インディアン・シネマ・ウィーク2018

“東のディズニー”
世界中の人々は畏敬の念をもってチェコアニメをそう呼びます。その詩的でファンタジックな作品はカンヌやベネツィア、ベルリンなどの国際映画祭の受賞歴も豊富で、いつも世界の注目の的でした。その原動力となったのがイジー・トルンカ(1912~1969)とヘルミーナ・ティールロヴァー(1900~1993)。

上映作品

もともと絵本の挿絵画家と人形作りの職人として活躍していたトルンカは戦後プラハに作られたアニメスタジオの責任者に抜擢されると戦争中にはできなかった“創作”への情熱が爆発し、初めてのアニメ製作でありながら1946年のカンヌ国際映画祭でディズニー作品を破ってグランプリを獲りました。このチェコの天才アニメ作家の出現に世界の映画界は驚愕し、“トルンカ時代”が始まったのです。トルンカのその“詩的”で“ファンタジック”な作風は“芸術”と称され、それまで“こども向け”とされていた“アニメ”を映画の一つのジャンルに押し上げました。

そして、一方、首都プラハから離れたチェコの南の都市ズリーンで活躍していたのが女性監督のヘルミーナ・ティールロヴァー。一般の主婦だったティールロヴァーは映像プロデューサーだった夫の手伝いからアニメ製作に入り、チェコで初めての人形アニメを産み出したのでした。しかし、離婚、戦争と一度、アニメから離れたティールロヴァーでしたが、戦後の混乱の中、未来の子どもたちが“夢と希望を持てるような”アニメを創り続けることが自身の使命と思い、アニメ製作に身を投じました。ティールロヴァーのアニメは毛糸やワッペンなど手芸の素材やガラス玉やきれいなハンカチなど女の子が胸ときめかせたものが使われています。女の子の夢の世界を描いたティールロヴァーの作品はトルンカに負けないほどの受賞歴を誇り、世界中の女の子のハートをわしづかみにしました。

まだアニメの制作が確立されていなかったこの時代、トルンカとティールロヴァーは果敢に“未経験”のアニメに挑戦し、あらゆる試行錯誤を繰り返しました。そこから誕生したものを“素人作品”ではなく“東のディズニー”と呼ばれた最高の芸術品だったのです。
そんなトルンカとティールロヴァーの作品の上映の権利がもうすぐ終わります。2019年1月末にティールロヴァーの上映の権利が終了し、2019年3月半ばトルンカの権利が終了します。今回、今、日本で見ることのできるトルンカとティールロヴァーの作品を全て上映いたします。お見逃しなく!

 

A【最後のトルンカの「真夏の夜の夢」】(計73分)

  A【最後のトルンカの「真夏の夜の夢」】(計73分)“史上最高の映像美”と呼ばれる「真夏の夜の夢」も今回が最後の上映機会になるかもしれません。
真夏の夜の夢(1959年/73分)監督・美術 イジー・トルンカ

 

 

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B【ティールロヴァーの最後の女の子の夢の世界】(計74分)

B【ティールロヴァーの最後の女の子の夢の世界】(計74分)来年の1月末で上映が終了するティールロヴァー作品の最後の上映。手芸の素材などを使ったキラキラした世界をご覧ください。
1.ベツレヘムのほし(1969年/11分)企画・脚本・監督 ヘルミーナ・ティールロヴァー
2.あおねこくんとしろひげくん(1974年/11分)監督 ヘルミーナ・ティールロヴァー
3.あおねこくんとじどうしゃ(1975年/10分)監督 ヘルミーナ・ティールロヴァー
4.ブタかいのおうじ(1958年/14分)監督 ヘルミーナ・ティールロヴァー
5.十人十色(1958年/10分)脚色 ヘルミーナ・ティールロヴァーほか
6.けいとのおはなし(1964年/9分)監督 ヘルミーナ・ティールロヴァー
7.あおいエプロン(1965年/8分 脚本・監督 ヘルミーナ・ティールロヴァー

 

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C【トルンカの“極上のオペラ”「バヤヤ」】(計74分)

