1976年、低迷していた日本映画界に突如彗星のごとく現れ、「読んでから見るか、見てから読むか」をコピーにした出版界との連動や当時はまだ画期的だったテレビでの宣伝など大規模なメディアミックス展開を行ない、時代をリードし続けた角川映画―その誕生から40年経った本年、1988年の昭和時代終了までを一区切りとし、厳選した作品を一挙上映致します。単なるエンターテインメント作品という枠には収まりきらない、規格外の本格的な作品が並びました。昭和時代を生きた世代の方々はその時代を懐かしみながら、また昭和時代を経験していない世代の方々は当時の熱い時代の息吹を感じながら、パワー溢れる数々の「角川映画」をスクリーンにてご堪能頂ければ幸いです。
上映作品
犬神家の一族
1976年/カラー/146分/1:1.5ワイド 初デジタル化
監督・脚本:市川崑 原作:横溝正史 脚本:長田紀生、日高真也
撮影:長谷川清 美術:阿久根巌 音楽:大野雄二 出演:石坂浩二、島田陽子、あおい輝彦、高峰三枝子、三条美紀、草笛光子、地井武男
♦角川映画第1回作品としてメガヒットを記録した、横溝正史原作の怪奇ミス テリー。犬神製薬当主が残した不可解な遺言状を発端として次々と起こる 殺人事件に、二枚目俳優の石坂浩二演じる名探偵・金田一耕助が挑む。
金田一耕助の冒険
1979年/カラー/113分/ビスタ
監督:大林宣彦 原作:横溝正史 脚本:斎藤耕一、中野顕彰 ダイアローグ・ライター:つかこうへい 撮影:木村大作 美術:薩谷和夫 音楽:小林克己 主題歌:センチメンタル・シティ・ロマンス&村岡雄治「 金田一幸助の冒険-青春編」「金田一幸助の冒険-サーカス編」
出演:古谷一行、田中邦衛、熊谷美由紀、三船敏郎
◆豪華な脇役陣だけでなく、三船敏郎や作家の高木彬光、原作者の横溝正史もセルフパロディを含む本人役で出演。また角川映画作品だけでなく、当時流行していたCMや歌謡曲などが全編にわたり盛り込まれているのも必見!
刑事珍道中
1980年/カラー/96分/ビスタ
監督:斎藤光正 脚本:鎌田敏夫 撮影:水野尾信正 美術:徳田博 音楽:近田春夫 主題歌:中村雅俊「マーマレードの朝」
出演:中村雅俊、勝野洋、金子信雄、大楠道代
◆ズッコケコンビが命じられたのは模擬訓練の銀行強盗役。見事大金を奪って逃走するが、トランクの中に入っていたのは本物の大金、しかもそれを何者かに奪われてしまう…。二大青春スターの息の合った共演も見もの!
悪霊島
1981年/カラー/131分/ビスタ
監督:篠田正浩 原作:横溝正史 脚本:清水邦夫 撮影:宮川一夫 美術:朝倉摂 音楽監督:湯浅譲二
出演:鹿賀丈史、岸本加世子、古尾谷雅人、岩下志麻
◆金田一耕助はアメリカ帰りの億万長者から依頼を受けて人探しのため瀬戸内海に浮かぶ刑部島を訪れるが、その男は瀕死の状態で発見される…。新しい時代とそこに潜む問題を描くなど、横溝作品には珍しい展開も必見!
蔵の中
1981年/カラー/101分/ビスタ
監督:高林陽一 原作:横溝正史 脚本:桂千穂 撮影:津田宗之、高林陽一 美術:井川徳道 音楽:桃山晴衣 主題歌:桃山晴衣「遊びをせんとや生まれけん」
出演:山中康仁、松原留美子、中尾彬、吉行和子
♦病気ゆえ蔵の中に隔離されている姉と、その世話をする弟が、禁断の一線を越えてしまうが…。横溝正史の官能的短編を原作に映画ならではの視覚表現に挑戦。ヒロイン・松原留美子の美しさに公開当時は話題騒然となった。
セーラー服と機関銃
1981年/カラー/112分/ビスタ 初デジタル化
監督:相米慎二 原作:赤川次郎 脚本:田中陽造 撮影:仙元誠三 美術:横尾嘉良 音楽:星勝 主題歌:薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」
出演:薬師丸ひろ子、風祭ゆき、三國連太郎、渡瀬恒彦
♦赤川次郎の同名小説を映画化。流行語にもなった、機関銃を撃った直後に言う台詞「カ・イ・カ・ン」や同名主題歌の大ヒットなど、社会現象になるほどの大きな話題に。鬼才・相米慎二監督のエッジの効いた映像も必見。
化石の荒野
1982年/カラー/123分/ビスタ
監督:長谷部安春 原作:西村寿行 脚本:丸山昇一 撮影:森勝 美術:中村州志 音楽監督:萩田光雄 主題歌:しばたはつみ「化石の荒野」
出演:渡瀬恒彦、浅野温子、川津祐介、夏木勲(夏八木勲)
♦終戦前夜、5千キロの金塊を積んだ爆撃機がオホーツクで消息を絶つ。殺人犯の汚名を着せられた男が自身の出生の秘密と金塊の行方を追う…。日本アルプスから極寒の北海道まで圧巻のスケールで描くハードボイルド作!
