
『星』 STERNE 日本初上映
◆アウシュビッツに移送されるユダヤ人女性とドイツ人下士官の出会いと別れ
東独・ブルガリア合作。タイトルは第二次大戦中ユダヤ人が身に付けるように強制された「ダビデの星」を暗示する。脚本のアンジェル・ファゲンシュテインは、若い抵抗運動闘士の視点からその「思い出」を描いた。1959年のカンヌ国際映画祭にブルガリア映画として出品し、審査員特別賞を受賞。1995年には「最も重要なドイツ映画100選」に選出された。
国家と歴史の狭間で葛藤し、映画/芸術を探究した稀有な才能を発見する
ドイツの映画大学や芸術賞にその名を冠された映画監督。あるいは、文化官僚。芸術家と国家の関係について考察した、知識人。平和と正義に憧れ、個人としての幸福を追求し葛藤した時代の記録者。瓦礫まみれの歴史の中で、彼は、幾度も引き裂かれながら生きた。生まれ故郷のドイツと、「祖国」となったソビエト連邦の間で。政治(Politik)と芸術(Kunst)、感情(Gefühl)と規律(Disziplin)の狭間で−−。
東ドイツ国営の映画製作会社「DEFA」を代表する映画作家、コンラート・ヴォルフ。生誕100年となる2025年、日本初上映となる4作品を含む初めてのレトロスペクティヴが東京と大阪で開催される。
東西に分断された冷戦期のドイツに生まれたフィルムたちは、新たな分断が加速する現在の世界をいかに照射するのか?
上映作品は、「最も重要なドイツ映画100選」に選出され、今年のカンヌ国際映画祭クラシック部門でも上映された傑作『星』、「ベルリンの壁」が、隠喩として描かれる『引き裂かれた空』、ソ連兵としてドイツを訪れたヴォルフの自伝的作品『僕は19歳だった』、歌手として生きる女性の人生模様『ソロシンガー』など、いずれも必見の7作品。
企画:山根恵子
主催:ユーロスペース シネ・ヌーヴォ
協力:DEFA財団 ドイツ・キネマテーク ゲーテ・インスティトゥート東京
◆アウシュビッツに移送されるユダヤ人女性とドイツ人下士官の出会いと別れ
東独・ブルガリア合作。タイトルは第二次大戦中ユダヤ人が身に付けるように強制された「ダビデの星」を暗示する。脚本のアンジェル・ファゲンシュテインは、若い抵抗運動闘士の視点からその「思い出」を描いた。1959年のカンヌ国際映画祭にブルガリア映画として出品し、審査員特別賞を受賞。1995年には「最も重要なドイツ映画100選」に選出された。
◆東西ベルリンの分断を象徴するラブストーリー
東ドイツを代表する女性作家クリスタ・ヴォルフが1963年に発表した同名ベストセラー小説を映像化。1964年のカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭で公開された後、西ドイツ各地の映画館で上映。東ドイツでは封切り直後に禁止され、1982年にようやくテレビ放映が実現した。1961年8月に建設された「ベルリンの壁」が、隠喩として描かれる。
◆19歳でソ連兵としてドイツを訪れたヴォルフの自伝的作品
1945年4月半ばから5月初め、終戦間近のドイツに敵軍として送られた若い少尉の複雑な気持ちを日記風に描く。歴史的事実をモノクロ映像で再現。自由で自然なカメラワークは、ロベルト・ロッセリーニ『無防備都市』(45)を想起させる。デーファ製作のドキュメンタリー『Todeslager Sachsenhausen(死の収容所ザクセンハウゼン)』(46、リヒャルト・ブラント監督)の処刑執行人へのインタビューが引用されている。
◆戦後ドイツの混乱期にたくましく生きる人々の姿
第二次大戦直後、ソ連と東ドイツが共同経営するウラン採掘鉱山「ビスマス」で働く労働者達の日常と労苦を描く。ファシストだった過去を持つドイツ人現場監督と妻をナチスに殺されたロシア人技術者。身寄りの無い娘ルッツと母親代りの娼婦エミ。脚本の修正や撮り直しを繰り返しながら、ようやく完成したものの上映中止を余儀なくされた。エーリッヒ・ホーネッカー政権下の1972年に東ドイツで劇場公開が叶った。
◆社会主義における芸術家の存在意義とは?
40歳の誕生日を控えた、彫刻家の主人公ケンメル。労働者たちや家族、友人など周囲の人々との関係の中で、自身の仕事に自問する日々を送る。ユーモアを含む会話の端々に現れる、繊細なキャラクター造形。静かな余韻を感じさせる描写の中に、イデオロギーをめぐる芸術家のジレンマが浮き彫りになる。
◆反ナチ化に携わるドイツ人捕虜たちの苦悩を描く
ドイツ国防軍の兵士達が敵軍に協力する、という物語を描く本作。ヴォルフガング・コールハーゼが放送劇として書いた脚本に、実際の戦争体験者や証人達との対話を加筆して1本の映画にまとめ上げた。タイトルは、ソ連軍の捕虜として生き延びたドイツ兵が故郷の家族に宛てた「戦地便り」のメモに由来する。ヴォルフが自身の体験に基づいて制作した『僕は19歳だった』と対をなす作品。
◆歌手として生きる女性の人生模様
1970年代のベルリン、プレンツラウアーベルク地区出身の歌手サニーは、小さなバンドと共に巡業公演しながら、いつかソロデビューすることを夢見ている。恋愛に苛まれ、友情に救われながら、人生を築く彼女。そのドラマを東ドイツ産ポップスが彩る。ヴォルフガング・コールハーゼと共同監督した、ヴォルフ最後の劇映画作品。主題歌は大ヒットし、衣装や小道具などはポツダム映画博物館に常設展示されている。
一般1900円、シニア1300円、会員・学生1200円、高校生以下・ハンディキャップ1000円
※回数券・招待券使用不可
※ご鑑賞の7日前から窓口とオンラインでチケットのご購入が可能です。ご鑑賞当日はオンライン予約の方は専用窓口で発券、当日券の方は窓口で指定席をお選びの上、開始時間の10〜15分前からご入場いただきます。
<全席指定席>となります。満席の際はご入場出来ませんので、ご了承下さい。
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