映画監督 野村芳太郎 生誕101年
2019年、生誕100年を迎えた映画監督・野村芳太郎。松本清張原作『張込み』『ゼロの焦点』『砂の器』など、骨太なサスペンス映画で日本映画界に新境地を開拓するとともに、風刺の効いた喜劇から青春映画、歌謡映画、時代劇、社会派サスペンス、ホームドラマ、女性映画、犯罪映画など、多種多彩な映画を作り続けてきた稀有な職人監督だった。松竹という会社にあって、確かな演出力で大船調を代表する監督として活躍。量産されるプログラム・ピクチャーをひたすら撮り続け、築き上げた生涯の88作品。その多作ぶりは、戦後の映画監督としては特筆すべき存在である。39歳で作った傑作『張込み』など松本清張原作の社会派サスペンスでとりわけ高い評価を得て、1974年の超大作『砂の器』は代表作となった。2005年に85歳で亡くなって15年。野村芳太郎 生誕101年、松本清張 生誕111年となる2021年お正月、多彩な映画に彩られた野村芳太郎監督の作品世界を存分にお楽しみください。
野村芳太郎 略歴
◆1919年(大正8年)4月23日、京都市生まれ。映画監督で松竹蒲田撮影所の名所長と謳われた野村芳亭の長男として生まれ、撮影所を遊び場として育った。慶大文学部芸術学科に進学したが、太平洋戦争勃発で繰り上げ卒業し、松竹に入社するも、42年に応召され、インド東部インパールでの地獄の敗退から奇跡的に生還。◆復職後、松竹で川島雄三、黒澤明監督らの助監督ドラマなど多彩なジャンルで活躍。58年に初の松本清張原作の『張込み』で評価を高めた。以後も松本清張ものの原作を映画化。『ゼロの焦点』(61年)、『影の車』(70年)、『砂の器』(74年)など、骨太なサスペンス映画で日本映画界に新境地を開拓。清張もの以外でも、『背徳のメス』(61年)、『左ききの狙撃者 東京湾』(62年)、『事件』(78年)など社会派サスペンスの傑作を発表。また、渥美清の名演技を引き出した『拝啓天皇陛下様』(63年)など、庶民の立場に立って社会批判を込めた喜劇など多彩な作品を作り続けた。◆73年に脚本家・橋本忍主宰の橋本プロに参加、78年には松本清張と霧プロを設立し、プロデューサーとしても手腕を発揮し、『八甲田山』(77年)、『天城越え』(83年)などを手掛けた。◆90年に脳出血で倒れてから療養を続けていたが、自宅で企画を練るなど最後まで現場復帰に意欲を見せていた。酒はまったく飲めず、大の甘党だったという。2005年4月8日、85歳で死去。85年の『危険な女たち』が遺作となり、生涯の監督作品は88本だった。2019年、生誕100年を迎えた。
上映作品
角帽三羽烏
1956年/松竹大船/カラー/84分
監督・脚本:野村芳太郎/脚本:光畑碩郎/撮影:井上晴二/美術:熊谷正雄/音楽:木下忠司 出演:高橋貞二、川喜多雄二、大木実、野添ひとみ、小山明子、紙京子、小林トシ子、中川弘子、渡辺粂子、日守新一
◆松竹伝統の三羽烏ものを高橋貞二、川喜多雄二、大木実の3人で映画化。同じ大学に通うお気楽学生三人組が、それぞれの恋の鞘当てを爽やかにかつドタバタで描いた青春恋愛コメディ。すでに三十路を超えた3人の似合わない(!)学生服姿、上京した大木の祖母の東京案内に松竹撮影所を訪ねる(佐田啓二、草笛光子が撮影中!)など、野村芳太郎が遊び心たっぷりに描く好編。野村初のカラー作品。
千万長者の恋人より 踊る摩天楼
1956年/松竹大船/カラー/92分
監督・脚本:野村芳太郎/脚本:光畑碩郎/撮影:井上晴二/美術:熊谷正雄/音楽:松井八郎、鏑木創 出演:高橋貞二、川喜多雄二、大木実、越路吹雪、古川緑波、日守新一、藤乃高子、浅茅しのぶ、有馬稲子、中川弘子
◆野村芳太郎によるミュージカル・ラブコメディ。テレビ局ディレクター高橋貞二が徳川家の末裔の「若殿」川喜多雄二の政略結婚を阻止させるために、一世一代の大作戦を行うが…。テレビ局の舞台裏で、恋人たちの恋愛騒動を軽やかに描く。『角帽三羽烏』の3人が出演し、それぞれハッピーエンドになるオチが楽しい。越路吹雪の歌とコメディエンヌぶりが絶品で、浅茅や大木も歌い、有馬は日舞を披露!
