ルイス・ブニュエル監督特集

優れた日本映画の数々を、国立映画アーカイブ所蔵の美しい35ミリフィルムで上映する「優秀映画鑑賞会」。
日本映画の量産時代に登場した監督たちが、喜劇映画のなかで新たな挑戦を試みた昭和下町喜劇の秀作を紹介いたします。
デジタルとは異なる美しい35ミリ・ニュープリントをワンコイン500円(1本)で特別上映!!

上映作品

おかしな奴

おかしな奴1963年/東映(東京)/白黒/シネスコ/110分
●監督:沢島忠/脚本:鈴木尚之/企画:園田実彦、吉田達/撮影:藤井静/照明:原田政重
/録音:小松忠之/音楽:佐藤勝/美術:北川弘
●出演:渥美清、三田佳子、南田洋子、加藤嘉、清川虹子、田中邦衛、佐藤慶、石山健二郎、十
朱久雄、渡辺篤、春風亭柳朝

◆ 自ら「珍顔」を名乗り、戦後の落語界で爆発的な人気を誇った風変わりな落語家、三遊亭歌笑(1917~50)の短い人生を描いた東映作品。歌笑を演じた渥美清にとって、この映画は『拝啓天皇陛下様』(1963、野村芳太郎監督)やアフリカを舞台にした『ブワナ・トシの歌』(1965、羽仁進監督)と並んで「寅さん」以前の代表作と言えるだろう。監督の沢島忠は東映の中でも新しい世代に属し、中村錦之助(後に萬屋錦之介)主演の時代劇「一心太助」シリーズ(1958~63)など、フットワークの軽い演出で知られる。実在の歌笑はナンセンスな笑いを得意としたことで知られたが、沢島監督はあえてこの落語家の生涯を、滑稽な笑いばかりでな、夫婦愛を軸にそこはかとない哀しみを込めて描いている。やがて名作『飢餓海峡』(1964、内田吐夢監督)を執筆することになる脚本家鈴木尚之や、数々の黒澤明作品に音楽を提供した作曲家佐藤勝など、スタッフ陣の豪華さでも注目に値するだろう。

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喜劇 急行列車

喜劇 急行列車1967年/東映/カラー/シネスコ/90分
●監督:瀬川昌治/脚本:舟橋和郎/撮影:飯村雅彦/照明:元持秀雄/録音:小松忠之/
音楽:木下忠司/美術:北川弘
●出演:渥美清、佐久間良子、楠トシエ、鈴木やすし、大原麗子、江原真二郎、根岸明美、桜京
美、小沢昭一、三遊亭歌奴、三原葉子

◆1967年から翌68年にかけて東映で3本が製作された喜劇シリーズの第1作。旧国鉄の協力を得て、東京と九州を結ぶ寝台特急で巻き起こる悲喜こもごもの騒動を描き、おっちょこちょいだが人情味あふれるベテラン車掌を渥美清が好演している。監督はプログラム・ピクチャーの名手・瀬川昌治。本シリーズの成功を機に松竹に招かれ、1968年にフランキー堺主演の『喜劇 大安旅行』を発表。こちらも1972年の『喜劇 快感旅行』まで計11本を数える人気シリーズとなったほか、1970年代以降はテレビで「赤い」シリーズや「スチュワーデス物語」を手掛けたことでも知られる。一方の渥美清は1968年にテレビドラマ「男はつらいよ」そして翌69年の映画化で演じた「フーテンの寅」こと車寅次郎役が絶大な人気を博し、以来26年間に48作を記録する国民的大シリーズに成長してゆく。


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吹けば飛ぶよな男だが

吹けば飛ぶよな男だが1968年/松竹/カラー/シネスコ/91分
●監督:山田洋次/脚本:森崎東、山田洋次/製作:脇田茂/撮影:高羽哲夫/照明:戸井田
泰国/録音:小尾幸魚/音楽:山本直純/美術:重田重盛
●出演:なべおさみ、緑魔子、犬塚弘、芦屋小雁、佐藤蛾次郎、有島一郎、ミヤコ蝶々
(解説役)小沢昭一

◆大阪の街を舞台に、やくざの幹部に憧れるチンピラと九州から出てきた家出娘の恋模様を描いた山田洋次監督の秀作コメディ。最初チンピラの三郎は家出娘花子をだまして金を稼ごうとするが、善意のかたまりのような花子の無垢さに打たれ、やがて心のつながりを感じてゆく。当時、若手コメディアンの成長株であったなべおさみと、一風変わった存在感を放つ女優緑魔子が不器用な「連帯」で結ばれた二人を好演したほか、ミヤコ蝶々、犬塚弘といった助演組、さらには小沢昭一による活弁調の解説もこの作品に独特の彩りを添えている。山田監督は、この作品に込めたのは「アホなチンピラ」のおかしさであると後に述べたが、その一方でほろ苦い結末の描き方も魅力となっている。脚本はほとんど森崎東が執筆しているが、社会の決まり事から外れた世界で生きる人々への共感は、後の「フーテンの寅」像にもつながるだろう。キネ旬ベストテン第10位。

 

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あゝ軍歌

 あゝ軍歌1970年/松竹/カラー/シネスコ/89分
●監督:前田陽一/原作:早坂暁/脚本:満友敬司、前田陽一/製作:島津清/撮影:加藤正
幸/照明:佐久間丈彦/録音:平松時夫/音楽:大森盛太郎/美術:芳野尹孝
●出演:フランキー堺、財津一郎、倍賞千恵子、北林谷栄、城野ゆき、風間恵美子、大村崑、人
見明、上田吉二郎

◆戦争中、精神障害の真似をしてわざと野戦病院に入り、死を逃れた二人の男は、その後、戦没者をまつる神社へ遺族を案内する怪しげな観光ガイドとして暮らしていた。その男たちのもとへお婆さん、未亡人、少女、ヒッピー風の男が次々と迷い込んでくる奇妙な生活を描いたこの作品は、1960年代以降の松竹喜劇を支えた前田陽一監督の代表作である。そこに息づく屈折した批判精神には師匠の渋谷実監督の影響も垣間見える。その作風について、主演のフランキー堺は、「旅行」シリーズの瀬川昌治監督の「軽喜劇」に対する、前田作品の「重喜劇性」と説明して敬意を表した。劇中の所々に軍歌が挿入されて作品のリズムを築いているが、この映画で「歌」が作品の血肉となっているように、前田監督は歌謡映画にも定評があり、『進め! ジャガーズ 敵前上陸』(1968)などのヒット作を送り出した。

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入場料金

当日券

特別料金(当日券のみ)1本500円均一

〈各回入替制〉1作品ごとにチケットが必要です。特別料金につき、各種割引はありません。

●ご鑑賞当日はオンライン予約の方は専用窓口で発券、当日券、前売券をお持ちの方は窓口で指定席をお選びの上、開始時間の10〜15分前からご入場いただきます。


●<全席指定席>となります。新型コロナウイルス感染症予防対策のため座席は半分にしていますので、出来るだけ事前のご購入をおすすめします。満席の際はご入場出来ませんので、ご了承ください。

スケジュール

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