[大島渚監督略歴]
◆1932年1932年3月31日、京都市に生まれる。6歳の時に父が亡くなり、父の勤務先の岡山・瀬戸内沿いの漁村から母の実家がある京都に移る。50年京都大学法学部に入学。演劇、学生運動に傾倒し、京都府学連委員長を務める。54年、卒業後、松竹大船撮影所に助監督として入社、大庭秀雄、野村芳太郎、小林正樹らの作品につく。59年、自作の脚本「鳩を売る少年」が改題された「愛と希望の街』で監督デビュー。続く『青春残酷物語』 (60年)もあって、松竹「大船調」の枠組みを打ち破る大型新人の登場として注目を集め、"松竹ヌーヴェル・ヴァーグの旗手といわれる。 60年10月、第4作 『日本の夜と霧』が浅沼社会党委員長の刺殺事件の直後、公開4日後にして突如打ち切り。その最中に、小山明子と結婚。その披露パーティは『日本の夜と霧』の結婚式版さながら、 松竹糾弾の場と化した。この年、『青春残酷物語』で第1回日本映画監督協会新人賞を受賞。翌年、松竹を退社し、 独立プロ「創造社」を設立。『飼育』(61年)を撮るが、話題作でありながら独立プロの貧弱な興行細で寂しい結果となる。 62年、東映から依頼されて『天草四郎時貞』を撮るが、こちらも興行的に失敗。しばらくはテレビ作品に活路を見いだし、傑作 『忘れられた皇軍』(63年)、『ユンボギの日記』(65年) などを撮る。64年からは最初で最後の連続テレビドラマ『アジアの曙』13話を製作。65年に初の創造社作品『悦楽」で3年ぶりに映画を監督。以後、66年『白昼の通り魔』67年『忍者武芸帳』『日本春歌考』『無理心中 日本の夏』と意欲的に作品を発表。 戦後の日本社会に鋭く切り込むとともに、大胆な映像と空間処理、 音の設計などで映画表現の可能性を大きく広げてきた大島が、 ATGと組んで製作費を折半する初の「一千万円映画」となった68年の『絞死刑』で、ひとつの頂点を迎える。以後もATGと組んで戦後史に残る数々の傑作を発表し続ける。69年には『新宿泥棒日記』『少年』と傑作を連作。そして71年の『儀式』は、血縁や家父長制度に押し潰される若者の残酷な青春を描き、大島の問題意識が様式美と重なって生まれた最高傑作となる。73年、創造社を解散、75年に大島渚プロダクションを創立。『絞死刑』『少年』『儀式』等への国際的な高い評価をばねに製作の機会を海外に求める。76年にフランスのアルゴス・フィルムと組んで初のハードコア映画『愛のコリーダ』を発表。 世界的に絶賛されながら、日本では無残な修正版のみが公開。スチール写真と脚本が掲載された単行本『愛のコリーダ』(三一書房)がわいせつ文書として起訴される。しかし、大島は「芸術かわいせつか」ではなく「わいせつなぜ悪い」の論点で戦い、無罪を勝ち取る。78年は同じくアルゴス・フィルムとの合作で『愛の亡霊』を製作し、カンヌ映画祭監督賞を受賞。83年にはデヴィッド・ボウイ、坂本龍一 ビートたけしら出演の『戦場のメリークリスマス』を監督。俳優以外の本職がある多忙なスターたちを南の島に集め撮影を敢行するという、まさに「奇跡」の映画となる。