作り続けた東陽一の最高傑作と噂され、2013年に復元したデジタルリマスター版での上映。みつこに鳥丸せつこ、そのやくざな兄に映画初出演のビートたけし。恋人に津川雅彦、当時21歳の佐藤浩市、そして歌手の荒木一郎と異色の配役陣も魅力の一篇。
ザ・レイプ
1982年/幻燈社・東映/35ミリ/カラービスタ/100分
監督:東陽一/脚本:東陽一、篠崎好/原作:落合恵子/製作:吉田達、前田勝弘、残間里江子/撮影:川上皓市/音楽:田中未知/美術:綾部郁郎/録音:久保田幸雄/照明:磯崎英範/編集:市原啓子/助監督:栗原剛志 ■出演:田中裕子、風間杜夫、伊藤敏八、津川雅彦、伊藤まゆ、後藤孝典、柏木博、長谷川初範、林美雄、市川夏江、赤城佐知子、木村元、清水幹雄、伊藤紘、友成敏雄、加賀まりこ、渚まゆみ
♦落合恵子が1981年に発表した同名小説をもとに、東陽一が映画化した社会派作品。レイプされた女性が周囲の反対を押し切って加害者を告訴する。法廷では彼女の過去の男性体験などプライバシーが白日の下にさらされ、逆に苦境に立たされる…。ショッキングな体験の中で戸惑い、傷つく女の姿をリアルに描いた衝撃の問題作。主役に田中裕子が扮し、傷つきながらも人間として成長し、強靭な意志で生きていく姿を好演。
ジェラシー・ゲーム
1982年/にっかつ・幻燈社/35ミリ/カラービスタ/84分/R18+
監督:東陽一/脚本:田中晶子/製作:前田勝弘/企画:進藤貴美男/撮影:川上皓市/音楽:荒木一郎/美術:綾部郁郎/録音:久保田幸雄/照明:磯崎英範/編集:市原啓子/助監督:栗原剛志 ■出演:夏木陽介、大信田礼子、村上弘明、高橋ひとみ、中丸信、椎谷建治、堂下勝行、加藤益弘、難波利幸、井上博一、浜田友里子、大竹かおる
◆果てしなく続く夏の北海道を舞台に、軽妙な会話とスピード感溢れる映像をアメリカンタッチで酒脱に描く、にっかつ創立70周年記念エロス大作。北海道の原野を走る30代夫婦のハーレーと20代カップルの車。ささいな行き違いから、二組の男女がいつの間にか入れ替り、互いに肉体関係さえ持ってしまう。嫉妬心を抱きながらも意地を張り続けたカップルの結末は…。東陽一が描くセクシー・ロードムービー。
セカンド・ラブ
1983年/東映・幻燈社/35ミリ/カラービスタ/103分
監督:東陽一/脚本:田中晶子、東陽一/製作:吉田達、前田勝弘/撮影:川上皓市/音楽:田中未知/美術:綾部郁郎/録音:久保田幸雄/照明:磯崎英範/編集:市原啓子/助監督:栗原剛志 ■出演:大原麗子、小林薫、中村れい子、アイ・ジョージ、長谷川初範、西岡徳馬、河原崎建三、カルナ、荒木道子、赤座美代子、きたむらあきこ、中村龍史、吉田美鈴、川道信介、伊藤幸子、斉藤吏絵子、加茂さくら、千葉裕子、松橋登
◆当時人気絶頂の大原麗子を主演に、再婚女性の愛と生きざまを描いた話題作。ふたつ年下の建築家と再婚して2年目となる32歳の一実は、園芸コーディネーターに生き甲斐を見出していた。一見幸せそうな夫婦が、目に見えぬズレを意識しだし、不快ないたずら電話や、二人の間に分け入った危険な小悪魔などから亀裂がさらに深まって…。セカンド・ラブはホロ苦さのそれ? 現代風俗を新しい感性でスケッチした秀作。
化身 Keshin
1986年/東映/35ミリ/カラービスタ/105分
監督:東陽一/脚本:那須真知子/原作:渡辺淳一/企画:三堀篤、瀬戸恒雄、前田勝弘/撮影:川上皓市/音楽:加古隆/美術:今保太郎/録音:久保田幸雄/照明:梅谷茂/編集:市原啓子/助監督:栗原剛志/主題歌:高橋真梨子 ■出演:藤竜也、黒木瞳、阿木燿子、梅宮辰夫、淡島千景、青田浩子、三田佳子、永井秀和、星正人、河合絃司、山本緑、松岡久美、杉欣也、須賀良、菅原加諏子、有吉真知子、加茂さくら、小倉一郎