張込み
1958年/松竹大船/白黒/116分
監督:野村芳太郎/原作:松本清張/脚本:橋本忍/撮影:井上晴二/美術:逆井清一郎/音楽:黛敏郎 出演:大木実、宮口精二、高峰秀子、田村高廣、内田良平、高千穂ひづる、芦田伸介、菅井きん、藤原釜足、小田切みき
◆質屋殺しの主犯(田村)を追う二人の刑事(大木、宮口)は、別れた女(高峰)に会いに行くという情報を聞いた。さっそく女がいる佐賀に飛び、張込みを開始するが…。初の松本清張原作を脚本・橋本忍とのコンビで描いた代表作。心憎い心理描写とドラマチックな構成、スリルとヒューマニズムで描いたサスペンス・ドラマの最高峰! この一作で野村は高く評価されることになり、名声は不動になった。高峰が美しい!
花嫁のおのろけ
1958年/松竹大船/カラー/89分
監督:野村芳太郎/脚本:椎名利夫、中村定郎/撮影:井上晴二/美術:逆井清一郎/音楽:木下忠司 出演:高橋貞二、岡田茉莉子、小林トシ子、石浜朗、南原伸二、日守新一、宮城千賀子、朝丘雪路、伊藤雄之助、坂本武、川口のぶ、佐田啓二
◆独身・32歳の大学助教授の高橋は、弟が学生結婚したことに刺激され結婚を宣言するが…。高橋貞二が気弱な大学助教授役をコミカルに演じたラブ・コメディ。高橋の見合い相手に朝丘雪路や川口のぶ。元カノの妹で高橋に同情する娘に岡田。野村のテンポ溢れるストーリーテリングが冴え渡る。変化自在のファッションとボーイッシュなショートヘアの岡田の奇跡の可愛さ!野村初のシネスコ作品。
モダン道中 その恋待ったなし
1958年/松竹大船/カラー/93分
監督・脚本:野村芳太郎/脚本:山田洋次/撮影:井上晴二/美術:逆井清一郎/音楽:木下忠司 出演:佐田啓二、岡田茉莉子、高橋貞二、桑野みゆき、桂小金治、花菱アチャコ、坂本武、高橋とよ、永井達郎、桑野みゆき、三井弘次、川口のぶ
◆テレビ番組で懸賞金を得て東北・北海道へと花嫁探しの旅に出た佐田、車中で高橋と意気投合、青函連絡船で令嬢の岡田と知り合って…。佐田・岡田による『集金旅行』(監督:中村登)の、いわば東北・北海道版。名所旧跡巡りと美男美女が醸すモダンなロード・ラブ・コメディ。野村の才気と洒落っ気、茶目っ気に溢れた佳作。しかし、社内からはふざけすぎとクレームが出て、その後1年も干されることに…。
どんと行こうぜ
1959年/松竹大船/白黒/90分
監督・脚本:野村芳太郎/脚本:大島渚/撮影:川又昂/美術:宇野耕司/音楽:芥川也寸志出演:津川雅彦、牧紀子、高千穂ひづる、高橋貞二、川津祐介、小坂一也、九条映子、渡辺文雄、中圭子、冨永ユキ、ハナ肇とクレージーキャッツ、西村晃、山茶花究、市原悦子
◆干されて、1年ぶりの映画が“どんと行こうぜ”とは! 結局、59年に監督したのは本作だけ。脚本は新人時代の大島渚とのオリジナル。実験的でアナーキーな異色青春篇となった。大学の放送研究会の牧は、デンスケを肩に“現代学生の経済生活"について取材するが…。野村の作家性を感じさせる一本で、クレージーキャッツなど出演陣も実物。その後、野村とコンビを組むことになる川又昂の初撮影作品。
ゼロの焦点
1961年/松竹大船/白黒/95分
監督:野村芳太郎/原作:松本清張/脚本:橋本忍、山田洋次/撮影:川又昂/美術:宇野耕司/音楽:芥川也寸志 出演:久我美子、高千穂ひづる、有馬稲子、南原宏治、西村晃、加藤嘉、穂積隆信、野々浩介、十朱久雄、高橋とよ、沢村貞子、永井達郎、桜むつ子