以降もフランス映画『マックス、モン・アムール (87年)を監督。96年に製作発表しながら脳出血で倒れるも99年に復帰して完成された 『御法度』が遺作となる。再び長い闘病生活を送り、 2013年1月15日、 肺炎のため死去。享年80。80年に日本映画監督協会理事長に就任し、96年まで務めた。著書も数十冊と数多く『戦後映画・破壊と創造』『解体と噴出』『体験的戦後映像論』『同時代作家の発見」などは名著とされ、テレビ、マスコミなどでも活躍した「知の巨人」だった。2020年より新しい才能に贈られる「大島渚賞」が制定され、これまでに小田香監督、藤元明緒監督が受賞。2022年、大島渚監督の生誕90年を迎えた。
上映作品
常に権力と闘い、様々な問題作を発表し、社会を挑発し続けた大島渚 (1932-2013)。 現代日本を代表するとともに世界映画史に大きな足跡を残した稀有な映画監督。 人間、性、貧困、歴史、社会、変革などを主題に、またタブーとされる表現にも果敢に挑みながらも、その高い芸術性で世界中から高い評価を受けてきた。社会に対する怒りを作品にぶつけた『青春残酷物語』 (60年) で、一躍“松竹ヌーヴェル・ヴァーグ”の旗手と目され、60年安保闘争の時代、新旧安保世代のデイスカッションドラマ 『日本の夜と霧』 (同年)を撮るも、公開4日目で上映中止となる。以後、松竹を離れ創造社を設立、悪戦苦闘しつつも、『白昼の通り魔』 (66年)、『絞死刑』 (68年) など社会的テーマを実験的な手法で表現する作品を次々と製作。『少年』(69年)はその社会的テーマを追求しつつ、心情溢れる大島の叙情性を表出した傑作だった。『愛のコリーダ』(76年)以後は、活躍の場を世界に広げ、国境を越えた映画製作の道を切り拓いた功績は計り知れない。2022年、大島渚監督生誕90年を機に、デビュー作『愛と希望の街』(59年)から遺作『御法度』(99年)まで、大島渚の全貌を一挙上映する!!
愛と希望の街
1959年/松竹大船/62分/白黒/35mm
監督・脚本:大島渚/撮影:楠田浩之/音楽:真鍋理一郎/美術:宇野耕司/録音:栗田周十郎/照明:飯島博/編集:杉原よ志
出演:藤川弘志、富永ユキ、望月優子、渡辺文雄、伊藤道子、千之赫子、須賀不二夫
◆鳩を売り生計を助ける貧しい少年の姿を通じて、社会への怒りがほとばしる大島の鮮烈なデビュー作。タイトルは『鳩を売る少年』だったが暗いということで改題。 しかし、松竹伝統のヒューマニズムを一蹴する作品となった。
青春残酷物語
1960年/松竹大船/96分/カラー/35mm
監督・脚本:大島渚/撮影:川又昂/音楽:真鍋理一郎/美術:宇野耕司/録音: 栗田周十郎/照明:佐藤勇/編集:浦岡敬一
出演:桑野みゆき、川津祐介、久我美子、渡辺文雄、田中晋二、浜村純、富永ユキ、佐藤慶、小林トシ子、二本柳寛、山茶花究、森川信
◆欲望のままに若さを謳歌し、傷つけ合うようにしか愛せない男女を強い共感で描いた第2作。本作から「松竹ヌーヴェル・ヴァーグ」という言葉が生まれ、一躍その旗手として強い支持を受ける。 川津が黙々とリンゴをかじる伝説的シーン!
