【生誕130年記念 ジャン・ルノワール監督連続上映】
『ゲームの規則』『コルドリエ博士の遺言』『捕えられた伍長』

ゲームの規則

1939年/フランス/106分/La regle du jeu
◎監督・脚本:ジャン・ルノワール◎撮影:ジャン・パシュレ◎美術:ユージェーヌ・ルリエ◎衣装:ココ・シャネル◎編集:マルグリット・ルノワール◎音楽:ロジェ・デゾルミエール◎出演:マルセル・ダリオ、ノラ・グレゴール、ローラン・トゥータン、ジャン・ルノワール、ミラ・パレリ、オデット・タラザク、ポーレット・デュボスト

 

ラ・シュネイ侯爵の領地コリニエールで狩猟の集いが開催されることになった。侯爵と夫人のクリスチーヌが迎えるのは、大西洋を23時間で横断するという偉業を成し遂げたばかりの飛行士アンドレ、その友人にしてクリスチーヌのよき相談相手オクターヴ、侯爵の愛人ジュヌヴィエーヴをはじめ一癖も二癖もある者ばかり。アンドレとクリスチーヌが恋仲なのは社交界では周知の事実。ただでさえ波乱が予想されるものの、侯爵は来る者は拒まずの広い心の持ち主。狩猟から仮装パーティへと続く中、小間使い、彼女の夫の密猟監視員、さらには小間使いにちょっかいを出す密猟人まで加わって、それぞれの思惑はこんがらがり、とんでもない事態へと発展していく。

第2次世界大戦が目前に迫る1939年に製作され、色恋や享楽を追い求めるブルジョワたちの姿を描いたことで、不謹慎で風俗を乱すとの理由で上映が禁止されたり、短縮版で公開されたりするなど、不運に見舞われた一作。その後、1959年に復元され、日本でも1982年に劇場公開された。2024年、4Kデジタルリマスター版でリバイバル公開。

 

 

 

 

コルドリエ博士の遺言

1959年/96分/フランス/Le testament du Docteur Cordelier
◎監督・脚本:ジャン・ルノワール◎原作:ロバート・ルイス・スティーブンソン◎撮影:ジョルジュ・ルクレール
◎音楽:ジョセフ・コスマ◎出演:ジャン=ルイ・バロー、テディ・ビリス、ミシェル・ビトルド、ミシュリーヌ・ギャリ

 

それは神の領域に触れる禁断の実験。『ジキル博士とハイド氏』をルノワール流に大胆に翻案。「テレビ」「映画」「舞台」を交錯させた実験精神溢れる異端の作品!国内初上映!

当時、新たなメディアとして登場したテレビ向けの企画として製作された本作は、従来の映画とは違った演劇や舞台のスタイルを取り入れている。複数のカメラで同時に撮影する「マルチプルカメラ」の手法が採用され、ルノワールは俳優をカメラから解放しようと試みる。これにより俳優たちはカメラに向けて演技をするのではなく、自分のリズムとペースで演技をすることが可能となった。撮影前には入念なリハーサルが繰り返され、舞台演劇のように綿密な打ち合わせが行われた。ルノワールは50年代中盤から舞台演出も手がけており、「芝居でやった仕事から生まれた実験映画である」と本作について語っている。主演はマルセル・カルネの『天井桟敷の人々』(45)のジャン=ルイ・バロー。本作ではジキルとハイドをモチーフにした「コルドリエ博士」と「オパール」を見事に演じきり新境地を開拓。彼の優雅な身のこなしとダイナミックな演技は観るものを魅了する。ジャン=リュック・ゴダールとエリック・ロメールは本作をオールタイムベストの1本に挙げているほか、レオス・カラックスは2012年の『ホーリー・モーターズ』で本作のキャラクターにオマージュを捧げた「怪人メルド」を登場させている。

 

 

 

 

捕らえられた伍長

1962年/107分/フランス/Le caporal epingle
◎監督・脚本:ジャン・ルノワール◎原作:ジャック・ペレ◎脚本:ギイ・ルフラン◎撮影:ジョルジュ・ルクレール◎音楽:ジョセフ・コスマ
◎出演:ジャン=ピエール・カッセル、クロード・ブラッスール、O・E・ハッセ、クロード・リッシュ、ジャン・カルメ、ジャック・ジュアノー、マリオ・ダビッド

 

ただひたすら、自由を求めて。
名作『大いなる幻影』の変奏ともいうべき傑作喜劇。
生の歓びを高らかに謳い上げるルノワール最後の人生讃歌!

何度失敗しても果敢に捕虜収容所からの脱走を試みる伍長の姿を通して、生きる歓びと素晴らしさを描いたルノワールの遺作。自身の代表作『大いなる幻影』(37)の変奏とも言える作品だが、シリアスでペシミスティックな『大いなる幻影』に対し、本作はより軽快なタッチと魅力的なキャラクター描写により軽快な喜劇に仕上がっている。ルノワールは「敗れた者の精神についての映画を作りたかった。『大いなる幻影』はその反対に勝者の映画だった。先の大戦は私たちに一つのことを教えてくれた。そこには敗者しかないということである」と語る。『フレンチ・カンカン』(55)の成功でフランス映画界へ復帰したルノワールだったが、その後の作品は不振が続き、晩年アメリカで暮らし母国へ帰ることは叶わなかった。何度失敗してもパリに帰りたいと願う本作の主人公の姿は、まさに自身の心情と重ね合わされていたのかもしれない。出演は『ブルジョワジーの密かな愉しみ』(72)のジャン=ピエール・カッセルと『はなればなれに』(64)のクロード・ブラッスール。エリック・ロメールは本作をオールタイムベストに挙げるほか、「カイエ・デュ・ シネマ」誌にてその年のベスト10に選出された。

1962年ベルリン国際映画祭 金熊賞ノミネート
1963年英国アカデミー賞 総合作品賞ノミネート

 

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【別企画】生演奏付き上映会 ピアノーヴォVol.5
ジャン・ルノワールの監督デビュー作
『水の娘』 La fille de l'eau

 

いまから遡ること129年前。映画が誕生した頃の映画には音がついていませんでしたが、スクリーン近くで演奏される生の音楽とともに楽しまれていました。そんな当時のライブ感溢れる映画鑑賞を念願のピアノが入ったシネ・ヌーヴォでご堪能いただく企画第5弾!

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〈上映スケジュール〉

 

 

〈鑑賞料金〉

一般1900円、シニア1300円、会員・学生1200円、高校生以下・ハンディキャップ1000円
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