◆新婚一週間目の夫が金沢出張に出たきり失踪した。案ずる新妻は金沢へ赴き、夫の過去を探るうち意外な事実に遭遇する…。寒風凄まじい荒涼たる北陸の大自然を背景に、謎に満ちたストーリーが展開され、予想だにしないどんでん返しを見せる推理劇。『張込み』に続き、松本清張の代表作を、有馬、久我、高千穂の三大女優が戦後を生きる女の哀しき境遇を華麗に演じ切り、清張自身も絶賛した傑作サスペンス。
背徳のメス
1961年/松竹京都/白黒/88分
監督:野村芳太郎/原作:黒岩重吾/脚本:新藤兼人/撮影:川又昂/美術:大角純一/音楽:芥川也寸志 出演:田村高広、高千穂ひづる、久我美子、山村聡、加藤嘉、瞳麗子、松井康子、葵京子、真木康次郎、城所英夫、倉田爽平、佐野美子
◆黒岩重吾の直木賞受賞作の映画化。大阪・阿倍野の病院を舞台に、金と欲望にまみれた人間たちの愛憎劇。病院でおきた堕胎手術の失敗が、思わぬ事件を引き起こし、やがて殺人未遂事件に発展する…。場末を徘徊する漁色家の外科医を田村が好演。初めて新藤兼人と脚本を組み、重厚なミステリーの語り口で人間の深い闇を描いた社会派サスペンス。その後、『白い巨塔』(66年)へと至る大阪が舞台の病院もの。
拝啓天皇陛下様
1963年/松竹大船/カラー/99分
監督・脚本:野村芳太郎/原作:棟田博/脚本:多賀祥介/撮影:川又昻/美術:宇野耕司/音楽:芥川也寸志 出演:渥美清、左幸子、長門裕之、中村メイコ、高千穂ひづる、藤山寛美、桂小金治、加藤嘉、西村晃、小田切みき、多々良純、森川信、山下清、浜口庫之助
◆両親を亡くし、貧しい親戚をたらい回しにされて育った山正こと山田正助にとって、三度の飯と教育も与えてくれる軍隊は天国のような場所だった。だが戦争が終わるという噂に、彼は軍隊にいさせてほしいと天皇陛下に手紙を書くが…。野村の手腕も冴え、渥美が愛すべき無垢な男・山正を演じ、寅さん以前に渥美の才能を開花させた名作喜劇。山下清が本人の役で出たり、昭和天皇はなんと浜口庫之助!◎原作者・棟田博の遠縁にあたる劇作家・坂手洋二が戯曲化し、劇団「燐光群」が2020年末に各地で公演した。
素敵な今晩わ
1965年/松竹大船/カラー/82分
監督・脚本:野村芳太郎/原作・脚本:馬場当/撮影:川又昂/美術:熊谷正雄/音楽:平岡精二 出演:犬塚弘、岩下志麻、中村晃子、村田知栄子、穂積隆信、楠侑子、桜井センリ、武智豊子、渡辺篤、ハナ肇、石橋エータロー
◆クレージーキャッツ第4の男といわれた犬塚弘の初主演映画。自動車教習所の冴えない指導員の犬塚は、銀座で見かけた美女(岩下)に一目ぼれ。拾った仔犬を抱いて寝ると、夢の中で彼女と会えることに気づいた彼は、夜ごと仔犬を布団に引き入れて眠るのだが…。日常がセピア調、夢のなかで岩下とデートを重ねるのはフルカラーというファンタジー・コメディ。岩下の絶世の美女ぶりにため息の楽しい一本。
女たちの庭
1967年/松竹大船/カラー/93分
監督:野村芳太郎/脚本:井手雅人、永井素夫/撮影:川又昻/美術:梅田千代夫/音楽:山本直純 出演:香山美子、生田悦子、小畠絹子、岡田茉莉子、尾崎奈々、高峰三枝子、倍賞千恵子、小沢栄太郎、園井啓介、山口崇、千秋実、柳沢真一
◆モーパッサンの「ピエールとジャン」の兄弟を姉妹に置き換え、豪華女優人出演の女性映画。東京・日本橋の老舗織物店の小畠、香山、生田の三人娘。長女(小畠)は跡取りとして園井を婿に迎え、父(小沢)は次女(香山)の結婚相手にと、東大卒の山口を薦めるが、母(高峰)は何故か乗り気でなく…。結婚問題から、思わぬ形で発覚した三女の出生の秘密に揺れる家族の愛と絆を描く。さすが松竹、女優王国!
