戦前から戦後にかけて昭和と共に生きた女優・原節子。小津安二郎、成瀬巳喜男はもとより今井正、黒澤明、木下惠介など日本映画の巨匠の作品に数多く出演し、日本映画の黄金時代を支えた屈指の大女優。日本人離れした類い稀な美貌と共に、生涯独身を通し、「永遠の処女」と呼ばれた。今年は、1935年の映画デビューから80年、そして1962年の最後の出演作から53年を迎える。「20世紀の映画スター・女優編」(2000年/キネマ旬報)で日本女優の第1位に輝くなど、日本・世界で今尚新たなファンを獲得し続けている原節子出演作品を一挙上映する過去最大の大特集。 日本映画屈指の伝説の美女が、いま再び、銀幕に降臨する!!
河内山宗俊
1936年/日活京都/82分/35mm/白黒
監督・原作:山中貞雄/脚本:三村伸太郎/撮影:町井春美/音楽:西梧郎 出演:河原崎長十郎、中村翫右衛門、原節子(お浪)、市川扇升、高勢実乗、山岸しづ江、助高屋助蔵
◆わずか28歳で戦病死した天才・山中貞雄が、清純で可憐な娘として探しあてたのは15歳の原節子だった。町の無頼漢たちが、少女を救うため命を投げ出すのを、さもありなんと納得させる。時代劇の面白さが光り輝く、粋で楽しい山中貞雄の極上ムービー。
新しき土〈日独版〉
1937年/日本・ドイツ/106分/デジタル/白黒
監督・脚本:アーノルド・ファンク、伊丹万作/撮影:リヒャルト・アングスト他/美術:吉田謙吉/音楽:山田耕筰 出演:原節子(大和光子)、小杉勇、早川雪洲、ルート・エヴェラー、英百合子
◆ドイツの巨匠ファンクと伊丹万作が共同監督を務め、日本初の国際合同映画として製作。『河内山宗俊』の撮影を見たファンクが、新人の原をヒロインに抜擢。映画は日本、ドイツなどで大ヒットし、原は一躍スターダムにのし上がる。その美しさは永遠に残る。
巨人伝
1938年/東宝/127分/35mm/白黒
監督・脚本:伊丹万作/原作:ビクトル・ユーゴー/脚本:伊丹万作/撮影:安本淳/装置:北猛夫/音楽:飯田信夫 出演:原節子(千代子)、大河内伝次郎、堤真佐子、片桐日名子、佐山亮
◆「レ・ミゼラブル」をフランス革命から西南戦争の時代に舞台を移し翻案した大作。19年の刑に処された男が脱獄に成功し、時代の混乱に乗じて世の中を渡り歩いていく。17歳の原節子は、コゼットに扮し、無垢な少女を演じきる。伊丹万作最後の監督作品。
指導物語
1941年/東宝/107分/35mm/白黒
監督:熊谷久虎/脚本:沢村勉/撮影:宮島義男/美術:北猛夫、平川透徹/音楽:早坂文雄、スルメ音楽研究所 出演:丸山定夫、原節子(瀬木邦子)、若原春江、藤田進、英百合子、中村彰
◆熊谷久虎が戦時下に撮った国策映画。軍用列車を運転するため訓練を受ける青年と、その指導にあたる老機関士の姿をドキュメンタリータッチで描く。21歳の原節子は老機関士の娘役。監督の熊谷は原の義兄。熊谷は、この後、本物の国粋主義者となる。
ハワイ・マレー沖海戦
1942年/東宝/115分/35mm/白黒
監督・脚本:山本嘉次郎/脚本:山崎謙太/撮影:三村明/特撮:円谷英二/美術:松山崇他/音楽:鈴木静一 出演:伊東薫、英百合子、原節子(友田喜久子)、汐見洋、藤田進、大河内傳次郎
◆航空兵に志願した義一は、一人前の操縦士となるための激しい訓練を繰り返す。そして、12月8日早朝、ハワイ奇襲へ出撃する…。大本営海軍省企画による戦意高揚映画。円谷英二の特撮も見物。原は義一の姉役で、彼を喜んで軍隊に送り出す…。
安城家の舞踏会
1947年/松竹大船/89分/35mm/白黒
監督・原作:吉村公三郎/脚本:新藤兼人/撮影:生方敏夫/美術:浜田辰雄/音楽:木下忠司 出演:滝沢修、森雅之、原節子(安城敦子)、津島恵子、清水将夫、神田隆
◆敗戦後、新憲法制定で華族制度が禁止され、名門・安城家も没落し、抵当に入れた屋敷までもついに手放す時がきた…。安城家の最後の舞踏会を軸に、チェーホフの『桜の園』を下地に、新旧世代の交代を描き絶賛された作品。原は父や兄を励ます次女・敦子に扮した。
誘惑
1948年/松竹大船/85分/16mm/白黒
監督:吉村公三郎/脚本:新藤兼人/撮影:生方敏夫/美術:浜田辰雄/音楽:木下忠司 出演:原節子(人見孝子)、佐分利信、杉村春子、山内明、殿山泰司、文谷千代子
◆病身の妻を気遣いながら子供を育てる弁護士の矢島は、恩師の娘・孝子が苦学していることを知り、援助を申し出る…。病妻を持つ男と恩師の娘である女学生の道ならぬ恋。己の幸福を堂々と選択する女性像が鮮やか。ラスト、原が佐分利に「抱っこ」されるしぐさは必見!