◆中年文芸評論家の愛人となったヒロイン。彼女を自分好みのいい女に変身させようとする、まさに『マイ・フェア・レディ』のセクシャル版。彼女は男との付き合いによって徐々に変身を遂げ、さらには自立へと目覚めていく過程を描く。その後、『失楽園』が社会現象となった渡辺淳一のベストセラー小説を映画化した文芸エロス大作。宝塚歌劇団の娘役で人気の黒木瞳が、退団して初の映画出演で大胆なヌードを披露した。
うれしはずかし物語
1988年/にっかつ/35ミリ/カラービスタ/89分/R15
監督:東陽一/脚本:竹山洋/原作:ジョージ秋山/企画:角田豊/プロデューサー:千葉好二/撮影:川上皓市/選曲:伊藤晴康/美術:内田欣哉/録音:酒匂芳郎/照明:磯崎英範/編集:市原啓子/助監督:天間敏広 ■出演:川上麻衣子、寺田農、本阿彌周子、渡浩行、麻生かおり、佐久間哲、草見潤平、島村紀之、持田美保、三田村賢二、岩城正剛、梅津栄
♦家庭を離れ、ひとりになる空間を求めてワンルーム・マンションを買った中年サラリーマンと、週に1度の約束と割り切って愛人関係を結ぶあっけらかん女子大生との恋模様を、ペーソス豊かに描く。男は会う回数を増やそうとマンションを変えるが、そこで出会った不倫カップルは…。ジョージ秋山原作を東陽一が監督したエロティック・ロマンス。川上麻衣子が大胆なラブシーンを演じ話題となった。
橋のない川
1992年/ガレリア・西友/35ミリ/カラービスタ/139分
監督:東陽一/脚本:東陽一、金秀吉/原作:住井すゑ/製作総指揮:川口正志、高丘季昭/製作:山上徹二郎、山口一信/撮影:川上晧市/美術:内藤昭/音楽:エルネスト・カブール/録音:久保田幸雄/照明:磯崎英範/編集:井上治/美術補:内藤欣哉/装飾:安田彰一/助監督:萩原吉弘 ■出演:大谷直子、中村玉緒、杉本哲太、趙泰勇、渡部篤郎、藤田哲也、中野聡彦、萩原聖人、辰巳琢郎、高岡早紀、安永亜衣、中島ひろ子、加茂さくら、寺田農、中村嘉葎雄、高橋悦史
◆住井すゑのライフワークを映画化し、日本近代の基底を貫いた魂を描く映像叙事詩。美しい四季の風景の中で、明治から大正時代を、人間の尊厳をかけて激しく生き抜いた人々の生活を描いた感動大作。差別に立ち向かい、真の人間の豊かさとは何かを問いながら、全国水平社結成に至るまでの闘いを描く。奈良盆地に壮大なセットを建設した内藤昭の美術も光る。アンデスのフォルクローレ音楽の第一人者エルネスト・カブールが音楽を担当している。
絵の中のぼくの村
1996年/シグロ/35ミリ/カラービスタ/112分
監督:東陽一/脚本:中島丈博/原作:田島征三/製作:山上徹二郎、庄幸司郎/プロデューサー:藤沢克則、萩原吉弘/音楽:カテリーナ古楽合奏団/撮影:清水良雄/美術:内藤昭/装飾:安田彰一/照明:武山弘道/録音:弦巻裕/助監督:井坂聡 ■出演:原田美枝子、松山慶吾、松山翔吾、長塚京三、小松方正、上田耕一、岩崎加根子、中島丈博
◆絵本作家田島征三の自伝的エッセイを映画化。ふたごの兄征彦もまた絵本作家。二人が“生涯で一番大切で楽しい思い出"と語る、高知県の田舎で過ごした少年時代を描いたファンタジー。不思議な老婆や妖怪なども登場して、少年ならではの夢と現実を描く。感受性豊かな少年期を独創的な視点で描き“静かなユーモアと深い叡智”を湛えた作品として1996年ベルリン国際映画祭で銀熊賞に輝いた傑作。
ボクの、おじさん THE CROSSING
2000年/シグロ/35ミリ/カラービスタ/116分
監督・脚本:東陽一/原案:山上徹二郎/製作:山上徹二郎、庄幸司郎/撮影:蔦井孝洋/照明:武山弘道/録音:弦巻裕/美術:伊藤章雄/助監督:梅川俊明/プロデューサー:林三津良/挿入歌:井上陽水 ■出演:筒井道隆、細山田隆人、つみきみほ、青井洋一郎、大森暁美、安部聡子、中嶋朋子、鈴木ヒロミツ、宇崎竜童
◆大人の入り口に立った14歳の少年と、都会の生活に苛立つ29歳の叔父との心の交流を描いた青春ドラマ。兄の息子・拓也が強盗をして警察に捕まったと知った叔父の浩二。仕事や恋人との関係もうまくいかず自分を持て余す彼は、戸惑いながらも甥との対話を通し自分自身を見つめ直していく…。ピンク・フロイドの名曲「IF(もしも)…」にのせて日本の90年代「<父>なき時代」を描く。音楽にも造詣が深い東陽一の演出が光る。
