太地喜和子(たいちきわこ)
◆1943年12月2日、東京生まれ。10代で東映ニューフェースに合格し、一年間の養成期間ののち60年、東映と専属契約。同期に千葉真一、亀石征一郎。「志村妙子」の芸名で『悪魔の手毬唄』(61年)で映画デビュー。高校卒業後の63年、東映と解約し、64年に俳優座養成所に十六期生として入る。同期に古谷一行、河原崎建三、片山真由美がいる。67年、養成所卒業と同時に文学座に入団。同年西村昭五郎監督『花を喰う蟲』に主演。その演技を新藤兼人監督に認められ、翌68年『薮の中の黒猫』に出演、大熱演で一躍有名になった。 俳優座、文学座といった名門劇団で本格的な芝居を学び、実力派女優としての舞台、映画でキャリアを積んだ。その後は『弾痕』(69年)、『裸の十九歳 』『やくざ絶唱』(70年)、『顔役』(71年)などに出演。瀬川昌治監督の『喜劇 男の泣きどころ』(73年)でストリッパーに扮し熱演。3本目の『喜劇 女の泣きどころ』(75年)では主演し、市井の片隅でしたたかに生きる心やさしい女を鮮やかに演じた。76年、『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』で十七代目のマドンナ役に起用され、その好演でキネマ旬報助演女優賞、第1回報知映画賞助演女優賞を受賞。主な活躍の場は文学座を中心とした舞台であったが、映画の世界でも、色気があり陽気でお人好しという愛される人柄ともに、個性的な役を妖艶に演じ、多くのファンを魅了した。1992年10月13日、不慮の事故により、女優として円熟期にこの世を去った。享年48。
上映作品
杉村春子の後継者と目され、活躍が最も期待されていた1992年10月13日、舞台「唐人お吉ものがたり」の巡業先だった静岡県伊東市で、乗っていた車が海に転落、わずか48歳の若さで死去。その衝撃に演劇・映画界は揺れた。数々の舞台での名演とともに、映画界にも大きな足跡を残した。新藤兼人監督が抜擢した『藪の中の黒猫』(68年)の妖艶な演技で注目され、瀬川昌治監督の『喜劇男の泣きどころ』(73年)、『喜劇女の泣きどころ』(75年)ではしたたかに生きる心優しいストリッパー役で、たちまち人気女優になる。豪快な酒と自由に奔放に生きた伝説の情念の女優。没後30年、名女優の代表作6本一挙上映!!
薮の中の黒猫
1968年/近代映画協会・日本映画新社/白黒/108分
監督・脚本:新藤兼人/撮影:黒田清己/音楽:林光/美術:丸茂孝、井川徳道/録音:大橋鉄矢/照明:田畑正一
出演:中村吉右衛門、乙羽信子、太地喜和子、佐藤慶、小川吉信、戸浦六宏、殿山泰司、観世栄夫、江角英明、宮田勝、西内紀幸、小川吉信
◆武者に暴行され、家ごと焼かれた母娘が、妖怪となって次々と復讐を遂げる・・・。平安の伝承説話“妖怪”“黒猫”をもとに、戦乱の中の民衆の人間像を幻想的なイメージで描く。『雨月物語』を思わせる世界の中に、生命の根源である“性”のテーマを追求。新人、太地喜和子のエロチシズムと妖艶な化け猫ぶりが話題をさらった。
コント55号とミーコの絶体絶命
1971年/松竹大船/カラー/89分
監督・脚本:野村芳太郎/脚本:山根成之、大西信行/撮影:川又昂/音楽:中村八大/美術:重田重盛/録音:栗田周十郎/照明: 三浦札
出演:コント55号 (坂上二郎、萩本欽一)、由美かおる、太地喜和子、花沢徳衛、財津一郎、倍賞美津子、田中邦衛、和田アキ子、三木のり平、小松政夫、阿部昇、なかにし礼
◆野村芳太郎監督と当時大人気だった「コント55号」の大人気シリーズ第6作。コント55号が、湘南市役所「なんでもやる課」勤務の兄弟役で主演したドタバタ喜劇。二人が好きになるのがミーコこと由美かおる。一方、太地は欽ちゃんに惚れるじゃじゃ馬娘。テレビのコント番組でも活躍した太地の名コメディエンヌぶり!