お嬢さん乾杯
1949年/松竹大船/89分/35mm/白黒
監督:木下惠介/脚本:新藤兼人/撮影:楠田浩之/照明:豊島良三/美術:小島基司/音楽:木下忠司 出演:原節子(池田恭子)、佐野周二、佐田啓二、永田靖、東山千恵子、坂本武、村瀬幸子
◆“天上の美女”に恋してしまった男と家のために“成金”の彼を愛そうとする女。戦後ならではの恋模様を軽妙洒脱に描いた傑作風刺コメディ! 元華族で気品高い美しさの原節子、無骨な佐野周二の恋の行方は? 自由を謳歌出来る新時代への木下の熱い吐露!
青い山脈
1949年/東宝・藤本プロ/92分/35mm/白黒
監督・脚本:今井正/原作:石坂洋次郎/脚本:井手俊郎/撮影:中井朝一/美術:松山崇/音楽:服部良一 出演:原節子(島崎雪子)、池部良、杉葉子、龍崎一郎、若山セツコ、木暮実千代
◆大ヒットし戦後民主主義の象徴となった名作。暗い話題の多かった戦後、日本中に爽やかな明るさを振りまき、民主化の意味をユーモアたっぷりに放った今井正の代表作。女生徒へのラブレター事件を発端に、若い女教師が旧弊な学校や町の勢力と対決する。
続 青い山脈
1949年/東宝・藤本プロ/84分/35mm/白黒
監督・脚本:今井正/原作:石坂洋次郎/脚本:井手俊郎/撮影:中井朝一/美術:松山崇/音楽:服部良一 出演:原節子(島崎雪子)、木暮実千代、池部良、杉葉子、龍崎一郎、若山セツコ
◆前編の続編。新旧世代の対決が大団円を迎える完結篇。会議室でのラブレター朗読の名場面、颯爽と自転車で浜辺へと走るシーンや、理想に燃える知的な女教師の原節子、海岸で健康的な肢体を見せた杉葉子など、まさに新時代の到来を告げた快作!!
