映画の面白さは“フィルム・ノワール”にあり！ 1940年代から50年代の“ハリウッド黄金時代”に世界の映画ファンを魅了したフィルム・ノワールの数々。スタンバーグの『暗黒街』（27年）、ハワード・ホークスの『暗黒街の顔』（32年）など戦前のギャング映画が源流のひとつだが、フリッツ・ラングやヨーロッパから逃れて来た人々のペシミズムや閉塞感、ナチスへの恐怖感から創り出された映画こそ、その原点。すなわち“フィルム・ノワール”とは、恐怖感を描いた映画であり、「出口のないところに閉じ込められていく感覚」をサスペンスたっぷりに娯楽映画として仕上げた作品である。白と黒のコントラスト、夜間ロケーションの多用、モノローグや回想など時系列が錯綜するストーリー展開、そして都会の片隅に生きる裏社会の男やギャング、探偵を主役に、男たちを破滅へと導く魅惑のファム・ファタール、裏切りが裏切りを呼ぶ悪の世界が炸裂する興奮の“フィルム・ノワール”！ 映画ファンが驚喜した作品群が再び登場する！ 同時に40年代後半は“赤狩り”の時代。“フィルム・ノワール”を作った映画人たちが、共産党シンパだとして追われ投獄されていく。まさに恐怖が映画人たちを襲ったのだ。いま回顧する“フィルム・ノワール”。現実にならないことを祈って。