太陽の墓場
1960年/松竹大船/87分/カラー/35mm
監督: 大島渚/脚本: 大島渚、石堂淑朗/撮影:川又昂/音楽:真鍋理一郎/美術:宇野耕司/録音:栗田周十郎/照明:佐藤勇/編集:浦岡敬一
出演:炎加世子、佐々木功、津川雅彦、川津祐介、伴淳三郎、浜村純、戸浦六宏、小沢栄太郎、藤原釜足、 北林谷栄、渡辺文雄、富永ユキ、佐藤慶、小池朝雄
◆大阪・釜ヶ崎を舞台に、下層労働者たちの不満や残酷さ、暴力団同士の争い、破滅していく若者像を、 現代日本の縮図として徹底的に描く 「青春残酷物語・大阪篇」。釜ヶ崎でロケを敢行し、翌年の釜ヶ崎暴動の「予感の映画」と呼ばれた問題作。
日本の夜と霧
1960年/松竹大船/107分/カラー/35mm
監督:大島渚/脚本:大島渚、石堂淑朗/撮影:川又昂/音楽:真鍋理一郎/美術:宇野耕司/録音:栗田周十郎/照明: 佐藤勇/編集:浦岡敬一
出演:渡辺文雄、桑野みゆき、津川雅彦、小山明子、戸浦六宏、佐藤慶、芥川比呂志、氏家慎子、吉沢京夫、左近允宏
◆日本の戦後史上、最大の国民運動だった60年安保闘争。その熱気を受け、ある結婚披露宴に集まった人々の安保闘争を巡る新旧世代によるデスカッションドラマをゲリラ的に製作。 公開4日目で上映中止となり、大島は松竹を退社に至る過激なる問題作。
飼育
1961年/パレスフィルム/105分/白黒/35mm
監督:大島渚/原作:大江健三郎/脚本:田村孟/脚本協力:松本俊夫、石堂淑郎、東松照明/撮影:舎川芳次/音楽:真鍋理一郎/美術: 平田逸郎/編集:宮森みゆり
出演:三国連太郎、沢村貞子、中村雅子、大島瑛子、浜村淳、ヒュー・ハード、山茶花究、加藤嘉、石堂淑朗、小山明子、戸浦六宏、小松方正
◆松竹を退社した大島が、大江健三郎の小説を映画化。第2次大戦中、墜落した爆撃機から逃れた米国の黒人兵は村人たちに捕えられるが・・・。 戦争末期の山村の混乱ぶりと、権威にへつらい弱者を虐げる村人たちの醜悪さが描かれる隠れた傑作。
天草四郎時貞
1962年/東映京都 / 101分/白黒/35mm
監督:大島渚/脚本:石堂淑郎、大島渚/撮影:川崎新太郎/音楽:真鍋理一郎/美術:今保太郎/録音:佐々木稔郎/編集:宮本信太郎
出演:大川橋蔵、大友柳太朗、丘さとみ、三国連太郎、佐々木孝丸、八汐路佳子、花沢徳衛、三戸部スエ、毛利菊枝、佐藤慶、千秋実、河原崎長一郎、平幹二朗、戸浦六宏
◆東映からオファーを受け時代劇スターの大川橋蔵主演で撮った初の時代劇。天草四郎と島原の農民たちによるキリシタン弾圧に対する蜂起の物語を、革命劇として描く。 橋蔵、柳太朗主演映画が、ディスカッションドラマになるとは・・・!?
悦楽
1965年/創造社/90分/カラー/35mm
監督・脚本:大島渚/原作:山田風太郎/撮影:高田昭/音楽:湯浅譲二/美術:今保太郎/録音:西崎英雄/照明:平田光治/編集: 浦岡敬一
出演:中村賀津雄、加賀まりこ、野川由美子、清水宏子、樋口年子、八木昌子、小林昭二、小沢昭一、戸浦六宏、草野大悟、佐藤慶
◆山田風太郎原作を映画化。 失恋した男がひょんなことから大金を得る。その金で次々と女遍歴を始めるが・・・。 死を前にした性について徹底的に描こうとするが、映倫が「注意」を連発。性表現の積年の思いが、後年の『愛のコリーダ』につながる。
ユンポギの日記 ( KYOTO, MY MOTHER'S PLACEと2本立て上映)
1965年/創造社/25分/白黒/35mm