白雪先生と子供たち
1950年/大映東京/89分/16mm/白黒
監督:吉村廉/脚本:八住利雄/原案:森岡昇/撮影:峰重義/美術:今井高一/音楽:渡辺浦人 出演:原節子(雨宮加代子)、瀧花久子、関千恵子、山口勇、吉川公一郎、伊東光一、河原侃二
◆東京のはずれにある小学校。富士の白雪のように美しく優しい白雪先生と、子供たちとの交流を描いた感動篇。森岡昇教諭の『太陽は子供の上にも』をもとに日教組が協力して映画化。女教師役が素晴らしく、原節子は理想の小学校の先生役が良く似合う。
東京の恋人
1952年/東宝/97分/35mm/白黒
監督:千葉泰樹/脚本:井手俊郎、吉田二三夫/撮影:飯村正/美術:北猛夫、浜上兵衛/音楽:飯田信夫 出演:原節子(ユキ)、三船敏郎、杉葉子、小泉博、森繁久弥、清川虹子、河村黎吉
◆銀座の宝石店で見つかった偽ダイヤ騒動に、似顔絵描き・ユキと青年紳士・黒川の恋模様をからめた都会喜劇。銀座界隈など、当時の東京の風景がたっぷり織り込まれ、勝鬨橋の開閉を物語に取り入れた着想も秀逸。三船との共演も楽しい。
晩春
1949年/松竹大船/108分/35mm/白黒
監督・脚本:小津安二郎/原作:廣津和郎/脚本:野田高梧/撮影:厚田雄春/美術:濱田辰雄/音楽:伊藤宣二 出演:原節子(曾宮紀子)、笠智衆、月丘夢路、杉村春子、三宅邦子、桂木洋子
◆初めて小津作品に出演した「紀子3部作」の第1作。原の演技が絶賛されるとともに、作品も高く評価され興行的成功も収めた。やもめの父を気遣って結婚をためらう娘と父の物語は、その後の小津の作風を決定づけ、脚本家野田と小津とのコンビは遺作まで続く。
麦秋
1951年/松竹大船/124分/35mm/白黒
監督・脚本:小津安二郎/脚本:野田高梧/撮影:厚田雄春/美術:濱田辰雄/音楽:伊藤宣二 出演:原節子(間宮紀子)、笠智衆、淡島千景、三宅邦子、菅井一郎、佐野周二、杉村春子、二本柳寛
◆28歳を迎えた娘の結婚話をめぐる家族らの心情を、多彩な人間関係と細部豊かなエピソードで綴った「紀子3部作」第2作。卓抜なカット割りとシーンつなぎによって、エゴに向き合う人間の孤独と崩れていく大家族への愛おしい思い、新たな希望が見事に織り重なる。
東京物語
1953年/松竹大船/135分/35mm/白黒
監督:小津安二郎/脚本:野田高梧、小津安二郎/撮影:厚田雄春/美術:浜田辰雄/音楽:齋藤高順 出演:原節子(平山紀子)、笠智衆、東山千榮子、杉村春子、山村聰、三宅邦子、香川京子、東野英治郎、中村伸郎、大坂志郎、十朱久雄、長岡輝子
◆「紀子3部作」の末尾を飾るとともに、世界映画史上ベストワンにも選ばれた小津・原コンビの最高傑作。尾道に住む老夫婦が子どもたちに会いに20年ぶりに上京するが、親身になって世話をしてくれたのは戦死した次男の未亡人・紀子だけだった…。人生の悲哀と深淵が見事に描かれ、世界の映画人に大きな影響を与えた名作。
東京暮色
1957年/松竹大船/140分/35mm/白黒
監督・脚本:小津安二郎/脚本:野田高梧/撮影:厚田雄春/美術:浜田辰雄/音楽:斉藤高順 出演:原節子(沼田孝子)、有馬稲子、笠智衆、山田五十鈴、高橋貞二、田浦正巳、杉村春子、山村聰
◆二人の娘を残して母が去った、男手一つの家庭の物語。原は実家に帰ってきた姉、妊娠した未婚の妹に有馬。妹が偶然出会った女は、死んだと聞かされていた実の母だった…。人間の孤独を見つめた悲痛な作品で、忘れがたい詩情と余韻に溢れた小津の異色作。
秋日和
1960年/松竹大船/128分/35mm/白黒
監督・脚本:小津安二郎/原作:里見 /脚本:野田高梧/撮影:厚田雄春/美術:浜田辰雄/音楽:斉藤高順 出演:原節子(三輪秋子)、司葉子、岡田茉莉子、佐田啓二、桑野みゆき、笠智衆
◆亡夫の七回忌を終えた美しい未亡人と、婚期を迎えた娘の間に起きる小さな心の波風を繊細に描く名作。『晩春』の父娘関係を母娘に置き換えてカラー化し、取り巻きの紳士たちのユーモアなど練達の技が光る、まさに小津の技法の到達点ともいえる完成度。
