”フィルム・ノワール”の歴史はフランスの映画批評家、ニーノ・フランクが第二次大戦中にアメリカで作られた犯罪映画を”フィルム・ノワール”と呼んだことからはじまるが、その源流は1930年代に人気を集めたギャング映画にあるとも言われている。
フィルム・ノワールの特徴として、都会の片隅に生きる裏社会に通じる男、警官、ギャング、探偵などが主役、男を破滅へと導くファム・ファタールの存在、殺人、保険金、裏切りが裏切りを呼ぶ悪の世界、そしてナレーションによる回想シーン、ドイツ表現主義にも通じる白と黒のコントラストが強調された映像、などが上げられる。ハリウッドで生まれたフィルム・ノワールはヌーヴェル・ヴァーグが華やかりしフランスでも絶賛され、フランス映画に定着していくこととなる。しかし多くの作品はB級映画として製作され、上映時間や俳優の起用に制限があったと言われている。そんな厳しい条件の中で知恵を絞り、工夫して捻り出されたフィルム・ノワールは映画史に刻まれるジャンルとして現在もファンを獲得し続けている。