伊賀忍法帖
1982年/カラー/100分/ビスタ
監督:斎藤光正 原作:山田風太郎 脚本:小川英 撮影:森田富士郎 美術:井川徳道、園田一佳 音楽:横田年昭 主題歌:宇崎竜童「愚かしくも愛しく」
出演:真田広之、渡辺典子、中尾彬、成田三樹夫、千葉真一
♦美女の姫をめぐる妖僧との壮絶な死闘。豪華な美術などスペクタクルだけでなく、アクション冴えわたる真田広之と、渡辺典子のラブ・ストーリーも必見。随所にお色気シーンも盛り込まれたエンターテインメント時代劇!
時をかける少女
1983年/カラー/104分/ビスタ 初デジタル化
監督:大林宣彦 原作:筒井康隆 脚本:剣持亘 潤色:大林宣彦 撮影監督:阪本善尚 美術デザイン:薩谷和夫 音楽監督:松任谷正隆 主題歌:原田知世「時をかける少女」
出演:原田知世、高柳良一、尾美としのり
♦名匠・大林宣彦が過去や未来へタイムスリップする少女を描いた、甘く切ない青春映画の傑作。モノクロから徐々に色がついていくオープニングなど、監督が仕掛ける数々の映像トリックも必見。同名主題歌も大ヒット!
里見八犬伝
1983年/カラー/136分/ビスタ 初デジタル化
監督・脚本:深作欣二 原作・脚本:鎌田敏夫 撮影:仙元誠三 美術:今村力、高橋章 音楽監督:NOBODY 佐久間正英 難波弘之 主題歌:JOHN O'BANION「里見八犬伝」「八剣士のテーマ(WHITE LIGHT)」
出演:薬師丸ひろ子、真田広之、夏木マリ、千葉真一
♦悪霊に仕え不死身となった妖怪を倒すため、唯一生き残った静姫の前に8人の勇士が集結する─。特撮技術を駆使し、豪華キャストが豪華な衣装とメーキャップで登場する。薬師丸と真田のラブシーンも話題に。
少年ケニヤ
1984年/カラー/109分/ビスタ
監督:大林宣彦、今沢哲男(共同監督) 原作:山川惣治 脚本:桂千穂、内藤誠、剣持亘 ピクトリアル・デザイン:島村達雄 作画監督:我妻宏 撮影監督:福井政利、阪本善尚 美術監督:田中資幸、薩谷和夫 音楽監督:宇崎竜童 主題歌:渡辺典子「少年ケニヤ」
声:高柳良一、原田知世
♦アフリカで父と生き別れた主人公が、美少女やマサイ族酋長と出会い父探しの旅に出るが…。大林宣彦が唯一監督したアニメ映画で、前衛的な映像表現が楽しい。ヒロインの声優に原田知世、主題歌に渡辺典子を起用した。
湯殿山麓呪い村
1984年/カラー/112分/ビスタ
監督:池田敏春 原作:山村正夫 脚本:荒井晴彦、佐伯俊道 撮影:山崎善弘 美術:小川富美夫 音楽:林光
出演:永島敏行、永島瑛子、仙道敦子、岩崎加根子
♦監督に新進気鋭の池田敏春を抜擢し、横溝的伝奇ミステリーの代表作を映画化。考古学者の大学講師が湯殿山麓に埋まっている即身仏を調査しようとするも、次々と怪死事件が起こる。天才美少女子役・仙道敦子の名演にも注目。
いつか誰かが殺される
1984年/カラー/97分/ビスタ
監督:崔洋一 原作:赤川次郎 脚本:高田純 撮影:浜田毅 美術:小川富美夫 音楽:梅林茂 主題歌:渡辺典子「いつか誰かが・・・・」
出演:渡辺典子、古尾谷雅人、松原千明、加藤治子
♦新聞記者の父親が突然謎の失踪、偶然出会った偽ブランド品のブローカーの男らと父の行方を追う少女に立ち塞がる壁、次第に明らかになる衝撃の真実…!? 古尾谷雅人、尾美としのりなど演技派の異色キャストも勢揃い!
