公式HP→https://www.zisedai-eiga.com/
阪神のミニシアターで、次世代を担うインディペンデント映画作家の作品を特集上映する《次世代映画ショーケース》。2019年2~3月に開催した第1回に続き、今回は大阪のシネ・ヌーヴォ、神戸の元町映画館、京都の出町座および京都みなみ会館の4館の館主たちが、「映画館で観たい」と思える近年のインディペンデント映画をセレクトし、あわせて各地域の文化人をトークゲストに招いて、インディペンデント映画の同時代性を発見する機会をつくります。週替わりで4会場を巡る《次世代映画ショーケース2021》では、劇場未公開作、関西未公開作を含む、近年のインディペンデント映画24本を上映します。
ミニマルな素材と手法で、豊かな芸術経験をもたらすインディペンデント映画の可能性を、この企画を通じて、体感していただければ幸いです。
上映作品
おばけ
2019年/日本/64分/wubarosier film
監督・出演:中尾広道、中尾朔太郎、中尾み空
声の出演:金属バット(小林圭輔、友保隼平)
◆仲間がいなくても、妻子に愛想を尽かされても、たったひとりで自主映画を作り続ける男。そんな男を、はるか遠く宇宙から応援するふたつの星。主人公を中尾広道監督が、星たちをお笑いコンビ「金属バット」のふたりが演じる。第41回ぴあフィルムフェスティバルグランプリ、第20回TAMA NEW WAVE特別賞受賞。
金太と銀次
2019年/日本/84分
監督:大力拓哉、三浦崇志
出演:大力拓哉、三浦崇志
©Dairiki&Miura
◆長い間友人同士の金太と銀次は、一日おきに森の中を散歩する。ユーモアたっぷりの会話と鳥の声、風が揺らす木々の音と音楽。木や丘に見守られながら、やがて二人は死の世界へたどり着く。耳に馴染む大阪弁とお互いの会話の対比と反復が心地いい。独特の世界観で新たなジャンルを確立した大力三浦コンビの渾身の最新作。
千古里(ちこり)の空とマドレーヌ
2021年/日本/112分/ピーストゥリー・プロダクツ
監督:我妻和樹
◆東日本大震災で甚大な津波被害を受けた宮城県南三陸町に生きる人びとを描き続ける我妻監督の最新ドキュメンタリー。震災から1年、辛うじて損壊を免れたペンションの厨房でお菓子づくりに専心するパティシエの長嶋涼太さんと彼の家族に密着し、彼らを支援するボランティアたちとともに歩んだ復興への道のりを描き出す。
アウトゼア
2016年/日本・台湾/125分/EYES FILMS
監督:伊藤丈紘
出演:馬君馳(Ma Chun Chih)、小林晴夫、北浦愛、服部竜三郎、瀬戸夏実
©EYES FILMS
◆頓挫してしまった映画撮影を再開するべく、新たなキャストを探していた日本人監督。生まれ故郷の台湾を離れ、帰る場所など必要ないと話す台湾人青年。喪失を抱えたまま、私たちはこの世界をどう生きるのか。台湾現代史と家族の記憶を彷徨いつつ、「いまここ」で生きることを問い直す。日本と台湾を舞台に、アイデンティティを探し求める青年を映したドキュメンタリー・フィクション。
小さな声で囁いて
2018年/日本/110分/東京藝術大学大学院映像研究科
監督:山本英
出演:大場みなみ、飯田芳、山崎陽平
©東京藝術大学大学院映像研究科
◆熱海に3泊4日の観光旅行に出かけた沙良と遼。遼は将来の家族設計に頭がいっぱいだが、沙良はなぜ彼を好きになったのかを考えている。二人の行動はすれ違い、彼らの溝は深まっていくばかり…。味気なく、閑散とした熱海の夜の風景が、内省の時間を過ごす二人の心象に寄り添いながら、日を重ねるごとに、美しく息づいていく。
『鶏・The Chicken』/『La Gallina』
『鶏・The Chicken』2020年/アメリカ/14分
監督:空音央
出演:サンドラ・マーレン=シュナイダー、曽我潤心、中根大樹
画像上:©Neo Sora
『La Gallina ラ・ガリーナ』2013年/スペイン/17分
監督:マネル・ラガ
出演:Arnau Gallén
◆『志賀直哉の短編小説「十一月三日午後の事」を原案に舞台を現代のニューヨークに移し、16mmフィルムで撮影。生々しい人間の生理と感情を描いた『鶏・The Chicken』。『La Gallina』=「雌鶏」が象徴する繰り返される支配を、荒涼とした土地で両親と暮らす少年を中心に35mmフィルムによる圧倒的な映像で描く。『鶏』は第73回ロカルノ映画祭で、『La Gallina』は第70回ヴェネツィア映画祭で初公開された。
吉開菜央特集:Dancing Films【A】
監督:吉開菜央
■『Grand Bouquet』2019年/日本/15分
■『静坐社』2017年/日本/12分
■『ほったまるびより』2015年/日本/37分
©Nao Yoshigaimm
◆振付家でありダンサーであり映画作家でもある吉開菜央の魅惑的な短編を一挙上映。Aプログラムでは、カンヌ映画祭出品作品『GrandあBouquet』をはじめ、人間から人格を剥ぎ取って、肉そのもの、タンパク質を愛することに挑む言語を超越したラブストーリー『ほったまるびより』と、岡田式静坐法を取材したドキュメンタリー・フィクション『静坐社』を併映。
吉開菜央特集:Dancing Films【B】
監督:吉開菜央
■『Grand B ouquet』2019年/日本/15分
■『Wheel M usic』2019年/日本/14分
■『梨君たまこと牙のゆくえ』2018年/日本/30分
■『みずのきれいな湖に』2017年/日本/9分
画像上:©「梨君たまこと牙のゆくえ」/画像下:©Nao Yoshigai
◆Bプログラムでは、梨を食らう乙女の果汁ほとばしる爆裂咀嚼音浴作品『梨君たまこと牙のゆくえ』や、雨の湖のほとりで水や周りの空気に身をゆだね溶けていく身体を捉えたダンスフィルム『みずのきれいな湖に』、この世の全ての尊いノイズを繋ぎ合わせたハミング的日記映画『Wheel Musi c』と、罵詈雑言が飛び交う現代に超巨大な花束を送る『Grand Bouquet』の4作を上映。
眠る虫
2019年/日本/62分
監督:金子由里奈
出演:松浦りょう、五頭岳夫、水木薫、佐藤結良
◆音の採集に没頭している佳那子はバスに乗り合わせた女性の鼻歌に導かれ、見知らぬ街に降り立つ。彼女が残した地図で、佳那子はある老人の家に辿り着くが…。生者と死者、人間と機械が平然と混じり合い、記憶と記録が溶け合っていくという魅惑的な主題は、金子監督の唯一無二の感受力の賜物。観客を包み込む音響が映画館での鑑賞を誘う。
イベント
3/20(土)16:40の回『金太と銀次』舞台あいさつ
3/20(土)18:30の回『鶏・The Chicken』/『La Gallina』トークショー
ゲスト:空音央監督(『鶏・The Chicken』 )、小田香監督(『セノーテ』)
3/23(火)16:30の回『眠る虫』トークショー
ゲスト:堀口徹さん(建築映画探偵)
料金
一般:1500円/シニア1100円/学生・会員1000円 ※招待券、回数券はご使用いただけません。