C【トルンカの“極上のオペラ”「バヤヤ」】(計74分)トルンカの代表作であり全編音楽でセリフを奏でているこの作品はまさしく“極上のオペラ”!ドラマティックで迫力満点なクライマックスと厳かで優しさがあふれるラスト!
バヤヤ(1950年/74分)監督・美術 イジー・トルンカ

 

 

 

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D【ティールロヴァーの切なくて胸がキュンとなるお話】(計82分)

D【ティールロヴァーの切なくて胸がキュンとなるお話】(計82分)最後の上映はティールロヴァーの少し切ないお話ばかりのプログラム。ティールロヴァーのキラキラした世界をいつまでも“心の宝物”にしていただきたいです。
1.サンゴのおはなし (1968年/9分)監督 ヘルミーナ・ティールロヴァー
2.たま(1963年/9分)企画・脚本・監督 ヘルミーナ・ティールロヴァー
3.まいごのにんぎょう(1959年/18分)企画・脚本・監督 ヘルミーナ・ティールロヴァー
4.むすんだハンカチ(1958年/15分)企画・脚本・監督 ヘルミーナ・ティールロヴァー
5.しりたがりのてがみ(1961年/20分)企画・脚本・監督 ヘルミーナ・ティールロヴァー
6.しかえしのひ(1960年/11分)企画・脚本・監督 ヘルミーナ・ティールロヴァー

 

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E【最後のトルンカの優しい人形アニメ】(計74分)

E【最後のトルンカの優しい人形アニメ】(計74分)トルンカの穏やかで瑞々しい人形アニメばかり集めたプログラム!全作監督・美術イジー・トルンカ
1.クチャーセクとクティルカ(1954年/18分)
2.コントラバス物語(1949年/13分)
3.草原の歌(1949年/21分)
4.しものいたずら(1954年/13分)
5.情熱(1961年/9分)

 

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F【チェコの人形アニメのドキュメント映画】(計70分)

東京兄妹チェコの人形アニメの歴史をドラマティックに描かれた唯一のドキュメント映画。
1.チェコ人形アニメの巨匠たち(2008年/68分)(※ドキュメント映画)
ナビゲーター ブジェチスラフ・ポヤル

 

 

 

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G【最後の陽気な兵隊さんのシュヴェイク】(計75分)

トキワ荘の青春トルンカが創った陽気な兵隊さんのシュヴェイク、一挙全3話をご覧頂きます!
第1次世界大戦中が舞台ですが、シュヴェイクが行くところ空気が一気に緩くなります!
全作監督イジ―・トルンカ 美術ヨゼフ・ラダ
1.シュヴェイクが行く!「コニャックを探せ」(1954年/24分)
2.シュヴェイクが行く!「列車騒動をおさめろ」(1954年/21分)
3.シュヴェイクが行く!「行き先はどこだ?」(1954年/30分)

 

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H【トルンカの未来へのメッセージ】(計68分)

東京夜曲トルンカの遺作「手」を収録しています。この作品は当時のチェコの政府をトルンカ“らしく”セリフのない映像で大きく非難しています。トルンカの死後、20年一切の上映を禁止されたこの作品。
1.悪魔の水車小屋(1949年/20分)
監督・美術 イジー・トルンカ
2.電子頭脳おばあさん(1962年/29分)
監督・美術 イジー・トルンカ
3.手(1965年/19分)
監督・美術 イジー・トルンカ

 

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I【トルンカの最後のユーモラスな人形アニメ】(計74分)

たどんとちくわ上映機会の少なかったトルンカの楽しい人形アニメのプログラム。重厚さと楽しさがいっぱいのトルンカの人形たちが弾けます!
1.天使ガブリエルと鵞鳥夫人(1964年/29分)
監督・美術 イジー・トルンカ
2.フルヴィーネクのサーカス(1955年/23分)
監督・美術 イジー・トルンカ
3.探偵シュペイブル(1955年/22分)
監督 ブジェチスラフ・ポヤル 美術 イジー・トルンカ

 

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J【トルンカの素敵な絵のアニメの全て】(計81分)

