2023優秀映画鑑賞会 没後25年 黒澤明監督特集
世界の映画史に峻厳とそびえ立つ巨人・黒澤明。世界の映画人に多大な影響を与え、観客を魅了し続けた。
没後25年、人間の善と悪、大胆な構成と躍動感あふれる演出で描く黒澤明監督の傑作4本を一挙上映。
ノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本により2022年にイギリスでリメイクもされた『生きる』、『スター・ウォーズ』のロボットなどに引用された『隠し砦の三悪人』、その後の時代劇映画に革命を起こした『用心棒』、サスペンス映画の最高峰『天国と地獄』と、超弩級映画の数々。何度でも見たい傑作群を、ワンコイン500円(1本)で特別上映!!
上映作品
生きる
1952年/東宝/白黒/スタンダード/モノラル/143分
監督・脚本:黒澤明/脚本:橋本忍、小国英雄/撮影:中井朝一/照明:森茂/録音:矢野口文雄/音楽:早坂文雄/美術:松山崇
出演:志村喬、小田切みき、田中春男、千秋実、藤原釜足、金子信雄、小堀誠、浦辺粂子、伊藤雄之助、渡辺篤、清水将夫
♦それまで無気力に生きてきた一人の役人が、死という絶対的なものを目前にして、自分を見つめ直し、人間としての尊厳をとりもどしていく姿を描いた作品で、主役を演じた志村喬の〈ゴンドラの歌〉が感動的。胃癌であると知った男は、夜の街をさまよっては見知らぬ男と暴飲に明け暮れるが、部下の言葉により生き方を変えはじめる。映画の途中で場面が突然男の通夜へと変わり、参列者の回想により、男のそれまでの行動が断片的に描かれるという、特異な物語構造も注目を集めた。第4回ベルリン映画祭でのベルリン市政府特別賞受賞や、「キネマ旬報」ベストテン第1位など国内外で高い評価を得た。黒澤明と脚本家の小國英雄が初めて組んだ作品でもある。』が第1位、『ひめゆりの塔』が第7位に選出されている。
隠し砦の三悪人
1958年/東宝/白黒/シネマスコープ/モノラル/138分
監督・脚本:黒澤明/脚本:菊島隆三、小国英雄、橋本忍/撮影:山崎市雄/照明:猪原一郎/録音:矢野口文雄、下永尚/音楽:佐藤勝/美術:村木与四郎
出演:三船敏郎、上原美佐、千秋実、藤原釜足、藤田進、志村喬、樋口年子、三好栄子、加藤武、三井弘次、上田吉二郎
♦時は戦国時代。隣国との戦いに敗れた秋月家の侍大(三船敏郎)は、姫を守りながら、軍用金を手に敵中突破を図ろうとしていた。同盟国に脱出するためである。 二人の百姓を狂言まわしに使い、お家再興にまつわる宝探し、敵中横断にともなう追っかけなどを盛りこんだ作品。襲いかかるさまざまな難関、手に汗握るスリリングな場面が連続する。そのようなシチュエーションをいかに面白く組み立てるかに脚本家の菊島隆三、小国英雄、橋本忍の三人と黒澤明は大いに知恵を絞ったという。観客を決して飽きさせないという決意がうかがえるシナリオである。この映画が製作された1958年は、映画館入場者数が史上最高の11億2745万人を数えた年である。この時、映画は文字どおり大衆娯楽の王者であり、そしてこの作品は、まさにその記念すべき年にふさわしい作品であった。「キネマ旬報」ベストテン第2位。1959年ベルリン国際映画祭監督賞、国際映画批評家賞を受賞。
用心棒
1961年/東宝・黒沢プロダクション/白黒/シネマスコープ/モノラル/110分
監督・脚本:黒澤明/脚本・製作:菊島隆三/撮影:宮川一夫/照明:石井長四郎/録音:三上長七郎、下永尚/音楽:佐藤勝/美術:村木与四郎 出演:三船敏郎、仲代達矢、司葉子、山田五十鈴、加東大介、河津清三郎、志村喬、夏木陽介、東野英治郎、藤原釜足
♦ダシール・ハメットのハードボイルド小説『血の収穫』を大胆に翻案、西部劇の手法を取り入れながら、三船敏郎演じる浪人の痛快無比な姿を描いた黒澤明による大ヒット時代劇。舞台は上州、かつて絹市で栄えた宿場町は、清兵衛一家と丑寅一家との抗争で、無法地帯と化していた。そんな宿場に流れ着いた凄腕の浪人、自称・桑畑三十郎は、両家の親分に自らを用心棒として売り込む…。撮影は、東宝撮影所横の農地に巨大なオープンセットを建て、『羅生門』(1950年)以来の黒澤組となった宮川一夫キャメラマンが、複数のキャメラと望遠レンズを駆使し、シネマスコープの画面を意識した見事なフレーミングで、比類のない娯楽活劇に仕立て上げた。海外でも評判を呼び、盗作騒ぎも起きた『荒野の用心棒』(1964年、セルジオ・レオーネ監督)は、主演クリント・イーストウッドをスターへと押し上げるとともに、イタリア製西部劇(マカロニ・ウェスタン)のはしりとなった。「キネマ旬報」ベストテン第2位。
天国と地獄
1963年/東宝・黒沢プロダクション/白黒/シネマスコープ/モノラル/143分
監督・脚本:黒澤明/原作:エド・マクベイン/脚本:小国英雄、菊島隆三、久板栄二郎/撮影:中井朝一、斎藤孝雄/照明:森弘充/録音:矢野口文雄/音楽:佐藤勝/美術:村木与四郎
出演:三船敏郎、仲代達矢、香川京子、三橋達也、木村功、石山健二郎、志村喬、佐田豊、山崎努
♦この作品は、アメリカの推理作家エド・マクベインの「キングの身代金」を映画化したものであるが、連れ去る子供を取り違えたとしても、その犯人の脅迫は成立するとのヒントを借りただけで、ほとんどのトリックは黒澤をはじめとする脚本家たちのアイディアである。この映画のクライマックスは二つある。一つは特急こだまのトイレの窓から身代金の3000万円を投げ出す場面。これは実際運行される車両を借り切って、数台のカメラで同時間に撮影された。もう一つは、極刑を課すために犯人を泳がせ、新たな殺人現場におびき出す場面である。『用心棒』(1961)や『椿三十郎』(1962)で、これまでの時代劇にはなかった迫力を演出した黒澤であったが、この作品でも、サスペンス映画に斬新な演出を試みている。〈天国〉に住む富豪と対照的に〈地獄〉に住む青年医師を演じた山崎努は、文学座の新人俳優であったが、この作品で一躍注目を浴びた。「キネマ旬報」ベストテン第2位。
入場料
当日券
特別料金(当日券のみ)1本500円均一
※〈各回入替制〉1作品ごとにチケットが必要です。特別料金につき、各種割引はありません。
ご鑑賞の7日前から窓口とオンラインでチケットのご購入が可能です。ご鑑賞当日はオンライン予約の方は専用窓口で発券、当日券の方は窓口で指定席をお選びの上、開始時間の10〜15分前からご入場いただきます。
<全席指定席>となります。満席の際はご入場出来ませんので、ご了承下さい。
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