小早川家の秋
1961年/宝塚映画/103分/35mm/白黒
監督・脚本:小津安二郎/脚本:野田高梧/撮影:中井朝一/美術:下河原友雄/音楽:黛敏郎 出演:中村鴈治郎、原節子(小早川秋子)、司葉子、新珠三千代、小林桂樹、森繁久弥、宝田明、団令子
◆伏見で造り酒屋を営む一家の人間ドラマ。小津が宝塚に出向して撮った作品で、常連に加え東宝の主役級も出演。飄々とした関西弁の台詞回しや京の町家の暗がりに匂い立つ寂寥感が、当主のあっけない死をめぐる本作の滋味になっている。原最後の小津作品。
めし
1951年/東宝/97分/35mm/白黒
監督:成瀬巳喜男/原作:林芙美子/脚本:井手俊郎、田中澄江/監修:川端康成/撮影:玉井正夫/美術:中古智/音楽:早坂文雄 出演:原節子(岡本三千代)、上原謙、島崎雪子、杉葉子、杉村春子、小林桂樹
◆林芙美子の遺作の映画化。ジャンジャン横丁、天神ノ森など大阪を舞台に、上原謙、原節子が夫婦を名演。倦怠期の夫婦の心理の綾を巧みに掬い取り、成瀬の成熟した日常的リアリズムを確立した傑作。戦後まもない大阪でロケを敢行。当時の大阪も見物。
山の音
1954年/東宝/95分/35mm/白黒
監督:成瀬巳喜男/原作:川端康成/脚色:水木洋子/撮影:玉井正夫/美術:中古智/音楽:斎藤一郎 出演:原節子(尾形菊子)、山村聡、上原謙、長岡輝子、杉葉子、丹阿弥谷津子、金子信雄
◆川端康成が戦後最初に発表した小説の映画化。息子の浮気に心を痛める舅と、その嫁の間に芽生えるほのかな感情に生起するエロチシズム。浮気する夫との忍従の辛さを噛みしめて寂しく生きる嫁を、原節子が好演。成瀬の代表作のひとつ。
驟雨
1956年/東宝/91分/35mm/白黒
監督:成瀬巳喜男/原作:岸田國士/脚本:水木洋子/撮影:玉井正夫/美術:中古智/音楽:斎藤一郎 出演:原節子(並木文子)、佐野周二、香川京子、小林桂樹、根岸明美、加東大介、中北千枝子
◆結婚4年目の夫婦に、新婚旅行から戻ったばかりの姪が訪れて…。倦怠期にさしかかった夫婦が小さな諍いを繰り返しながらも、幸福を見い出してゆく姿を細やかな描写で綴った成瀬の傑作。夕立の中、かすかに浮かぶ原節子の比類のない美しさ!
娘・妻・母
1960年/東宝/124分/35mm/白黒
監督:成瀬巳喜男/脚本:井手俊郎、松山善三/撮影:安本淳/美術:中古智 照明:石井長四郎/音楽:斎藤一郎 出演:原節子(曾我早苗)、高峰秀子、三益愛子、森雅之、団令子、淡路恵子
◆金銭面などから亀裂が生じていく東京山の手の中流家庭の母と嫁と娘たちに、東宝の第一級の女優たちが扮するオールスター映画。長女に原節子、長男の嫁に高峰秀子。この年の東宝No.1ヒットを記録。原の初めてのキスシーンも話題を呼んだ。
白痴
1951年/松竹大船/166分/35mm/白黒
監督・脚本:黒澤明/脚本:久板栄二郎/原作:ドストエフスキー/撮影:生方敏夫/美術:松山崇/音楽:早坂文雄 出演:森雅之、原節子(那須妙子)、三船敏郎、久我美子、志村喬、千秋実
◆ドストエフスキーの名作をもとに黒澤が描く野心作。コントラストの強い白黒映像によるクローズアップを効果的に使い、素朴で純粋な人間が破滅へと向かう悲劇を謳いあげた。ナスターシャを演じた原の演技の見事さはここに頂点を極めている。
ノンちゃん雲に乗る
1955年/新東宝/84分/デジタル/白黒
監督・脚本:倉田文人/原作:石井桃子/脚本:村山節子/撮影:小原譲治/美術:山手健/音楽:飯田信夫 原節子(ノンちゃんの母)、鰐淵晴子、藤田進、徳川夢声、大泉滉、小沢路子、名古屋章
◆文部大臣賞を受賞した石井桃子の児童文学の映画化。眼の治療のため休養をとっていた原節子が、1年半ぶりに復帰した第1作。ノンちゃんが夢の中で不思議な老人に導かれ、“雲の上の世界”を体験するファンタジー。原節子と初主演の鰐淵晴子が素晴らしい!