Wの悲劇
1984年/カラー/109分/ビスタ 初デジタル化
監督・脚本:澤井信一郎 原作:夏樹静子 脚本:荒井晴彦 撮影:仙元誠三 美術:桑名忠之 舞台監修:蜷川幸雄 音楽:久石譲 主題歌:薬師丸ひろ子「Woman~Wの悲劇~より」
出演:薬師丸ひろ子、世良公則、高木美保、三田村邦彦、三田佳子
♦劇団の研究生である静香は新作の準ヒロイン役に落選、端役となってしまうが、そんな矢先にある大スキャンダルが発生する…。夏樹静子の原作を大胆にアレンジ、三田佳子など華やかで豪華な共演陣にも注目!
天国にいちばん近い島
1984年/カラー/103分/ビスタ
監督:大林宣彦 原作:森村桂 脚本:剣持亘 潤色:大林宣彦、小倉洋二 撮影監督:阪本善尚 美術デザイン:薩谷和夫 音楽監督:朝川朋之 主題歌:原田知世「天国にいちばん近い島」
出演:原田知世、高柳良一、峰岸徹、乙羽信子
◆無口で内気な少女は亡き父が語った「天国にいちばん近い島」を探す為、冬休みにニューカレドニアツアーに参加。現地で出会う人々との交流を通じ大人へと成長していく…。原田知世主演第3作、同名主題歌もヒット。
カムイの剣
1985年/カラー/133分/スタンダード
監督:りんたろう 原作:矢野徹 脚本:真崎守 キャラクターデザイン:村野守美 作画監督:野田卓雄 美術監督:椋尾篁 音楽監督:宇崎竜童、林英哲
主題歌:渡辺典子「カムイの剣」
声:真田広之、石田弦太郎、小山芙美
◆時は幕末、主人公が父から受け継いだ〈カムイの剣〉には、海賊キャプテン・キッドの財宝の謎が隠されていた…。北海道からアメリカまで圧倒的なスケールで描かれる、りんたろう監督の代表作。真田広之が声優に初挑戦。
結婚案内ミステリー
1985年/カラー/91分/ビスタ
監督:松永好訓 原作:赤川次郎 脚本:小野竜之助 撮影:鈴木達夫 美術:今村力、高橋章 音楽:甲斐正人 主題歌:渡辺典子「野ばらのレクイエム」
出演:渡辺典子、渡辺謙、谷隼人、長山藍子
◆偽フィアンセとして雪国の別荘に来た女子大生が巻き込まれた殺人事件の驚愕の真相とは…!? 渡辺典子主演第3作、明るく、勝気で打算的な現代っ子をキュートに好演。御曹司役で出演する渡辺謙の一人二役も話題に。
友よ、静かに瞑れ
1985年/カラー/103分/ビスタ
監督:崔洋一 原作:北方謙三 脚本:丸山昇一 撮影:浜田毅 美術:小川富美夫 音楽:梅林茂
出演:藤竜也、倍賞美津子、林隆三、原田芳雄
♦開発計画に反対し警察に拘留されてしまった友人を救うべく、沖縄の寂れた港町にやって来た男が暴く建設会社と地元警察の癒着…。沖縄ロケ敢行により醸し出される情緒やエキゾチックな音楽なども見所のひとつ。
彼のオートバイ、彼女の島
1986年/カラー/90分/ビスタ
監督:大林宣彦 原作:片岡義男 脚本:関本郁夫 撮影監督:阪本善尚 美術デザイン:薩谷和夫 音楽監督:宮崎尚志 主題歌:原田貴和子「彼のオートバイ、彼女の島」
出演:原田貴和子、渡辺典子、竹内力、三浦友和
♦プレスライダーのアルバイトをする青年と謎めいた女性、オートバイを通じて心を通わせる2人が向かう先は…。原田知世の実姉・原田貴和子の邦画デビュー作。ヌードシーンを披露するなど自然で大胆な演技も話題に。
キャバレー
1986年/カラー/104分/ビスタ
監督:角川春樹 原作:栗本薫 脚本:田中陽造 撮影:仙元誠三 美術:今村力 音楽監督:角川春樹 主題歌:マリーン「LEFT ALONE」
出演:野村宏伸、鹿賀丈史、三原じゅん子、倍賞美津子
