戦後八十年記念 決定版!日本の戦争映画史


上映作品

『山中貞雄に捧げる漫画映画「鼠小僧次郎吉」』

『山中貞雄に捧げる漫画映画「鼠小僧次郎吉」』

2023年/日本・フランス合作/23分
監督・脚色:りんたろう 脚本:山中貞雄 キャラクターデザイン:大友克洋 作画監督・キャラクターデザイン:兼森義則 音楽:本多俊之 キャスト/弁士:小山茉美
プロデューサー:丸山正雄、真木太郎、Emmanuel-Alain RAYNAL、Pierre BAUSSARON アニメーション制作:スタジオM2 製作:ジェンコ、Miyu Productions

◆日本映画の黎明期、サイレントからトーキー初期にかけて活躍し、その後若くして夭折した映画監督「山中貞雄」。彼が生前遺した『鼠小僧次郎吉 - 江戸の巻』(1933年)を、『銀河鉄道999』『幻魔大戦』の日本が誇るアニメーション監督りんたろうがサイレントアニメーション化。この今までにないユニークな映像作品を支えるのは、キャラクターデザインに『童夢』『AKIRA』で世界にその名を轟かす大友克洋と、『YAWARA!』『PLUTO』の兼森義則、音楽にサキソフォーン奏者であり作曲家として活躍する本多俊之、弁士役を『Dr.スランプ アラレちゃん』の則巻アラレ役の声優、小山茉美がつとめる。アニメーションの新しい挑戦として、山中貞雄がここに蘇る!

<物語>
江戸八百八町が夜の闇に包まれると屋根裏でガサゴソとする奴が現れる。大富豪から富をいただき貧しい庶民にばら撒く義賊、ご存じ鼠小僧次郎吉。夫に先立たれ、小さな我が子と辛い日々を送る町人お鈴。そんなお鈴を利用して鼠小僧の正体を暴こうとする梵字安五郎と長五郎。罪を憎んで人を憎まず、経験と勘で補物名人と謳われる岡っ引き勘右衛門。江戸の街を舞台に繰り広げられる哀愁を誘う人間ドラマ。映画監督山中貞雄はそんな夢をみている…。

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山中貞雄監督・現存三作品[4Kデジタル修復版]連続上映 (当館での上映は2K)

山中貞雄略歴
1909年京都生まれ。学校の先輩・マキノ正博を頼ってマキノプロダクションに入社。その後、嵐寛寿郎プロに移り、22歳にして長谷川伸の『源太時雨』を自ら脚色した『磯の源太抱寝の長脇差』(1932)で監督デビュー。33年、日活京都撮影所に移籍。また、三村伸太郎、八尋不二、藤井滋司、滝澤英輔、稲垣浩、荻原遼らとともに鳴滝組を結成。ペンネームを「梶原金八」とした。『盤嶽の一生』『鼠小僧次郎吉(三部作)』『國定忠次』『百萬両の壺』『街の入墨者』『河内山宗俊』などを監督し、1937年PCL(後の東宝)へ入社するため東京へ移る。『人情紙風船』完成後、中国戦線に向かう。戦地で友人の小津安二郎と会うが、1938年9月17日28歳の若さで戦病死。41年、菩提寺・京都大雄寺に親友の小津安二郎が碑文を揮毫した「山中貞雄之碑」が建立、山中の早すぎる死を惜しんだ。フィルムが現存するのは、『丹下左膳余話 百萬両の壷』『河内山宗俊』『人情紙風船』の3作品のみ。命日の9月17日には大雄寺で「山中忌」が開催され、いまもなお天才監督を偲んでいる。

 

『丹下左膳餘話 百萬両の壺』

『丹下左膳餘話 百萬両の壺』1935年/91分/日活京都/モノクロ/4Kデジタル修復版
監督・構成:山中貞雄 原作:林不忘 脚色:三村伸太郎 撮影:安本淳 音楽:西梧郎
出演:大河内傳次郎(丹下左膳)、喜代三(お藤)、宗春太郎(ちょび安)、澤村國太郎(柳生源三郎)、山本禮三郎(与吉)、高勢実乗(茂十)、鳥羽陽之助(当八)、花井蘭子(萩乃)、深水藤子(お久)