女の一生
1967年/松竹大船/カラー/119分
監督・脚本:野村芳太郎/原作:ギ・ド・モーパッサン/脚本:山田洋次、森崎東/撮影:川又昻/美術:梅田千代夫/音楽:林光 出演:岩下志麻、栗塚旭、左幸子、田村正和、竹脇無我、宇野重吉、小川真由美、長岡輝子、大坂史郎
◆引き続きモーパッサンの名作を、野村、山田、森崎の三人が日本アルプスの麓の旧家を舞台に翻訳・脚色した文芸大作。旧家の一人娘伸子(岩下)は、宗一(栗塚)と結婚するが、夫の裏切りをきっかけに数奇な運命を辿ることに…。岩下が過酷な運命を生きる女の気高さと美しさを見事に演じ、喜びや哀しみの果ての人間の業を見つめた女の年代記となった。野村が女性映画に確かな腕を見せた一本。
白昼堂々
1968年/松竹大船/カラー/99分
監督・脚本:野村芳太郎/原作:結城昌治/脚本:吉田剛/撮影:川又昻/美術:梅田千代夫/音楽:林光 出演:渥美清、倍賞千恵子、藤岡琢也、有島一郎、生田悦子、田中邦衛、フランキー堺、田中邦衛、佐藤蛾次郎、大貫泰子、新克利、コント55号、佐山俊二
◆高度経済成長に置き去りにされた炭坑労働者たちが、一大スリ集団を組織して、都会のデパートを標的にする!? 直木賞作家・結城昌治の本格クライム小説を、渥美清、藤岡琢也、田中邦衛、フランキー堺たち芸達者な役者陣で底抜けに明るくユーモラスに描いた傑作喜劇。渥美はスリのリーダーで面倒見の良い苦労人を好演。ヒロインの女スリ倍賞も華を添えた。まさに笑って泣かせる人情喜劇!
影の車
1970年/松竹大船/カラー/98分
監督:野村芳太郎/原作:松本清張/脚本:橋本忍/撮影:川又昻/美術:重田重盛/音楽:芥川也寸志 出演:岩下志麻、加藤剛、小川真由美、滝田裕介、岩崎加根子、芦田伸介、浜田寅彦、稲葉義男、近藤洋介、早野寿郎、岡本久人
◆松本清張の短編集「影の車」に収録された「潜在光景」を映画化した傑作心理サスペンス。平凡なサラリーマン(加藤)は、4年前に夫に先立たれた幼なじみ(岩下)と再会し、彼女にのめり込んでゆく。だが、愛欲に溺れながら、徐々に彼女の6歳の息子に恐怖を感じてゆく男の心理状態を描く。日常の奥に潜む恐怖を鋭く描き、物語の展開とともに増していく演出の深まりと川又の映像処理が素晴らしい!!
砂の器 4Kデジタルリマスター版
1974年/松竹・橋本プロ/カラー/143分
監督:野村芳太郎/原作:松本清張/脚本:橋本忍、山田洋次/撮影:川又昻/美術:森田郷平/音楽:芥川也寸志/作曲:菅野光亮 出演:丹波哲郎、加藤剛、森田健作、加藤嘉、島田陽子、春田和秀、佐分利信、緒形拳、渥美清、笠智衆、山口果林、夏純子、稲葉義男
◆迷官入りかと思われた蒲田操車場殺人事件。“カメダ”という言葉を手掛かりに捜査を続ける刑事たちの執念と、暗い過去を背負う為に殺人を犯してしまう天才音楽家の宿命を描いた野村芳太郎監督最高傑作。構想に14年、原作・清張、脚本・橋本、監督・野村の見事なアンサンブルが醸し出したサスペンス映画の頂点。日本の四季を縦断して丁寧に撮影し、荘厳な旋律が感動へと導き、日本中で記録的大ヒットとなった。
昭和枯れすすき
1975年/松竹/カラー/87分
監督:野村芳太郎/原作:結城昌治/脚本:新藤兼人/撮影:川又昂/美術:森田郷平/音楽:菅野光亮 出演:高橋英樹、秋吉久美子、池波志乃、伊佐山ひろ子、松橋登、下條アトム、鈴木瑞穂、稲葉義男、ひし美ゆり子、山谷初男、江角英明、穂積隆信
◆結城昌治の原作とさくらと一郎のヒット曲「昭和枯れすゝき」をモチーフに映画化。天涯孤独の兄妹でありながら、兄は刑事、妹は不良少女という屈折した兄妹愛を描いた好篇。川又の映像美が素晴らしく、都会の荒波にもまれながらも小さな幸せを夢見る庶民の哀しみを描いた感動作。大作『砂の器』の直後の作品であり、その成功に力むことなく佳作として作り上げ、これこそ野村の最高傑作との誉れ高い傑作。
八甲田山 4Kデジタルリマスター版