監督・製作・脚本・写真:大島渚/原作・出演:イ・ユンポギ/撮影:川又昂/音楽:内藤孝敏/編集:浦岡敬一/協力:篠崎敏男、吉岡潤、佐々木守、山口卓治/朗読:小松方正
◆大島自身が韓国で撮り続けた子どもたちの写真に、病気のと幼い弟妹の一家を支える韓国の10歳の少年ユンポギの手記 「ユンポギの日記」の朗読する声や、韓国の政治、社会情勢を問いかける声をかぶせ、構成した秀作ドキュメンタリー。
白昼の通り魔
1966年/創造社/99分/白黒/35mm
監督: 大島渚/原作:武田泰淳/脚本:田村孟/撮影:高田昭/音楽:林光/美術:戸田重昌/録音:西崎英雄/照明:三浦札/編集:浦岡敬一
出演:川口小枝、佐藤慶、小山明子、戸浦六宏、小松方正、岸輝子、渡辺文雄、殿山泰司、観世栄夫、茅島成美、滝沢修、川口秀子
◆通り魔となった男とその妻、女との3人が絡み合った無惨な物語。 実話をもとにした武田泰淳原作を、連続暴行犯“白昼の通り魔”の行方を通して戦後民主主義の敗北を見つめた傑作。撮影のカット数も多く、大島の結節点となった実験的野心作。
忍者武芸帳
1967年/創造社/131分/白黒/35mm
監督:大島渚/原作:白土三平/脚本:佐々木守、大島渚/撮影:高田昭/音楽:林光/録音:西崎英雄/編集:浦岡敬一
声の出演:山本圭、戸浦六宏、小沢昭一、松本典子、福田善之、佐藤慶、小山明子、観世栄夫、田中信夫、早野寿郎、露口茂、渡辺文雄、林光、小松方正
◆百姓一揆を煽動する忍者・影丸たちの暗躍を描いた白土三平の長編劇画を、原画を撮影する方法で映画化した大島の驚くべき異色挑戦作。静止原画のモンタージュ映像に忍者の物語が展開する、 アニメとは異なる力感に感嘆!
日本春歌考
1967年/創造社/103分/カラー/35mm
監督:大島渚/脚本:田村孟、佐々木守、田島敏男、大島渚/撮影: 高田昭/音楽:林光/美術:戸田重昌/録音:西崎英雄/照明:中村明/編集:浦岡敬一
出演:荒木一郎、伊丹一三、小山明子、吉田日出子、田島和子、岩淵孝次、串田和美、佐藤博、宮本信子、益田ひろ子
◆セクシャルな妄想と現実との谷間のなかで出口を失う若者たち。国家、共同体、性という大島の問題意識が提出された傑作。インターから反戦歌、そして春歌と「政治の季節」の終焉に、大島の即興演出が冴える。荒木一郎の春歌にしびれる!
無理心中 日本の夏
1967年/創造社/98分/白黒/35mm
監督:大島渚/脚本:田村孟、佐々木守、大島渚/撮影:吉岡康弘/音楽:林光/美術:戸田重昌/録音:西崎英雄/照明:佐野武治/編集:浦岡敬一
出演:桜井啓子、佐藤慶、戸浦六宏、殿山泰司、溝口舜亮、田村正和、小松方正、観世栄夫、福田善之、芦田鉄雄、小沢文也
◆“国家”を敵とした男たちは機動隊との銃撃戦に倒されていく・・・。 暴力、セックス、死への願望など、人々の内面に潜む社会に対する殺意と無関心さに警告を発した大島の前衛劇。60年代の学園紛争の末路を予兆したとされる問題作。
絞死刑
1968年/創造社+ATG/119分/白黒/35mm
監督: 大島渚/脚本:田村孟、佐々木守、深尾道典、大島渚/撮影:吉岡康弘/音楽:林光/美術:戸田重昌/録音:西崎英雄/編集:白石末子
出演:佐藤慶、石堂淑朗、小山明子、渡辺文雄、小松方正、尹隆道、足立正生、戸浦六宏、松田政男、(ナレーション) 大島渚