♦上流家庭に育つもジャズの魅力に取り憑かれ大学を中退、場末のキャバレーをさすらう青年。そこで出会う人々との交流を通じて知る本当の愛…。栗本薫の同名小説を大胆に脚色、角川映画オールスターのカメオ出演も話題に。
オイディプスの刃
1986年/カラー/119分/ビスタ
監督・脚本:成島東一郎 原作:赤江瀑 脚本:中村努 撮影監督:杉村博章 美術監督:下石坂成典 音楽監督:山本邦山
出演:古尾谷雅人、京本政樹、佐藤友美、五月みどり、田村高廣
♦角川映画第一弾として『犬神家の一族』とともに製作発表されるも実現しなかった企画が10年の時を経て復活。ある夏の日に複雑な家庭を襲った凄惨な出来事が、それぞれ出自を異にする三兄弟のその後の運命を狂わせてゆく。
時空の旅人
1986年/カラー/91分/ビスタ
監督:真崎守 原作:眉村卓 脚本:大和屋竺、真崎守、竹内啓雄 キャラクターデザイン:萩尾望都 作画監督:野田卓雄 美術監督:男鹿和雄 音楽監督:国吉良一 主題歌:竹内まりや「時空の旅人」
声:戸田恵子、村田博美、岩田光央、津嘉山正種、井上真樹夫、横内正
♦ある目的で未来から来た少年は、ワゴン車をタイムマシンに改造し、第二次世界大戦、江戸時代、安土桃山時代へと過去を遡ってゆく!漫画家・荻尾望都をキャラクターデザインに、竹内まりやを映画主題歌に初起用した。
迷宮物語
1986年/カラー/50分/ビスタ
原作:眉村卓 音楽:ミッキー吉野
「ラビリンス・ラビリントス」監督・脚本:りんたろう
キャラクターデザイン・作画監督:福島敦子 声:吉田日出子
「走る男」監督・脚本・キャラクターデザイン・作画監督:川尻善昭 声:津嘉山正種
「工事中止命令」監督・脚本・キャラクターデザイン:大友克洋
作画監督:なかむらたかし 声:水島裕
♦少女がシュールな異世界へと迷い込む「ラビリントス・ラビリントス」、危険な勝負に命を懸けたレーサーが破滅する「走る男」、監視員が壊れたロボットに狂わされてゆく「工事中止命令」。眉村卓原作のオムニバス映画。
黒いドレスの女
1987年/カラー/100分/ビスタ
監督:崔洋一 原作:北方謙三 脚本:田中陽造 撮影:浜田毅 美術:今村力 音楽:佐久間正英 主題歌:dip in the pool「黒いドレスの女~Ritual~」ほか
出演:原田知世、永島敏行、藤真利子、菅原文太
♦逃がし屋のバーテンと海外逃亡を図るヤクザが謎多き美女を魔の手から守り抜く。彼女が握っている、ある重大な秘密とは…!? 崔洋一が北方謙三の原作をスタイリッシュに映画化。手に汗握る真夜中のカーチェイスも見所。
恋人たちの時刻
1987年/カラー/99分/ビスタ
監督:澤井信一郎 原作:寺久保友哉 脚本:荒井晴彦 撮影:仙元誠三 美術:桑名忠之 音楽:久石譲 主題歌:大貫妙子「恋人たちの時刻」
出演:野村宏伸、河合美智子、大谷直子、加賀まりこ、高橋悦史
♦海で不良に襲われた少女を助けたことがきっかけで付き合うことになった青年は、少女から行方不明になった親友を探して欲しいと頼まれるが…。河合美智子のオールヌードも辞さない体当たりの演技も話題となった。
入場料金
前売券
前売1回券1,200円/前売5回券5,000円
※前売券は、劇場窓口、チケットぴあ、セブンイレブン、サークルKサンクス(以上Pコード:467-002)他にて好評発売中!
当日券
一般1,400円/学生1,200円/シニア1,100円/会員1,000円/高校生以下800円
当日5回券6,000円/シニア5回券5,000円/会員5回券4,500円
※連日朝より当日分の整理番号つき入場券の販売を開始します。
ご入場は各回10〜15分前より整理番号順となりますので、前売券なども受付にて入場券とお引き換えください。