1977年/橋本プロ・東宝・シナノ企画/カラー/171分
監督:森谷司郎/製作:野村芳太郎、橋本忍、田中友幸/原作:新田次郎/脚本:橋本忍/撮影:木村大作/音楽:芥川也寸志/美術:阿久根巖 出演:高倉健、北大路欣也、三國連太郎、大滝秀治、丹波哲郎、加山雄三、藤岡琢也、緒形拳、小林桂樹
◆1902年に起こった八甲田雪中行軍遭難事件を基にした新田次郎原作の映画化。橋本と野村は、『砂の器』の製作中に次の大作として松竹に話を持っていくが断られ、東宝で製作することに。野村は製作に回り森谷が監督。「天は我々を見放した!」過酷な雪の八甲田で3年がかりの撮影を敢行し、日本映画史に残る記録的な大ヒットを記録した。撮影の木村大作監修による4Kデジタルリマスター版の上映。
事件
1978年/松竹/カラー138分
監督:野村芳太郎/原作:大岡昇平/脚本:新藤兼人/撮影:川又昂/美術:森田郷平/音楽:芥川也寸志、松田昌 出演:松坂慶子、永島敏行、大竹しのぶ、山本圭、夏純子、佐分利信、中野誠也、芦田伸介、丹波哲郎、渡瀬恒彦、西村晃、森繁久彌、乙羽信子
◆大岡昇平の大ベストセラーを映画化し大ヒット、作品も評価されこの年の日本アカデミー賞を独占。犯罪事件の中に、骨太な人間ドラマを構築する野村監督の真骨頂ともいえる代表作。姉妹で一人の青年を愛し奪い合ったことから殺人事件が起きた…。的確な回想による展開、そして裁判シーンとサスペンスの妙味を堪能。この年、『鬼畜』とともにベストテンにも入賞し、野村の円熟期の様相を見せた。
迷走地図
1983年/松竹・霧プロ/カラー/136分
監督・脚本:野村芳太郎/原作:松本清張/脚本:古田求/撮影:川又昂/美術:森田郷平/音楽:甲斐正人 主演:勝新太郎、岩下志麻、渡瀬恒彦、松坂慶子、津川雅彦、いしだあゆみ、寺尾聰、早乙女愛、芦田伸介、伊丹十三、加藤武、大滝秀治、内田朝雄、宇野重吉、三谷昇
◆政権を握る改憲党内第二派閥領袖・寺西(勝)は、現首相から政権の禅譲を受け、首相の座に就くことを狙っていた。だが、裏で支えていたはずの夫人(岩下)が4年来の私設秘書(渡瀬)にラブレターを書いていたことから…。政治スキャンダル、金銭授受、さらに殺人事件までを絡めて描いた清張版社会派サスペンス。権力欲と金銭欲にまみれた政治家たちと、権力に群がる人間たちを描き、豪華な俳優陣も話題になった。
危険な女たち
1985年/松竹・クラップボード/カラー/121分 <遺作>
監督:野村芳太郎/原作:アガサ・クリスティー/脚本:竹内銃一郎、古田求/撮影:川又昂/美術:森田郷平 出演:大竹しのぶ、藤真利子、池上季実子、和由布子、石坂浩二、寺尾聰、三田村邦彦、夏八木勲、小沢栄太郎、北林谷栄、日色ともゑ、岡本真実
◆アガサ・クリスティー原作「ホロー荘の殺人」の舞台を南紀・白浜の別荘に置き換え映画化した野村芳太郎最後の劇映画。最後もミステリー、しかし『迷走地図』で決別した清張ものではなくアガサ・クリスティー原作だった。密室殺人を解決するのはポワロではなく推理作家の石坂。別荘に集まった6人の客のうち、医者(寺尾)が殺された…。愛憎によって引き起こされた殺人事件を描くミステリーロマン。
入場料
前売券
前売1回券1,200円/前売5回券5,000円
※前売券は、窓口で販売中
当日券
一般1,500円/学生・シニア1,100円/会員・高校生以下1,000円
当日5回券6,000円/シニア5回券5,000円/会員5回券4,500円
※ご鑑賞の3日前から窓口とオンラインでチケットのご購入が可能です。ご鑑賞当日はオンライン予約の方は専用窓口で発券、当日券の方は窓口で指定席をお選びの上、開始時間の10〜15分前からご入場いただきます。
<全席指定席>となります。満席の際はご入場出来ませんので、ご了承下さい。
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