◆ATG初の“1000万映画”。1958年の小松川女子高校生殺人事件をもとに、死刑制度存廃問題や在日朝鮮人問題などを追及した異色社会劇。死刑執行のドタバタを通じて描く、毒と笑いに満ちたブラックコメディにして大島の代表作。
帰って来たヨッパライ
1968年/創造社/80分/カラー/16mm
監督:大島渚/脚本:田村孟、佐々木守、足立正生、大島渚/撮影:吉岡康弘/音楽:林光/美術:戸田重昌/録音:西崎英雄/照明:佐野武治/編集:浦岡敬一
出演: ザ・フォーク・クルセダーズ (加藤和彦、北山修、端田宣彦)、緑魔子、渡辺文雄、佐藤慶、車大善、殿山泰司、小松方正、戸浦六宏、足立正生
◆戦後最大のヒット曲となったザ・フォーク・クルセダーズの同名ヒット曲を題名に使い、彼らが出演した異色コメディ。自らのアイデンティティに何ら疑いを持たない日本人を鋭く問うとともに、反復する斬新な構成も話題になった。
新宿泥棒日記
1969年/創造社/94分/パートカラー/35mm
監督・編集:大島渚/脚本:田村孟、佐々木守、足立正生、大島渚/撮影:吉岡康弘、仙元誠三/美術:戸田重昌/録音:西崎英雄
出演:横尾忠則、横山リエ、唐十郎、田辺茂一、佐藤慶、渡辺文雄、戸浦六宏、麿赤児、大久保鷹、四谷シモン、不破万作、李礼仙、若林美宏
◆アングラ演劇からデモ隊まで、70年代安保闘争期の新宿を舞台に、幻想と現実の混沌とした世界を描く。横尾忠則から、唐十郎、紀伊国屋社長の田辺茂一などをも巻き込み、虚構とドキュメンタリーを往還しつつ、時代の空気を描き切った傑作。
少年
1969年/創造社+ATG/97分/カラー/35mm
監督:大島渚/脚本:田村孟 /撮影: 吉岡康弘、仙元誠三/音楽:林光/美術:戸田重昌/録音:西崎英雄/編集:白石末子
出演:阿部哲夫、小山明子、渡辺文雄、木下剛志、尹隆道(ナレーション) 小松方正、戸浦六宏
◆車に“当たり屋”を続けて生活する少年と家族。日本を縦断しながら家族のために犯罪を引き受ける少年の壮絶な日常。実際にあった事件をモデルに、全国ロケを敢行した傑作ロードムービー。 映像美の中で描かれる少年の孤独。 大島の代表作。
東京哉争戦後秘話 映画で遺書を残して死んだ男の物語
1970年/創造社+ATG/95分/白黒/35mm
監督:大島渚/脚本:原正孝、佐々木守/主題:大島渚、田村孟/撮影:成島東一郎/音楽:武満徹/美術:戸田重昌/録音:西崎英雄/編集:浦岡敬一
出演: 後藤和夫、岩崎恵美子、福岡杉夫、大島ともよ、福田健一、磯貝浩、橋本和夫、堀越一哉
◆1969年11月の羽田闘争 (東京戦争) の敗北後、映画製作に没頭する “戦後”派の若者を通じて、来たるべき時代の可能性を模索した実験作。当時話題となった原正孝(後の将人) ら高校生の自主映画グループと組んで製作した異色作。
儀式
1971年/創造社+ATG/123分/カラー/35mm
監督:大島渚/脚本:田村孟、佐々木守、大島渚/撮影:成島東一郎/音楽: 武満徹/美術:戸田重昌/録音:西崎英雄/照明:山下礼二郎/編集:浦岡敬一
出演:河原崎建三、佐藤慶、賀来敦子、中村敦夫、小山明子、乙羽信子、小松方正、高山真樹、河原崎しづ江 渡辺文雄、三戸部スエ、戸浦六宏、小沢栄太郎、原知佐子、殿山泰司
◆複雑な血縁関係の旧家の冠婚葬祭の儀式を通して、戦中戦後も家父長制度の中で生きる若者たちの残酷な青春を、大島の問題意識が様式美と重なって生まれた代表作。戦後民主主義の挫折と虚無を描きあげ、この年の映画賞を独占した大島の畢生の傑作。