大阪物語トルンカのカートゥーンの作品ばかり集めたプログラム。心温まるお話から少し怖いお話までトルンカの宝箱!“絵本作家”としてもトルンカの“顔”が垣間見えます。“詩”と“ファンタジー”のトルンカの世界。
全作監督・美術イジー・トルンカ
1.おじいさんの砂糖大根(1945年/9分)
2.動物たちと山賊(1946年/8分)
3.贈り物(1946年/16分)
4.バネ男とSS(1946年/14分)
5.おじいさんの物々交換(1953年/9分)
6.楽しいサーカス(1951年/12分)
7.金の魚(1951年/13分)

 

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K【ポヤルの最高傑作】(計74分)

ざわざわ下北沢“芸術性+エンターテイメント”を完成させ“世界一の人形アニメ”と呼ばれたポヤルとシュチェパーネクのとっても楽しいプログラム!全作監督ブジェチスラフ・ポヤル 美術ミロスラフ・シュチェパーネク
1.ネコのお絵描き(1960年/13分)
2.ぼくらとあそぼう!~いぬのはなし~(1971年/16分)
3.ぼくらとあそぼう!~カブのはなし~(1973年/16分)
4.ふしぎな庭~動物がすきな男~(1974年/15分)
5.ふしぎな庭~広がる霧~(1975年/14分)

 

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L【ポヤルの極上の人形アニメ】(計80分)

東京マリーゴールド“芸術”と呼ばれたチェコの人形アニメ。夢のような“詩”と“ファンタジー”の世界に
誘われます。
1.真夜中の大冒険(1960年/13分)監督 ブジェチスラフ・ポヤル 美術 イジー・トルンカ
2.小さな道化師ファンファロン(1968年/16分) 監督 ブジェチスラフ・ポヤル 美術 K・クレイチー
3.リトルアンブレラ(1957年/18分)監督 ブジェチスラフ・ポヤル 美術 イジー・トルンカ
4.りんごのお姫様(1973年/14分)監督 ブジェチスラフ・ポヤル 美術 ミロスラフ・ポヤル
5.ナイトエンジェル(1986年/19分)監督・美術 ブジェチスラフ・ポヤルほか

 

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M【ティールロヴァーの最後の温かさと優しさの世界】(計74分)

竜馬の妻とその夫と愛人ティールロヴァーの作品には目を見張る可愛くキラキラした世界がございます。
そしてどの作品にも優しさと温かさにあふれています。世の中の全ての女性にご覧頂きたいです。
1.どうぶつのクリスマス(1973年/8分)企画・脚本・監督 ヘルミーナ・ティールロヴァー
2.みみながロバくん(1974年/7分) 企画・脚本・監督 ヘルミーナ・ティールロヴァー
3.ゆきだるま(1966年/9分)企画・脚本・監督 ヘルミーナ・ティールロヴァー
4.きかんしゃくん(1959年/14分)監督・脚本 ヘルミーナ・ティールロヴァー
5.ふたつのけいとだま(1962年/8分)監督 ヘルミーナ・ティールロヴァー
6.カラマイカ(1957年/10分)企画・脚本・監督 ヘルミーナ・ティールロヴァー
7.ミーチェク・フリーチェク(1956年/18分)監督 ヘルミーナ・ティールロヴァー/ヤン・ドゥデシェク

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N【トルンカの「チェコの古代伝説」】(計80分)

N【トルンカの「チェコの古代伝説」】(計80分)「チェコアニメの夜クリスマスホリーナイト」の最後の上映はトルンカの“セピア色の大叙事詩”「チェコの古代伝説」です。チェコの歴史を描いた壮大な叙事詩です。これほどの大作はチェコアニメの中にもなかなかございません。
チェコの古代伝説(1952年/80分)
監督・美術 イジー・トルンカ

 

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入場料金

当日券

一般1500円、学生1100円、シニア1100円、会員1000円
当日3回券3000円

※連日朝より当日分の整理番号つき入場券の販売を開始します。
ご入場は各回10〜15分前より整理番号順となりますので、招待券なども受付にて入場券とお引き換えください。

スケジュール

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