美しき母
1955年/東宝/98分/35mm/白黒
監督:熊谷久虎/原作:林房雄/脚色:浄明寺花子/撮影:山田一夫/美術:北川恵笥/音楽:中田喜直 出演:原節子(太田光代)、野口泰史、佐分利信、多々良純、清川玉枝、磯村登美恵
◆前作『ノンちゃん雲に乗る』に続いて母親役に出演。父親が鉱山に手を出し失敗したために、母親はひとり息子をつれて昔の雇人の家に厄介になる。夫と別れ、たくましく生きる母親を原節子が熱演。監督は原が絶対的な信頼を寄せていた義兄の熊谷久虎。
愛情の決算
1956年/東宝/112分/35mm/白黒
監督:佐分利信/原作:今日出海/脚色:井手俊郎/撮影:山田一夫/美術:北猛夫、清水喜代志/音楽:団伊玖磨 出演:佐分利信、三船敏郎、原節子(田口勝子)、小林桂樹、千葉一郎、八千草薫
◆終戦後10年の日本人の家庭を描いた今日出海の小説『この十年』を、佐分利信が監督・主演で映画化。子どもの誕生日も忘れて、恋に生きる原節子。こんな彼女は見たことがない! 大人の恋愛映画にして、戦後日本人の変化を描く傑作社会派ドラマ。
婚約三羽烏
1956年/東宝/87分/35mm/カラー
監督:杉江敏男/脚本:島津保次郎/撮影:完倉泰一/美術:村木忍/音楽:服部良一 出演:宝田明、小林桂樹、小泉博、司葉子、池部良、原節子(松川女史)、高峰三枝子、佐野周二、上原謙
◆島津保次郎の『婚約三羽烏』(1937年)をリメイク。宝田明、小林桂樹、小泉博が三羽烏に扮し、元祖三羽烏や戦前の懐かしいスターも総出演するという豪華版。原節子は三羽烏が入社試験を受ける織物会社の面接官。脇役ながら初のカラー作品出演。
女囚と共に
1956年/東京映画/145分/35mm/白黒
監督:久松静児/脚本:田中澄江/撮影:小原譲治/美術:小島基司/音楽:斎藤一郎 出演:原節子(杉山よし子)、田中絹代、淡路恵子、久我美子、香川京子、木暮実千代、岡田茉莉子、杉葉子
◆女子刑務所を舞台に、女囚の更生に情熱を傾ける保安課長と所長、そして女囚たちを描く女性映画。保安課長に原節子、所長に田中絹代、女囚に淡路恵子、久我美子、香川京子、木暮実千代、岡田茉莉子、牢名主に浪花千栄子という驚きの珍品!
智恵子抄
1957年/東宝/97分/35mm/白黒
監督:熊谷久虎/原作:高村光太郎/脚本:八住利雄/撮影:小原譲治/美術:清水喜代志/音楽:団伊玖磨 出演:原節子(高村智恵子)、山村聡、柳永二郎、三好栄子、津山路子、太刀川洋一
◆詩人・彫刻家の高村光太郎の詩集『智恵子抄』を映画化。智恵子の童女の如き純真な愛に出会い、光太郎は生きる喜び、愛の幸せに包まれるが、仕事と家庭の板ばさみから、やがて智恵子は心を病んでいき…。原が愛と狂気に揺れる智恵子を演じ切った感動作。
最後の脱走
1957年/東宝/106分/35mm/カラー
監督:谷口千吉/脚本:八住利雄、木村武/撮影:山田一夫/美術:北猛夫/音楽:伊福部昭 出演:鶴田浩二、原節子(とみ子)、平田昭彦、笠智衆、田島義文、太刀川洋一、団令子、山田圭介
◆中国大陸で看護婦として動員されていた女学生たちは、敗戦後、共産八路軍の捕虜となり、野戦病院の看護婦をさせられていた…。大陸に取り残された女学生たちの悲劇。原は引率教師に扮し、軍医の鶴田に出会うが…。原が戦後、唯一出演した戦争映画。
女であること
1958年/東京映画/100分/35mm/白黒
監督・脚本:川島雄三/原作:川端康成/脚本:田中澄江、井出俊郎/撮影:飯村正/美術:小島基司/音楽:黛敏郎 出演:森雅之、原節子(佐山市子)、久我美子、香川京子、三橋達也、石浜朗