夏の妹
1972年/創造社+ATG/95分/カラー/35mm
監督:大島渚/脚本:田村孟、佐々木守、大島渚/撮影:吉岡康弘/音楽:武満徹/美術:戸田重昌/録音:安田哲男/編集:浦岡敬一
出演:栗田ひろみ、リリィ、石橋正次、小松方正、小山明子、戸浦六宏、佐藤慶、殿山泰司
◆今年は沖縄返還から50年。本土復帰直後の沖縄を舞台に、沖縄と本土との関係を少女の視点から見つめた青春メロドラマ。『儀式』から一変、沖縄の美しい自然を軽やかに描きつつ、本土と沖縄の戦中戦後史を貫く感情が激しく交差する大島最後のATG作品。
愛のコリーダ
1976年/ 大島渚プロ+アルゴス・フィルム (日、仏合作) / 104分/カラー/DCP
監督・脚本:大島渚/撮影:伊東英男/美術:戸田重昌/音楽:三木稔/録音:安田哲男/照明:岡本健一/編集: 浦岡敬一
出演:松田英子、藤竜也、中島葵、芹明香、阿部マリ子、三星東美、藤ひろ子、殿山泰司、白石奈緒美、青木真知子、東祐里子、安田清美、松廼家喜久平、松井康子、九重京司、小山明子
◆昭和11年に起こった阿部定事件を題材に、忍び寄る戦争の足音の中で性に耽溺する男女の姿を通して、究極の愛とエロスを描き切った大島最大の問題作。その後の「愛のコリーダ裁判」では、「猥褻が何故悪い?」と大島は主張し、勝利を見事勝ち取った。
愛の亡霊
1978年/ 大島渚プロ+アルゴス・フィルム (日、仏合作) / 108分/カラー/35mm
監督・脚本:大島渚/原作:中村糸子/撮影:宮島義勇/音楽:武満徹/美術:戸田重昌/録音:安田哲男/照明:岡本健一/編集:浦岡敬一
出演:吉行和子、藤竜也、田村高廣、杉浦孝昭、長谷川真砂美、小山明子、河原崎建三、伊佐山ひろ子、佐藤慶、殿山泰司、佐々木すみ江、山本麟一、川谷拓三
◆若者と関係を持つ中年の人妻は、共謀して夫を殺すことに…。スキャンダラスな『愛のコリーダ』から対照的に、山村の自然の中で静謐な美しさに満ちた男女の愛を描いた寓話。抑制的な美学に貫かれ、カンヌ映画祭監督賞を受賞した傑作。
戦場のメリークリスマス
1983年/ 大島渚プロ他 (日、英、 ニュージーランド合作) / 123分/カラー/DCP
監督:大島渚/原作:L・ヴァン・デル・ポスト/脚本:大島渚、ポール・マイヤースバーグ/撮影:成島東一郎/音楽:坂本龍一/美術:戸田重昌/編集:大島ともよ
出演:デビッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけし、トム・コンテイ、内田裕也、ジャック・トンプソン、ジョニー大倉、金田龍之介、内藤剛志、戸浦六宏、三上寛、本間優二
◆第2次大戦中のジャワの日本軍捕虜収容所を舞台に、極限状況で繰り広げられる人間の相克を、ひとつの美学で描いた超大作。南洋ラロトンガ島でロケを敢行。 デビッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけしら国内外の異色スターたちが出演した「奇跡」の映画。
KYOTO, MY MOTHER'S PLACE キョート・マイ・マザーズ・プレイス (ユンポギの日記と2本立て上映)
1991年/ 大島渚プロ / 50分/カラー/16mm
監督・脚本・ナレーション:大島渚/撮影: 吉岡康弘/照明:岡本健一/録音:安藤邦男/編集:大島ともよ/音楽:普久原恒勇、山屋清、三木稔ほか
出演: 島田とみ、舟槻いな、山本彦八
