処刑の島
◆松竹を退社した篠田が、独立プロで撮り上げた第1作。武田泰淳の小説「流人島にて」を石原慎太郎脚本で映画化。絶海の孤島を舞台に、少年時代に家族を惨殺された男の壮絶な復讐劇を描く。八丈島にロケを敢行し、荒涼たる島の風景が主人公の心情をみごとに表現している。篠田自らが「最高傑作」と呼ぶ1本。本作の撮影後、篠田は岩下志麻と結婚。

比類なき映像美と、鋭い知性で世界を魅了した映画監督 篠田正浩の残した作品を未来へとつなぐ【映画監督 篠田正浩 レトロスペクティブ】。多彩な映画を残した篠田の才気溢れる5作品、一挙上映。
自由奔放な独自のスタイルと反権威主義を貫き、スタイリッシュな実験精神で数々の名作を撮り続けた巨匠・篠田正浩監督。
2025年3月25日、94歳で亡くなった監督を偲び、全国のミニシアターで連続上映する【映画監督 篠田正浩 レトロスペクティブ】。
自らが「最高傑作」と呼ぶ『処刑の島』、そして『沈黙』『おりん』『舞姫』、少年時代を仮託した反戦映画『少年時代』の5本を当館で上映!!

◆1931年3月、岐阜県生まれ。中学時代、徴用先の軍需工場で敗戦を迎える。天皇を神だとする歴史教育がすべて否定されたことに衝撃を受ける。戦後「魏志倭人伝」で決して教わってこなかった古代日本に触れる。邪馬台国や卑弥呼という存在を知り、その考察は終生のテーマとなる。24年、早稲田大学第一文学部に入学、中世・近世演劇を専攻。陸上部に入り箱根駅伝で「花の二区」を走るも、3年の時に足を故障。陸上を断念し、卒業後の53年に松竹に入社。岩間鶴夫、中村登、原研吉らの助監督につき、『恋の片道切符』(60)で監督デビュー。しかし興行的な不振から、再び助監督に戻されるが、後輩の大島渚、吉田喜重らの成功で再び監督の機会が訪れる。同年、2作目の『乾いた湖』は権力者へ怨念を燃やす自堕落な学生運動家を主人公にした作品で、のちに結婚する女優・岩下志麻との出会いともなった。大島、吉田とともに“松竹ヌーヴェル・ヴァーグ”の作家として注目された篠田は、64年の『乾いた花』でその名声を決定的なものとする。日本的な様式感覚と独特の美意識に裏打ちされた演出スタイルは、以降の『暗殺』(64)、『美しさと哀しみと』(65)でも開花した。65年、会社側の合理化案への不満から、『異聞猿飛佐助』完成後に松竹を退社。日生プロで撮った『処刑の島』(66)を経て、67年、岩下志麻と結婚後は自ら設立した表現社を基盤に、『あかね雲』(67)、『心中天網島』(69)を発表する。『心中天網島』は学生時代からの歌舞伎研究の成果を凝集させて挑んだ傑作で、生と死の狭間に置かれた男女の狂おしいまでの情念とエロティシズムで描き高い評価を受け、映画賞を独占する。その後は日本を代表する名カメラマン・宮川一夫と組んで、『沈黙 SILENCE』(71)、『はなれ瞽女おりん』(77)、『瀬戸内少年野球団』(84)、『槍の権三』(86)と秀作を連打。『少年時代』(90)、『瀬戸内ムーンライトセレナーデ』(97)は『瀬戸内少年野球団』とともに「少年3部作」と呼ばれた。2003年、篠田は『スパイ・ゾルゲ』をもって監督業から引退すると公言。岩下は夫の最後の映画を出演者としてだけでなく、メイキング監督として現場でカメラを回した。松竹を離れて以来、岩下はパートナーとして一貫して創作を支え続けた。◆2016年、京都国際映画祭で牧野省三賞を受賞。著書も多く、『闇の中の安息 篠田正浩評論集』(フィルムアート社、79年)、『私が生きたふたつの「日本」』(五月書房、2003年)、『河原者ノススメ 死穢と修羅の記憶』(幻戯書房、2009年)、そして今年2月には『卑弥呼、衆を惑わす』(幻戯書房、2019年)を上梓している。2025年3月25日、94歳で死去。
◆松竹を退社した篠田が、独立プロで撮り上げた第1作。武田泰淳の小説「流人島にて」を石原慎太郎脚本で映画化。絶海の孤島を舞台に、少年時代に家族を惨殺された男の壮絶な復讐劇を描く。八丈島にロケを敢行し、荒涼たる島の風景が主人公の心情をみごとに表現している。篠田自らが「最高傑作」と呼ぶ1本。本作の撮影後、篠田は岩下志麻と結婚。
◆遠藤周作の原作を遠藤自身が脚本に参加し、宮川一夫のキャメラ、武満徹の音楽も素晴らしい傑作。17世紀の長崎。キリシタン弾圧が激化する中、ふたりのポルトガル人宣教師が密かに渡来するが…。頭だけ出して埋められた岩下の夫役・入川保則の拷問シーンは、実際にその上を馬が走って撮った命がけの撮影だった! その後、マーティン・スコセッシも映画化。
◆水上勉原作を元に、滅びゆく盲目の女旅芸人“瞽女”の姿を北陸の美しい四季の景色を背景に、哀歓を込めて描いた傑作。ある男と一夜を共にしたことから一座を追われ“はなれ瞽女”となったおりん(岩下)は、憲兵隊に追われる脱走兵・平太郎(原田)と出会う…。『あかね雲』に続き、軍隊に追われる男を描く篠田の渾身の1本。ロケハンに2年、脚本に1年、映像美も素晴らしい!
◆明治の文豪・森鴎外の名作を、当時人気絶頂の郷ひろみと篠田がコンビを組んで映画化した日独合作映画。明治を迎えた日本の医学生・太田豊太郎(郷)は、政府の命を受けてドイツに留学。美しい踊り娘エリスと出会い恋に落ちるが…。日本が近代国家の建設を進める中、自我の目覚めと国や家を重んじる日本文化への考察。3カ月にもわたるドイツ・ロケを敢行。流麗な宮川のカメラに感嘆!
◆柏原兵三の小説「長い道」と藤子不二雄Aの同名漫画を原作に、同じ疎開体験の山田太一が脚色。戦争が激化する昭和19年の秋、東京から小学5年の少年が富山の田舎に縁故疎開してきた…。戦時中の都会と地元の少年同士の友情と確執を通して、戦争の体験と昭和とは何だったのかを問いかける秀作。敗戦を迎え、疎開から戻るラストは井上陽水の歌と重なる名シーンとなった。
9/5(土)13:05『少年時代』上映後トーク
ゲスト:上野昻志さん(映画評論家・批評家)
一般1600円、シニア1300円、会員・学生1200円、高校生以下・ハンディキャップ1000円
※トークショーの回は招待券・回数券使用不可
※ご鑑賞の7日前から窓口とオンラインでチケットのご購入が可能です。ご鑑賞当日はオンライン予約の方は専用窓口で発券、当日券の方は窓口で指定席をお選びの上、開始時間の10〜15分前からご入場いただきます。
<全席指定席>となります。満席の際はご入場出来ませんので、ご了承下さい。
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