◆死刑囚の娘を預かる弁護士・佐山とその妻・市子のもとに、ある日、市子の親友の娘が家出してきて…。原、香川、久我が演じる三人の女たちの人間模様が描かれる。原が出演を熱望した川島雄三監督作品。芸達者な出演陣も見物。丸山明宏がタイトルバックで歌う。
東京の休日
1958年/東宝/87分/35mm/カラー
監督・脚本:山本嘉次郎/脚本:井手俊郎/撮影:山崎市雄/美術:浜上兵衛/音楽:松井八郎 出演:山口淑子、久慈あさみ、上原謙、八千草薫、原節子(ファッション協会理事長)、司葉子、三船敏郎
◆山口淑子の芸能生活20周年記念映画であり、女優引退記念映画。アメリカで成功した女流デザイナーの20年ぶりのお忍び帰国から始まる大騒動を歌と踊り満載で見せる。レビューやファッションショーにも豪華スターが大挙出演する東宝オールスター映画。
日本誕生
1959年/東宝/124分/35mm/カラー
監督:稲垣浩/特撮監督:円谷英二/脚本:八住利雄、菊島隆三/撮影:山田一夫/美術:伊藤熹朔他/音楽:伊福部昭 出演:三船敏郎、中村鴈治郎、伊豆肇、宝田明、原節子(天照大神)
※『日本誕生』の上映について
チラシ、HP等で180分と表記していましたが、124分の短縮版での上映となります。
予め、ご了承下さいますようお願い致します。
◆東宝千本製作記念としてオールスター総出演の大スペクタクル。1600年前の日本神話の世界を映画化。三船扮する日本武尊の波乱の生涯を中心に日本の国造りを描く。ヤマタノオロチ、火山の噴火に大洪水と、神話を映像化した円谷特撮は見物。原は天照大神!
女ごころ
1959年/東宝/95分/35mm/白黒
監督:丸山誠治/原作:由起しげ子/脚本:田中澄江/撮影:小泉福造/美術:浜上兵衛/音楽:斎藤一郎 出演:森雅之、原節子(小城伊曾子)、団令子、佐原健二、丹阿弥谷津子、三津田健、南美江
◆結婚十年目にして夫の不倫が発覚。妻は幼な子と家から出て行くが、夫は若い娘との生活を始める…。森雅之と原節子が倦怠期の夫婦を大人の風格で演じ、ドライな現代娘に団令子も好演。対照的な二人の女性の心理を丁寧に紡いだ傑作風俗映画。
大番
1957年/東宝/117分/35mm/白黒
監督:千葉泰樹/原作:獅子文六/脚本:笠原良三/撮影:完倉泰一/美術:中古智/音楽:佐藤勝 出演:加東大介、淡島千景、原節子(森加奈子)、仲代達矢、小林桂樹、河津清三郎、東野英治郎
◆四国の寒村から身ひとつで上京、株の世界に飛び込んだ“ギューちゃん”こと赤羽丑之助の波瀾万丈の熱血風雲録。第1作は、株取引の世界にとびこんだギューちゃんが、日本橋兜町を舞台に小僧からメキメキ成りあがる青春篇。憧れのマドンナに原節子。
続大番 風雲篇
1957年/東宝/121分/35mm/白黒
監督:千葉泰樹/原作:獅子文六/脚本:笠原良三/撮影:西垣六郎/美術:中古智/音楽:佐藤勝 出演:加東大介、淡島千景、原節子(有島加奈子)、青山京子、中田康子、平田昭彦、仲代達矢
◆株で大損し、故郷に戻ったギューちゃん。ほとぼりが冷めた頃、再び東京へ。持ち前の度胸と才腕で成功をおさめながらも、時代は激動の時代へ突入。マドンナ加奈子さんは伯爵家に嫁いでしまい…。笑いあり、涙ありの風雲篇。淡島演じるおまきさんの無償の愛に涙。
続々大番 怒涛篇
1957年/東宝/108分/35mm/白黒
監督:千葉泰樹/原作:獅子文六/脚本:笠原良三/撮影:西垣六郎/美術:中古智/音楽:佐藤勝 出演:加東大介、淡島千景、原節子(有島加奈子)、青山京子、平田昭彦、仲代達矢、三木のり平
◆昭和13年、おまきさんと別れ、またも借金を背負い、故郷に帰った失意のギューちゃん。ちょうど憧れの加奈子さんも夫と里帰りしていたが、戦時下の物不足に注目し新商売で成功。だが、戦時色はさらに濃くなり太平洋戦争が勃発…。ギューちゃんの行く末やいかに!