わたしのグランパ
2003年/「私のグランパ」製作委員会(テレビ朝日・ホリプロ・シグロ・東映ビデオ)/35ミリ/カラービスタ/113分
監督・脚本:東陽一/原作:筒井康隆/製作総指揮:小田信吾、早河洋/製作:木村純一、堀義貴、山上徹二郎、黒澤満/企画:小村孝裕、金成国/撮影:小林達比古/照明:中須岳士/録音:久保田幸雄/美術:菊地章雄/編集:青山昌文/スクリプター:石山久美子/助監督:藤江義正 ■出演:菅原文太、石原さとみ、平田満、宮崎美子、伊武雅刀、浅野忠信、波乃久里子、大木優喜子、嶋田久作、光石研、橋本銀次、萩原大、内野譲太、串戸ゆりあ、近藤舞、古谷愛里、たなかさおり、渡辺宏行、藤岡太郎、村田泰則、鈴木直
♦筒井康隆の第51回読売文学賞小説賞受賞作品を東陽一監督が菅原文太&石原さとみ共演で映画化。中学1年生の珠子は、両親や祖母と平凡な毎日を送っていた。そんなある日、かつて親友を殺された仇にヤクザ2人を殺害した祖父・謙三が、13年間の刑務所暮らしを終えて帰ってくる…。久々の映画出演となる菅原文太を主演に迎え、刑務所から帰ってきた仁義を重んじる昔カタギな祖父と中学生の孫娘の交流をほのぼのとしたタッチで描いた傑作。
風音 ふうおん
2004年/シグロ/35ミリ/カラービスタ/106分
監督:東陽一/原作・脚本:目取真俊/製作:山上徹二郎/撮影:蔦井孝洋/照明:疋田ヨシタケ/美術:吉田悦子/音楽:タラフ・ドゥ・ハイドゥークス、平安隆、園田高弘/録音:鶴巻仁 ■出演: 上間宗男、加藤治子、つみきみほ、光石研、北村三郎、吉田妙子、治谷文夫、細山田隆人、加藤未央、島袋朝也
◆沖縄の芥川賞作家・目取真俊が脚本を初めて手掛け、『沖縄列島』から35年ぶりに沖縄をテーマに東陽一が監督。夏の沖縄。強い海風が吹くと、不思議な音がきこえる「風音(ふうおん)」の島。人々から「泣き御頭(なきうんかみ)」と呼ばれ、島の守り神として鎮座していた…。沖縄の風土に根づく人々の暮らしや、様々な生き物たちの気配に溢れた自然を力強いタッチで切り入った幻想的で濃密な映像詩。
酔いがさめたら、うちに帰ろう。
2010年/「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」製作委員会(シグロ・バップ・ビターズエンド)/35ミリ/カラービスタ/118分
監督・脚本・編集:東陽一/原作:鴨志田穣/製作:山上徹二郎、大和田廣樹、定井勇二、大島満/プロデューサー:渡辺栄二/撮影:釘宮慎治/美術:磯見俊裕/装飾:松尾文子/照明:舘野秀樹/録音:小川武/音響効果:中村佳央/助監督:岡秀樹/主題歌:忌野清志郎 ■出演:浅野忠信、永作博美、市川実日子、利重剛、藤岡洋介、森くれあ、高田聖子、柊瑠美、甲本雅裕、渡辺真起子、堀部圭亮、西尾まり、大久保鷹、滝藤賢一、志賀廣太郎、北見敏之、螢雪次朗、光石研、香山美子
◆戦場カメラマンとして活躍した鴨志田穣の同名自伝的小説を、原作に惚れ込んだ東陽一が映画化。人気漫画家・西原理恵子の元夫でもある彼は、仕事で各国を巡った後、重度のアルコール依存症になり、アルコール病棟に入院する。そこで、個性的な患者たちと触れ合いながら、家族の深い愛情に支えられて心身ともに再生していく姿を描く。自分勝手だけど憎めない夫役の浅野忠信、支える妻役の永作博美の二人が素晴らしい。
ナース夏子の熱い夏
2010年/シグロ・レジェンドピクチャーズ/デジタル/カラー/68分/R-15(副音声・日本語字幕付き)
監督・脚本:東ヨーイチ/企画:山上徹二郎、利倉亮/製作:江尻健司、渡辺栄二/撮影:下元哲/録音:山口勉/助監督:佐藤吏/バリアフリー副音声:速水今日子/字幕:聴覚障害者対応日本語字幕 ■出演:出演:愛奏、里見瑤子、川瀬陽太、岡部尚、加島潤、竹田朋華、梨木ナオミ