喜劇 男の泣きどころ
1973年/松竹大船/カラー/93分
監督・脚本:瀬川昌治/脚本:田坂啓/撮影:川又昂/音楽:青山八郎/美術:佐藤公信/録音:栗田周十郎/照明:小林松太郎
出演:フランキー堺、太地喜和子、藤岡琢也、春川ますみ、石橋蓮司、左とん平、笠智衆、加藤武、犬塚弘、大辻司郎、立原博、賀原夏子
◆太地が、したたかに生きる心優しいストリッパーを演じた瀬川監督とのコンビ三部作の第一作。ポルノ取締り担当となった生真面目な刑事 (フランキー堺)が、ストリップ小屋など業界の曲者たちに振り回されるドタバタ劇を描いた社会風刺コメディ。太地のおおらかなエロスが素晴らしい!ポルノ映画監督役に笠智衆!
喜劇 女の泣きどころ
1975年/松竹大船/カラー/92分
監督・脚本:瀬川昌治/脚本:下飯坂菊馬/撮影:丸山恵司/音楽:青山八郎/美術:重田重盛/録音:小林英男/照明:三浦札
出演:太地喜和子、中川梨絵、湯原昌幸、小沢昭一、ミヤコ蝶々、潤ますみ、坂上二郎、財津一郎、人見きよし、橋本功、荒砂ゆき、園佳也子、京唄子、鳳啓助
◆「男の泣きどころ」「男の腕だめし」に続く瀬川×太地ストリッパーシリーズ3作目。今度の主演は太地。日活ロマンポルノのスター・中川梨絵と太地がコンビを組み、日本各地のストリップ小屋を巡業するお色気旅情篇。踊り子二人の破天荒な愛と友情、そして、女であるがゆえの激しい生き様、笑いと涙で綴った名編。
男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け
1976年/松竹大船/カラー/109分
監督・原作・脚本:山田洋次/脚本:朝間義隆/撮影:高羽哲夫/音楽:山本直純/美術:出川三男/録音:中村寛/照明:青木好文
出演:渥美清、倍賞千恵子、太地喜和子、宇野重吉、前田吟、佐藤蛾次郎、笠智衆、岡田嘉子、中村はやと、下條正巳、三崎千恵子、太宰久雄、大滝秀治、桜井センリ、寺尾聰
◆マドンナに太地が扮したシリーズ第17作。兵庫県龍野市を舞台に、太地は情に弱くて情けに厚く気っぷの良い龍野芸者を名演、キネマ旬報助演女優賞を受賞。風変りな日本画壇の大御所(宇野)と芸者を巡る寅さんの大奮闘を描くシリーズ中でも屈指の1本。宇野と訳ありの老婦人役に映画復帰作となった大女優・岡田嘉子。
新宿馬鹿物語
1977年/松竹/カラー/91分
監督: 渡辺祐介/原作:半村良/脚本:神代辰巳/撮影:竹村博/音楽:宮川泰/美術:重田重盛/録音:田中俊夫、小尾幸/照明:三浦礼
出演:愛川欽也、太地喜和子、朝丘雪路、藤田まこと、田中邦衛、米倉斉加年、水沢アキ、岩崎加根子、金子信雄、松本ちえこ、上條恒彦、常田富士男
◆半村良原作を神代辰巳が脚色、松竹喜劇映画の名手・渡辺祐介が監督した風俗喜劇の佳作。40になろうとするが未だ独身の新宿のバーのマスター仙田(愛川)。ある雨の日、着物姿の美女(太地)が店に現れ、濡れた瞳で見つめられ、たちまち一目惚れするが・・・。歓楽街に生きる、滑稽で哀しく絡み合う男女の哀歓を描く。
特別上映
浜の朝日の嘘つきどもと
2021年/日本/114分 監督・脚本:タナダユキ/撮影:増田優治/照明:野村直樹/録音:小川武/美術:井上心平/音楽:加藤久貴
出演:高畑充希、柳家喬太郎、大久保佳代子、光石研、吉行和子
◆福島南相馬の映画館「朝日座」を舞台に、映画館存続に奔走する姿を描いた映画館への応援歌。朝日座を再建しようと奮闘する高畑充希の高校時代の恩師が大久保佳代子。大久保が失恋するたびに見るのが 『喜劇 女の泣きどころ』泣きながら太地喜和子と中川梨絵を見て励まされる。この映画愛と映画館愛に満ちた感動作もご一緒に!!
入場料金
当日券
一般1,500円/シニア1,200円/学生・会員1,100円
一般3回券3,900円/シニア3回券3,300円/会員3回券3,000円
※ご鑑賞当日はオンライン予約の方は専用窓口で発券、当日券、前売券をお持ちの方は窓口で指定席をお選びの上、開始時間の10〜15分前からご入場いただきます。
<全席指定席>となります。新型コロナウイルス感染症予防対策のため座席を減らしていますので、出来るだけ事前のご購入をおすすめします。
満席の際はご入場出来ませんので、ご了承下さい。
スケジュール
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