朝ドラ「おちょやん」公開記念 浪花の名女優 浪花千栄子 アンコール
卓越した演技力と存在感で、巨匠たちから愛された名優・浪花千栄子。
数々の名作に出演するとともに、喜劇からホームドラマまで、映画に欠かせない名脇役だった。
浪花千栄子が渋谷天外と離婚し脱退した後、低迷する新喜劇の会心のヒット作となった『桂春団治』。
渋谷天外の代表作となったばかりか、藤山寛美の出世作ともなった。
この映画化にあたり、請われた浪花は春団治(森繁)に尽くすおたま(淡島)の姉役として出演。
ひどい仕打ちで別れた夫・渋谷天外の脚本でありながら、逡巡しつつ出演を決めている。
前年に製作されヒットした森繁&淡島の『夫婦善哉』と同じ配役、同じ時代背景の作品として浪花はこの2本に不可欠な重要なキャスティングだったのだ。
出たくない辛い仕事を、必要とされる女優の責任として、出演を引き受けざるをえなかった――。
この『桂春団治』、数十年ぶりにデジタル版で甦った『アチャコ青春手帖 大阪篇』のデジタルリマスター版、そして続編2本、大好評の『丼池』、珍しいアクション映画『三匹の悪党』など6本をアンコール上映!
浪花千栄子 略歴
本名、南口キクノ(なんこう・きくの)。1907年(明治40)大阪府生まれ。
4歳で母に死別、8歳で道頓堀の女中奉公に出される。18歳で京都に出て女給となり、女優に誘われて村田栄子一座に入る。劇場主の推薦で東亜シネマ等持院撮影所に入る。その後、1927年に浪花千栄子の芸名で舞台に立つ。1930年(昭和5)23歳で、2代目渋谷天外、曾我廼家十吾らが旗揚げした「松竹家庭劇」に加わり、天外と結婚、さらに天外らが旗揚げした「松竹新喜劇」でも看板女優として活躍する。1950年、天外の浮気から離婚し、退団する。1952年、NHKラジオドラマ「アチャコ青春手帖」での花菱アチャコとの掛け合いで注目を集め、「お父さんはお人好し」で人気を不動のものにした。同時に、映画出演も続き、溝口健二『祇園囃子』でブルーリボン助演女優賞を受賞して以来、溝口、小津安二郎、木下恵介ら巨匠たちに重用される。代表作に、豊田四郎『夫婦善哉』、黒澤明『蜘蛛巣城』、内田吐夢『宮本武蔵』、小津安二郎『彼岸花』など日本映画の名作に数多く出演。テレビドラマでも『太閤記』『細うで繁盛記』などで活躍。後半生は京都嵐山で料理旅館「竹生」を経営した。自叙伝に『水のように』がある。1973年急逝、享年66。
上映作品
アチャコ青春手帖 大阪篇
1952年/新東宝・吉本/83分/白黒/デジタル
監督:︎野村浩将/原作:長沖一/脚本:山崎謙太/撮影:友成達雄/美術:伊藤壽一/音楽:服部正
出演:花菱アチャコ、浪花千栄子、柳家金語楼、左幸子、大泉滉、益田喜頓、藤原釜足、渡辺篤、武智豊子、横尾泥海男、一の宮敦子、暁テル子
♦渋谷天外と離婚、松竹新喜劇も退団し京都で失意のうちに暮らしていた浪花だが、1952年のNHKラジオ番組「アチャコ青春手帖」でアチャコの母親役に抜擢され、奇跡の復活!映画化され、「東京篇」に続く大阪が舞台の第2弾。落第が続き、大学生活を打ち切り大阪に帰ってきたアチャコだが、女難に遭って…。「大阪のお母さん」浪花の伝説がここに始まる。
お父さんはお人好し 花嫁善哉
1958年/宝塚映画/62分/白黒/35ミリフィルム
監督:青柳信雄/脚本:新井ー/原作:長沖ー/撮影:西垣六郎/美術:近藤司/音楽:神津善行
出演:花菱アチャコ、浪花千栄子、山田彰、安西郷子、柳家金語楼、藤間紫、環三千世、太刀川洋一、香月京子、森川金太郎、上田節子、川上賢二、小原新二、森明子、早川恭二
♦1954年から65年まで実に500回にわたり放送された人気ラジオドラマ。関西喜劇ブームの先駆的な作品となり、大映、宝塚映画で7本が映画化。子沢山のアチャコ&浪花千栄子夫婦の三男坊(山田)が金持ちの令嬢(安西)と結婚。母(藤間)がなにかと干渉、浪花はお嫁さんに気を使う日々だが…。笑いと涙で日本中を湧かせたほんわかホーム・コメディ最終作。