◆BBC (英国放送協会) の依頼を受けて、大島が生まれ故郷である京都の歴史と、三年前に死去した母の人生を重ね合わせてドキュメンタリーを製作。 大島のプラベートな視線がとらえる、愛憎入り混じる京都への思いと亡き母の人生が重なり合う故郷への旅。
御法度
1999年/松竹+大島渚プロ/100分/カラー/35mm
監督・脚本:大島渚/原作:司馬遼太郎/撮影:栗田豊通/美術:西岡善信/音楽:坂本龍一/録音:安藤邦男/照明:竹久博司/編集:大島ともよ/衣装:ワダエミ
出演:松田龍平、ビートたけし、崔洋一、武田真治、浅野忠信、的場浩司 坂上二郎、伊武雅刀、神田うの 吉行和子、田口トモロヲ、トミーズ雅、寺島進、桂ざこば
◆新選組に入隊した美少年剣士・惣三郎を巡って組中では奇怪な事件が起こり・・・。司馬遼太郎の短編をもとに、 新選組を男色の視点から描いた異色時代劇。1996年に製作発表しながら病に倒れ、長い闘病生活からの復帰第1作となるも遺作となった。
特別上映 連続活劇 『アジアの曙』全13話一挙上映!!
監督:大島渚/原作:山中峯太郎「実録・アジアの曙」/脚本:佐々木守、田村孟、石堂淑朗/撮影:菱田誠/照明:久米成男/美術: 今保太郎、小島初雄/音楽:司一郎
出演:御木本伸介、小山明子、佐藤慶、戸浦六宏、芳村真理、小松方正、加藤嘉、立川さゆり、松本典子、椎原邦彦、市川好郎、久米明、佐野浅夫、平田守、日恵野晃、柳生博、加藤治子、小林千登勢、永井一夫、観世栄夫、安達国晴、成瀬昌彦、寺島幹夫、小川真由美、寺田路恵、天野鎮雄、新克利、(語り手) 加藤武
『日本の夜と霧』の上映中止問題などで松竹を退社し、1961年に創造社を設立。テレビの世界に活路を見出した大島が山中峯太郎原作冒険小説を盟友の佐々木守、田村孟、石堂淑朗脚本で演出した最初で最後の連続テレビ映画。 百年前の中国の第二革命を舞台に、革命に身を投じた男たちを壮大なスケールで描く熱い革命ドラマ!!
◆物語・・・ 陸軍士官学校で中山峯太郎 (御木本)は清国留学生の李烈鈞(佐藤慶)、周育賢 (戸浦) たちと固い友情を結ぶ。やがて孫文(加藤嘉) による辛亥革命が起き、彼らは参加するために中国へ帰ってゆく。その後、中山は康子 (小山)と結婚し、子どもが生まれるが、李から革命への参加を促す電報が届き、単身上海へと渡り、第二革命へとその身を投じてゆく・・。
トークショー
7/23(土)14:10『太陽の墓場』上映後 ゲスト=樋口尚文さん(映画評論家)
7/30(土)15:40『ユンボギの日記』上映後 ゲスト=大島新監督
8/6(土)13:50『日本春歌考』上映後 ゲスト=上野昻志さん(映画評論家・批評家)
8/11(木・祝)15:50『少年』上映後 ゲスト=小田香監督×藤元緒監督〈大島渚賞受賞監督対談〉
入場料金
当日券
一般1,500円/シニア1,200円/学生・会員1,100円
〈『アジアの曙』〉一般1,000円/シニア900円/学生・会員800円
一般3回券3,900円/シニア3回券3,300円/会員3回券3,000円
※ご鑑賞当日はオンライン予約の方は専用窓口で発券、当日券、前売券をお持ちの方は窓口で指定席をお選びの上、開始時間の10〜15分前からご入場いただきます。
<全席指定席>となります。新型コロナウイルス感染症予防対策のため座席は半分にしていますので、出来るだけ事前のご購入をおすすめします。
満席の際はご入場出来ませんので、ご了承下さい。