2022優秀映画鑑賞会 【巨匠対決】 今井正VS市川崑

優れた日本映画の数々を、 国立映画アーカイブ所蔵の美しい35ミリフィルムで上映する 「優秀映画鑑賞会」。
戦後日本映画の左翼ヒューマニズムを代表する名匠・今井正監督と徹底した美意識と大胆な実験精神で日本映画きってのスタイリッシュで多彩な作品を監督した名匠・市川崑監督。タイプの異なる日本映画の巨匠による傑作の数々を一挙上映!!
デジタルとは異なる美しい35ミリ・ニュープリントをワンコイン500円 (1本) で特別上映します。

上映作品

にごりえ

にごりえ1953年 / 文学座・新世紀映画社/白黒/スタンダード/モノラル/130分
監督: 今井正/原作:樋口一葉/脚色:水木洋子、 井手俊郎/脚本監修: 久保田万太郎/撮影 : 中尾駿一郎/照明:田畑正一/録音:安恵重遠/音楽: 団伊玖磨/美術: 平川透徹
出演: (第一話「十三夜」) 田村秋子、丹阿弥谷津子、三津田健、芥川比呂志 (第二話「大つご「もり」) 久我美子、中村伸郎、長岡輝、 荒木道子、仲谷昇 (第三話「にごりえ」) 淡島千景、杉村春子、山村聡、宮口精二

 

♦1937年に創設された文学座が、戦後その全盛期を迎えるにあたって発案・製作された作品。 天折した明治の女流作家・樋口一葉の晩年の短篇小説「十三夜」「大つごもり」「にごりえ」を原作に三話構成のオムニバス形式を採り、当時新鮮な現代劇で注目されていた今井正監督が、 京都映画撮影所(旧松竹下加茂撮影所)で完成させた。役者の緊張を強いる簡潔なセットの中で徹底したリハーサルが繰り返され、 微妙な計算により作り出された明治の光と闇の中に、過酷な状況を生きざるをえない女たちの一瞬が捉えられている。この年、今井監督は大ヒット作『ひめゆりの塔』 も演出しているが、 「キネマ旬報」 ベストテンでは『にごりえ』が第1位、 『ひめゆりの塔』 第7位に選出されている。


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純愛物語

純愛物語1957年/東映東京/カラー/シネマスコープ/モノラル/130分
監督:今井正/脚本:水木洋子/撮影: 中尾駿一郎/照明: 元持秀雄/録音:岩田広一/音楽 : 大木正夫/美術:進藤誠吾
出演: 江原真二郎、 中原ひとみ、 岡田英次、木村功、 東野英治郎、 長岡輝子、神田隆、北沢彪、
中村是好、田中邦衛

 

♦前作『米』(1957) の好成績を得て、製作会社の東映が再び今井正監督と組んで作り上げた戦後青春映画の代表作。 1954年3月に第五福竜丸がビキニ環礁で死の灰を浴び、 この頃、日本では改めて原水爆問題がクロース ・アップされていた。脚本の水木洋子によれば、 この作品は同じ今井監督で「戦争と青春」を描いた『また逢う日まで』 (1950) の姉妹篇として 「戦後と青春」を描こうとするものであった。 焼け跡の中を懸命に生きる不良少年と少女の純愛物語に、原爆後遺症の問題が絡んでくるのも、このような社会的背景を抜きにしては考えられまい。 中原ひとみの鼻から、 流れ落ちる一筋の血が伝えるものは、たしかに原爆への怒りである。 だが、 それは今井監督の静かな演出によって、より深々とした印象を与えるものになっている。常に周りの状況に押しつぶされそうになりながら、必死の抵抗を続ける恋人たちの姿は、この監督の作品に一貫する重要なモチーフである。 「キネマ旬報」 ベストテン第2位。

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東京オリンピック

東京オリンピック1965年/東京オリンピック映画協会/カラー/シネマスコープ/モノラル/169分
総監督: 市川崑/企画・監修:オリンピック東京大会組織委員会/脚本:和田夏十、 白坂依志夫、谷川俊太郎、 市川崑/技術監督: 碧川道夫/音楽監督: 黛敏郎/録音監督:井上俊彦/監督部:細江英公、 安岡章太郎、谷川俊太郎 他/撮影部: 林田重男、 宮川一夫、中村謹司、田中正 他/ナレーター : 三国一朗

 

♦1964年10月10日から24日まで開催された第18回オリンピック東京大会は、スポーツによる国際交流の場を通して、わが国が世界にその復興を示した国家的規模の一大行事であったと言えるだろう。この作品はそのメモリアル・フィルムとして市川崑総監督以下、561人のスタッフが結集して製作され、翌年公開されるや空前の観客動員を記録し、12億を超える配給収入を上げた話題作である。また、その際に「記録か芸術か」という問題を提起し、様々な議論を巻き起こしたことも忘れられない。それは、この作品がスポーツの勝敗よりも、スポーツをする「人間」により多くの描写を費やしたためとも言えるのだが、これはこれで作家市川崑としての一貫した姿勢でもあった。結果は、カンヌ国際映画祭批評家協会賞受賞、「キネマ旬報」 ベストテン第2位選出にも表れている。

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細雪

細雪1983年/東宝映画協会/カラー/ビスタ/モノラル/140分
監督・脚本・製作 : 市川崑/原作:谷崎潤一郎/脚本:日高真也/台詞校訂: 谷崎松子/製作:田中友幸/撮影: 長谷川清/照明:佐藤幸次郎/録音:大橋鉄矢/音楽:大川新之助、渡辺俊幸/美術:村木忍
出演:佐久間良子、 吉永小百合、 古手川祐子、岸恵子、伊丹十三、石坂浩二、岸部一徳、桂小米朝、江本孟紀、小坂一也、三宅邦子、 細川俊之

 

♦昭和の世を迎え、零落の一途を辿る大阪・船場の廻船問屋、蒔岡 (まきおか) 家の四姉妹を主人公にした谷崎潤一郎の代表作を、市川崑監督が東宝創立五十周年記念の大作として映画化。市川監督としては、『鍵』(1959) に次ぐ二度目の谷崎作品で、監督デビュー当時より念願していた作品である。「細雪」の映画化は、阿部豊(1950)島耕二 (1959) に続いて三度目。今回の映画化では、物語を一年間に凝縮させ、幾度となく破談となる三女・雪子の縁談を軸に、四季折々の美しい風景を交えながら、 大店の家族の生活ぶりを絢爛と描いている。 見事な編集により主要な登場人物を紹介するオープニング、たわいのない日常のディテールをいきいきとした台詞回しと芝居で見せる巧みな演出、フェードアウトの暗転を活かした後半の物語展開など、至るところに市川監督の才智が煌いている。四姉妹を演じた女優陣を初め、役者はいずれも代表作にふさわしい名演技を披露している。

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入場料

当日券

特別料金(当日券のみ)1本500円均一

※〈各回入替制〉1作品ごとにチケットが必要です。特別料金につき、各種割引はありません。
ご鑑賞の7日前から窓口とオンラインでチケットのご購入が可能です。ご鑑賞当日はオンライン予約の方は専用窓口で発券、当日券の方は窓口で指定席をお選びの上、開始時間の10〜15分前からご入場いただきます。
<全席指定席>となります。満席の際はご入場出来ませんので、ご了承下さい。
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スケジュール

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