◆障害のある人々がエロティックな映画を映画館で楽しめ、体感出来る環境を作るというスローガンの下に製作された“エロティック・バリアフリー・ムービー”第1弾。女性映画の巨匠となった東陽一の新たなる挑戦! エロ映画の定番はナース? 妻が入院して夫はナースに一目惚れするが…。
私の調教日記
2010年/シグロ・レジェンドピクチャーズ/デジタル/カラー/64分/R-15(副音声・日本語字幕付き)
監督・脚本:東ヨーイチ/企画:山上徹二郎、利倉亮/製作:江尻健司、渡辺栄二/撮影:下元哲/録音:山口勉/助監督:佐藤吏/バリアフリー副音声:愛奏/字幕:聴覚障害者対応日本語字幕 ■出演:亜紗美、速水今日子、佐藤幹雄、諏訪太朗、澤村清隆、奥村望、奈良坂篤
♦“エロティック・バリアフリー・ムービー”第2弾。副音声のナレーションは、まるで官能小説を読み聞かせられているかのような感覚で、新たな映画のカタチとして出現。調教される女は、まさに「エマニエル夫人」日本版?
姉妹狂艶
2011年/シグロ・レジェンドピクチャーズ・ミッドシップ/デジタル/カラー/64分/R-15(副音声・日本語字幕付き)
監督・脚本:東ヨーイチ/企画:山上徹二郎、利倉亮/製作:江尻健司/撮影:下元哲/録音:山口勉/助監督:佐藤吏/バリアフリー副音声:速水今日子/字幕:聴覚障害者対応日本語字幕 ■出演:範田紗々、木下柚花、大石貴之、貴山侑哉
◆“エロティック・バリアフリー・ムービー”第3弾。葉子が遠距離恋愛中の公平の部屋を訪ねると、寝室には葉子の姉・幹子がいた…。美しい姉妹の愛が交差する熱く切ない恋の物語。
だれかの木琴
2016年/『だれかの木琴』製作委員会(シグロ・木下グループ・東映ビデオ・ホリプロ・ポニーキャニオン・イースマイルレボリューション)/DCP/カラービスタ/112分
監督・脚本:東陽一/原作:井上荒野/製作:山上徹二郎、木下直哉、間宮登良松、菅井敦、三宅容介、仲村淳、田中啓介/企画・プロデューサー:山上徹二郎/撮影:辻智彦/美術:露木恵美子/装飾:松尾文子/主題曲:井上陽水/録音:小川武/音響効果:中村佳央/照明:大久保礼司/編集:東陽一、大重裕二/助監督:藤江儀全 ■出演:常盤貴子、池松壮亮、佐津川愛美、勝村政信、山田真歩、岸井ゆきの、木村美言、小市慢太郎、細山田隆人、河井青葉、螢雪次朗
◆直木賞作家・井上荒野の原作を映画化したサスペンス・ドラマ。たまたま出会った美容師の青年に危険な妄執を抱いて常軌を逸していく孤独な専業主婦の心の奥底をスリリングに描き出していく。「エロス」が生涯のテーマだと語る東陽一が82歳にして描く問題作。心に閉じ込められている「エロスの心」が解き放たれる時、人はどう行動するのか…。映像と音楽も素晴らしい傑作。
イベント
1/21(土)12:00 『日本妖怪伝・サトリ』の上映後、1/22(日)12:20『サード』の上映後
トークゲスト:東陽一監督
入場料金
前売券
前売1回券1,200円/前売5回券5,000円/期間中フリーパス券20,000円(限定20枚)
※前売券は、劇場窓口、チケットぴあ、セブンイレブン、サークルKサンクス(以上Pコード:467-066)他にて好評発売中!
※前売券、フリーパス券は「没後十年黒木和雄映画祭」、「東陽一映画祭」の両方でご使用いただけます。
※フリーパス券は劇場窓口のみのお取扱いとなります。2.5×2.5cmの顔写真(免許証などの写真のコピー可)をご用意ください。
当日券
一般1,400円/学生1,200円/シニア1,100円/会員1,000円/当日5回券6,000円/シニア5回券5,000円/会員5回券4,500円
※連日朝より当日分の整理番号つき入場券の販売を開始します。
ご入場は各回10〜15分前より整理番号順となりますので、前売券なども受付にて入場券とお引き換えください。