◆キネマ旬報の「日本映画オールタイムベストテン」9位に選出されるなど、日本映画史上屈指の傑作。百萬両の隠し場所が描かれたこけ猿の壺を巡る争奪戦を、軽妙にユーモアに描いたコメディ時代劇。大河内傳次郎の当たり役の悲劇のヒーロー・丹下左膳が、剣の腕は立つが恐妻家で庶民的なキャラクターとして描かれ、脇役たちも陽気でコミカル。丹下左膳もののなかでも異色作であり、かつ代表作である。クライマックスのチャンバラシーンが、戦後GHQの検閲でカットされたが、発見された20秒の玩具フィルムをもとに、4Kデジタル修復で欠落部分を補い、映像と音声が甦った最長版となった。

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『河内山宗俊』

『河内山宗俊』1936年/81分/日活京都・太秦発声/モノクロ/4Kデジタル修復版
監督・原作:山中貞雄 脚色:三村伸太郎 撮影:町井春美 音楽:白木義信、西梧郎
出演:河原崎長十郎(河内山宗俊)、中村翫右衛門(金子市之丞)、市川扇升(直侍)、原節子(お浪)、山岸しづ江(お静)、清川荘司(北村大膳)、市川莚司=加東大介(健太)、衣笠淳子(三千歳)

 

◆『街の入墨者』(35年)に続き、山中が心酔する前進座と組んで製作。情婦のお静に居酒屋を営ませている遊び人・河内山宗俊と、所場代を集めるしがない用心棒の金子市之丞が、弟の不始末がもとに身売りすることになった甘酒売りの娘・お浪を救うため立ち上がる! 「すべての無頼の男たちが“この美しい瞳のためなら死んでもいい”と思うような清純で可憐な娘」、山中貞雄が探し出したお浪の役は、これが本格的デビュー作となる当時15歳の原節子! 生活感にあふれた人情味とユーモアの前半から、情念が一挙に迸るラストの狭い路地での怒涛の大立ち回りアクションと、映画的興奮に満ちた傑作! 伝説の時代劇が甦る!!

 

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『人情紙風船』

『人情紙風船』1937年/86分/PCL・前進座/モノクロ/4Kデジタル修復版
監督:山中貞雄 原作:河竹黙阿弥 脚本:三村伸太郎 撮影:三村明 美術:久保一雄 音楽:太田忠
出演:河原崎長十郎(海野又十郎)、中村翫右衛門(髪結新三)、山岸しづ江(おたき)、霧立のぼる(お駒)、市川莚司=加東大介(猪助)、市川笑太郎(弥太五郎源七)、瀬川菊之丞(忠七)、御橋公(白子屋久左衛門)

 

◆キネマ旬報「日本映画オールタイムベストテン」4位に選出された大傑作。江戸の貧乏長屋。仕官する日を夢見て妻と二人貧しい生活に耐えていた海野又十郎は、同じ長屋の住人・髪結新三が白子屋の娘を誘拐してきたことから、その片棒を担いでしまい…。紙風船のようにわずかな風に翻弄される市井の人々を描いた名作。脚本の三村は海野を楽天家に設定していたが、山中は海野の性格をまったく反対にし、この作品の厭世感を体現する人物に描いた。それはまるで自らの運命を予見していたかのように、映画が完成した日に赤紙が撮影所に届く。わずか翌年、中国戦線で戦病死。「これが遺作とは、ちと寂しい」山中の無念さが胸に迫る。

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山中の盟友・小津安二郎監督特集
『麦秋』1951年 『東京物語』1953年 『彼岸花』1958年 『秋刀魚の味』1962年
日程:2025年9月13日(土)→17日(水)
会場:シネ・ヌーヴォ
<1作品・ワンコイン500円特別上映>

【山中の盟友・小津安二郎監督特集】ページはこちら

イベント

9/16(火)12:20『鼠小僧次郎吉』上映後舞台挨拶

ゲスト:りんたろう監督

入場料金

当日券

『鼠小僧次郎吉』700円均一

【山中貞雄作監督作品】
一般1600円、シニア1300円、会員・学生1200円、高校生以下・ハンディキャップ1000円


※ご鑑賞の7日前から窓口とオンラインでチケットのご購入が可能です。ご鑑賞当日はオンライン予約の方は専用窓口で発券、当日券の方は窓口で指定席をお選びの上、開始時間の10〜15分前からご入場いただきます。
<全席指定席>となります。満席の際はご入場出来ませんので、ご了承下さい。
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