大阪〈生きた建築〉映画祭 非・定住者たちの大阪

毎年秋に週末に大阪の魅力ある建築を公開する建築イベント、生きた建築ミュージアム フェスティバル大阪(イケフェス大阪)。長いときを刻んだ歴史的な建築から最新技術を用いた現代の超高層ビルまで、有名建築家のあの名作から昭和の雰囲気を色濃く残す街場のバーまで、大阪という都市の魅力を様々に物語る「生きた建築」が、一斉にその扉を開きます。そんな「イケフェス大阪」関連企画として今年5回目を迎える【建築映画特集】の今年のテーマは“環状線外回り接戦方向!”。 『ガキ帝国』『夫婦善哉』『黒薔薇昇天』『ナショナルアンセム』の4作品を上映します。製作年も作品カラーもまったく違うこの4作品をどう観せるのか。ご期待ください!

上映作品

夫婦善哉

夫婦善哉1955年/東宝/121分/35ミリ
◎監督:豊田四郎◎原作:織田作之助◎脚本:八住利雄◎撮影:三浦光雄
◎出演:森繁久彌、淡島千景、浪花千栄子、司葉子

予想される主な舞台:スタジオ80(味園ユニバース)、新三国ボウル大阪駅、法善寺横丁、夫婦善哉、自由軒、生國魂神社、キャバレー赤玉、戎橋、熱海、有馬温泉

♦原作は織田作之助の昭和40年の小説。撮影ははたしてロケだったのかセットだったのか。時代は昭和7年の大阪。船場の化粧品問屋の跡取りで妻子もありながら新地の芸者・蝶子(淡島千景)と懇ろになり放蕩三昧で暮らす柳吉(森繁久彌)。題名にもある老舗「夫婦善哉」、水掛不動尊、さらには平成の火事で大半が焼失してしまった在りし日の法善寺横丁が二人の暮らしを通して丁寧に描かれている。他にもライスカレーの「自由軒」、生國魂神社の参道、関東煮の店先、水辺の雁木など、古き良き戦前の大阪の路地風景が楽しめる。村野藤吾設計「キャバレー赤玉」の道頓堀筋側が一瞬映るので瞬き厳禁!

 

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黒薔薇昇天

黒薔薇昇天1975年/日活/72分/デジタル
◎監督・脚本:神代辰巳◎原作:藤本義一『浪花色事師』
◎撮影:姫田真佐久
◎出演:岸田森、谷ナオミ、芹明香、谷一、高橋明、山谷初男

予想される主な舞台:オールナイトレストランシバタ、南海難波駅、松坂屋大阪店屋上、心斎橋筋歩道橋、天王寺動物園、新世界、白崎海浜公園

♦神代辰巳+姫田真佐久コンビによる大阪映画第三弾?岸田森扮するブルーフィルム制作を生業にする十三が歯科医院で見かけた訳あり熟女・幾代(谷ナオミ、当時27歳!)を口説き落とす顛末。歯医者の狭い待合室、タクシーの車内、旧松坂屋大阪店屋上遊園地のゴンドラ、そして淀川堤外に突き出した貸釣船屋といった極小空間。フラスコのような密閉空間で密着する二人の囁きや吐息を盗聴しているような錯覚にやられる。ついに口説き落とした十三と幾代たちが向かうのは…。十三の足取りから浮かび上がる重層的な時空間的対称性。そして芹明香は通天閣を見晴らす物干し台が似合う。

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ガキ帝国

ガキ帝国1981年/ATG/115分/35ミリ
◎監督・原案:井筒和幸◎脚本:西岡琢也◎撮影:牧逸郎
◎出演:島田紳助、松本竜助、趙方豪、升毅、上岡龍太郎、大杉漣、紗希めぐみ

予想される主な舞台:スタジオ80(味園ユニバース)、新三国ボウル、淡路東宝、カフェ・ボン、道頓堀児童公園、橋本楽器、梅田地下街、阪神百貨店、南海難波駅、法善寺横丁、白浜

♦1968年、大阪万博を3年後に控えた大阪。城東を出自とするチンピラ(紳助・竜介、趙)とキタとミナミを縄張りとする愚連隊の抗争劇。ある世代には懐かしいダンスホール、ボウリング場、映画館、カフェ、そして地下街や裏路地の暗がりが、身体の奥底に封印されたかつての大阪の記憶を呼び覚ます。「ユニバース」以前の味園ビル地下のダンスホール「スタジオ80」、道頓堀川に架かる「道頓堀児童公園」など、繁華街の新陳代謝を実感させられる記録映像でもある。ラストシーンに至る、なんば駅から法善寺横丁までの疾走が捉えた撮影当時のミナミの都市空間も見逃せない。

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ナショナルアンセム

ナショナルアンセム2003年/100分/デジタル
◎監督・撮影・編集・製作:西尾孔志
◎出演:小島祥子、和田純司、鼓美佳、渡辺大介、中村哲也、三嶋幸恵、宇野祥平

予想される主な舞台:阿倍野歩道橋、法円坂住宅団地、大阪府立青少年会館、八尾市営住宅、桜ノ宮煉瓦螺旋階段、淀川赤川仮橋、泉大津大橋、加太


♦大阪の若手インディーズ映画界の裏番長?西尾孔志監督の長編デビュー作。黒沢清、高橋洋、中原昌也といった日本映画界の強者たちが絶讃したという怪作。謎の狂気が感染症のように蔓延していく終末的世界観を大阪砲兵工廠跡を囲む住工混在地域で描いている。ミナミでもキタでもない、森ノ宮から天王寺を結ぶ旧城東線沿線の東側。都市と郊外の境目にあって交通インフラが地層のように重なり合うポストインダストリアルな地形としてのもうひとつの大阪。監督も公言する高橋洋からの影響もさることながら、階段や橋に対する異様なまでのフェティシズムは黒沢清から感染した狂気なのだろうか。

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イベント

トークショー開催!!《ロケ地に隠された秘密に迫る》

10/20(日)20:00『ナショナルアンセム』上映後

ゲスト:西尾孔志監督、堀口徹(建築映画探偵)

入場料金

当日券

一般1,500円/学生1,100円/シニア1,100円/会員・高校生以下1,000円
○イケフェス参加者割引:1,000円(要大阪市公式ガイドブック提示)

※ご入場は各回10分前より整理番号順となりますので、本前売券も受付にて入場券とお引き換え下さい。
整理番号付き入場券は1週間前より窓口にて発行いたしております。

スケジュール

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