大番 完結篇
1958年/東宝/104分/35mm/白黒
監督:千葉泰樹/原作:獅子文六/脚本:笠原良三/撮影:西垣六郎/美術:中古智他/音楽:佐藤勝 出演:加東大介、淡島千景、原節子(有島加奈子)、団令子、仲代達矢、東野英治郎
◆戦後を迎え東京証券取引所が再開。兜町に戻ったギューちゃんは、好景気で大いに儲け、未亡人となった加奈子さんに求婚するが…。マドンナへの片想いの結末は!? ギューちゃんをとりまく女たちも総出演。激動の時代を生きた男を描く人気シリーズ、ここに完結!
路傍の石
1960年/東京映画/104分/35mm/白黒
監督:久松静児/原作:山本有三/脚本:新藤兼人/撮影:杉本正二郎/音楽:斎藤一郎/美術:伊藤熹朔、島康平 出演:太田博之、原節子(愛川おれん)、森繁久彌、滝田裕介、瀧花久子、三橋達也
◆明治の末期、極貧の家に生まれた少年が、たくましく生き抜く姿を描いた山本有三の名作の三度目の映画化。原作者の指名で父役に森繁久彌、母役に原節子を迎え、庶民派映画の名匠・久松静児が手がけた感動篇。太田博之は全国の児童劇団から抜擢。
慕情の人
1961年/東宝/96分/35mm/カラー
監督:丸山誠治/原作:井上靖/脚本:岡田達門、田波靖男/撮影:太田幸男、安本淳/美術:植田寛/音楽:斎藤一郎 出演:原節子(三浦耿子)、三橋達也、白川由美、滝田裕介、岡村文子
◆運動具店の美しい未亡人・耿子と小悪魔さながらに振舞う義妹。二人の女性が、亡き夫の友人を巡って嫉妬の応酬を繰り広げる恋愛心理劇。その間に入って煩悶する青年画家…。井上靖の『揺れる耳飾り』を映画化、終幕まで目が離せないメロドラマの秀作。最後の主演作。
娘と私
1962年/東京映画/124分/35mm/白黒
監督:堀川弘通/原作:獅子文六/脚本:広沢栄/撮影:中井朝一/美術:小野友滋/音楽:池野成 出演:星由里子、山村聡、原節子(岩谷千鶴子)、フランソワーズ・モレシャン、杉村春子
◆朝のNHK連続テレビ小説第1作にもなった獅子文六の自伝小説の映画化。フランス人の妻が病死した小説家の後妻を演じるのが原節子。我が子のように前妻の娘を愛する母親を好演。娘と心優しい後妻と暮らした小説家の半生を描く。銀幕引退まで後1作。
忠臣蔵 花の巻・雪の巻
1962年/東宝/207分/35mm/カラー
監督:稲垣浩/脚本:八住利雄/撮影:山田一夫/美術:伊藤熹朔、植田寛/音楽:伊福部昭 出演:松本幸四郎、加山雄三、三船敏郎、原節子(りく)、司葉子、三橋達也、宝田明、夏木陽介、池部良、佐藤允、志村喬、小林桂樹、森繁久彌、フランキー堺、新珠三千代
◆オールスター映画の代名詞・忠臣蔵の、巨匠・稲垣浩による決定版。大石に松本幸四郎、浅野内匠頭に加山雄三という布陣の東宝三十周年記念超大作。大石の妻りくを演じた原節子の引退作。討入を決意した大石は、連座を恐れてりくを離縁。静かに駕篭に揺られ細い山道を遠ざかるりく。銀幕最後の姿となった。
参考上映
魂を投げろ
1935年/30分(現存部分)/デジタル/白黒
監督:田口哲/原作:飛田穂州 出演:伊沢一郎、中村英雄、原節子(早崎の妹)
◆現存する原節子最古の映像。旧制中学の野球予選を描く。原は不遇なエース早崎の妹。当時15歳!トークショーの参考作品として上映いたします。
※スケジュールの「特別上映」につきまして、上映作品は未定です。 当日、お楽しみいただきます。