世にも面白い男の一生 桂春団治
1956年/宝塚映画/108分/白黒/35ミリフィルム
監督:木村恵吾/原作:長谷川幸延/脚本:渋谷天外、木村恵吾/撮影:三村明/美術:水谷浩/音楽:原六朗
出演:森繁久彌、淡島千景、高峰三枝子、八千草薫、田村楽太、田中春男、横山エンタツ、浪花千栄子、西川ヒノデ、杉山昌三九、千石規子、三好栄子
♦落語界のスーパースター・桂春団治(森繁)の破天荒な人生を、3人の女(世話女房・淡島千景、妖艶な後家・高峰三枝子、純情京娘・八千草薫)を軸に描いた傑作。浪花と別れた後、渋谷が自らを重ね合わせ、起死回生の大ヒット作となった名戯曲。映画化にあたっても渋谷の担当に、浪花は逡巡するが、春団治の妻・おたま(淡島)の姉役として出演。そんな素振りも見せない名演となった。※経年劣化でフィルムが著しく傷んでいることを予めご了承ください。
続 番頭はんと丁稚どん
1960年/松竹京都/79分/カラー/35ミリフィルム
監督:的井邦雄/脚本・原作:花登筐/脚本:山根優ー/撮影:太田喜晴/美術:桑野春英/音楽:大森盛太郎
出演:大村崑、芦屋雁之助、芦屋小雁、芦屋雁平、浪花千栄子、九條映子、浅茅しのぶ、榎本健一、森川信、ザ・ピーナッツ、マヒナ・スターズ、三浦策郎、桂小金治、花紀京
♦1959年に開局したばかりの毎日放送で最高視聴率82%を記録したお化け番組の映画化第二弾。楽しみにしていた天神祭の当日、崑松(大村)は集金を言いつけられるが、集金袋を取り違えて…。大村崑が丁稚とサーカス団員の二役で大活躍。団長はエノケン、本人役でザ・ピーナッツも登場する豪華版。人情味溢れる「大阪のお母さん」=浪花のご隠居はんも健在。
丼池
1963年/宝塚映画/104分/白黒/35ミリフィルム
監督:久松静児/原作:菊田一夫/脚本:藤本義ー/撮影:黒田徳三/美術:加藤雅俊/音楽:広瀬健次郎
出演:司葉子、三益愛子、新珠三千代、森光子、浪花千栄子、中村鴈治郎、佐田啓二、園佳也子、田村奈巳、佐原健二、山茶花究、弘世東作、湯浅恵子、立岡光、加藤春哉
♦菊田一夫原作を藤本義ーが脚本し、昭和の庶民派・久松静児が監督した「大阪もの」の代表作。大阪のど真ん中、繊維街・丼池で、私利私欲に目がくらんだ女たちが繰り広げるコテコテの群像劇。大阪各地でロケを敢行。60年代の大阪が懐かしい!行商のおばちゃんを演じた浪花の「大阪のお母さん」も光る名編。全回満員だった『丼池』をアンコール上映!!
三匹の悪党
1968年/日活/83分/カラ/35ミリフィルム
監督:松尾昭典/脚本:星川清司/撮影:岩佐一泉/美術:中村公彦/音楽:池田正義
出演:小林旭、高橋英樹、田中邦衛、浪花千栄子、町田祥子、松尾嘉代、深江章喜、近藤宏、柳瀬志郎、黒田剛、野口圭介、浜川智子、河野弘、木浦佑三、榎木兵衛、玉村駿太郎、
♦任侠映画は東映専売特許ではない。大正時代の漁師町を舞台に、流れ者たちがヤクザ相手に暴れ回る日活任侠映画。ヤクザの金の強奪を企てたイカサマ博徒の半次郎(高橋)と三郎(田中)に“片目の一本松"(小林)が現れて…。蔵原惟繕、神代辰巳と同期で日活アクションの名手・松尾昭典が3人の名優たちと魅せる快作。三郎の母役の浪花が珍しい非関西弁で豪演!
入場料
前売券
前売1回券1,200円/前売3回券3,000円
※前売券は、窓口でのみの販売
当日券
一般1,500円/学生・シニア1,100円/会員・高校生以下1,000円
当日3回券3,600円/シニア3回券3,000円/会員3回券2,700円
※ご鑑賞の3日前から窓口とオンラインでチケットのご購入が可能です。ご鑑賞当日はオンライン予約の方は専用窓口で発券、当日券の方は窓口で指定席をお選びの上、開始時間の10〜15分前からご入場いただきます。
<全席指定席>となります。満席の際はご入場出来ませんので、ご了承下さい。
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