ダニエル・シュミット監督2作品
『デ ジャ ヴュ』『季節のはざまで』同時上映

その優美な映像と唯一無二の虚構世界により、熱狂的なファンを生み、日本のミニシアターブームの火付け役のひとつとなったダニエル・シュミット監督。昨今でも『ヘカテ デジタルリマスター版』や盟友ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーとタッグを組んだ『天使の影』などの上映により、新たなファンを獲得し続けている。

 

 

 

デ ジャ ヴュ

1987年/スイス/97分
◎脚本:マルタン・シュテール、ダニエル・シュミット◎撮影:レナート・ベルタ◎美術:ラウール・ヒメネス◎音楽:ピノ・ドナッジオ◎出演:ミシェル・ヴォワタ、クリスチーヌ・ボワッソン、ヴィットリオ・メゾジオルノ、ラウラ・ベッティ、キャロル・ブーケ

公式HP→https://schmidfilms.jp/

ダニエル・シュミットが誘う極上の夢の旅 幾度となく美を見つけだす。

1987年カンヌ映画祭で上映され絶賛を博した作品。ふたつの現実、ふたつの時間がシュミットの魔法によって美しく混じり合う、極上の<幻想映画>である本作がこの度初のデジタルリマスター版でロードショー。

夢のような画面にあらわれるのは、謎にひきつけられ惑わされる人々、幻影の人々、山岳地帯の勇壮な自然、ものものしい古城、散りばめられた鏡やすれ違い続ける列車、狂騒的なカーニバル…。リヴェット、ロメールなどヌーヴェル・ヴァーグの作家たちの作品も手がけてきた名キャメラマン、レナート・ベルタや、R・W・ファスビンダーの『ローラ』や『第三世代』も手掛けた美術監督ラウール・ヒメネスが、一足踏み入れれば永遠に迷いこんでしまいそうな恐ろしさとときめきと共に、物語を作り上げた。音楽は『赤い影』やブライアン・デ・パルマ作品など、ジャンル、国境を超えて活躍したイタリア出身の作曲家、ピノ・ドナッジオ。また、主人公が魅了される娘ルクレツィア役には、ルイス・ブニュエルの『欲望のあいまいな対象』でデビューを飾り、後にはシャネルのモデルとしても輝いたキャロル・ブーケ。

17世紀のスイス、グリソン州独立の最大の英雄であるイェナチュは、宿敵ポンペウスを殺し、権力を手中に入れた。しかし、数年後には“謎の人物”によってイェナチュもまた殺された──。現代の記者、クリストフはイェナチュの墓の発掘を指揮した人類学者トブラーとのインタヴューの仕事を引き受けた。トブラーは一風変わった人物で、イェナチュに取り憑かれている。やがて、ポンペウスの暗殺のあった城に、末裔の老嬢プランタを訪ねた帰路、クリストフは不思議なことにイェナチュに出会う。既視体験(ルビ:デ ジャ ヴュ)に悩まされるクリストフは謎を究明するべくもう一度城に向かうも、何とそこでポンペウス暗殺の現場を目撃。そして、ポンペウスの美しい娘ルクレツィアの姿を発見し…。


 

季節のはざまで

1992年/スイス・ドイツ・フランス/92分
◎脚本:ダニエル・シュミット、マルタン・シュテール◎撮影:レナート・ベルタ◎美術:ラウール・ヒメネス◎音楽:ペール・ラーベン◎出演:サミー・フレイ、カルロス・デベーザ、イングリッド・カーフェン、アリエル・ドンバール、ジェラルディン・チャップリン、モーリス・ガレル

公式HP→https://schmidfilms.jp/

スイスの至宝 ダニエル・シュミットが描きだす万華鏡のごとき夢と記憶、そして永遠の別れー

シュミット自身の少年時代の記憶を基に、祖父母が経営していたホテルを基に脚本を執筆。長い廊下、エレベーターホールにバー、レストラン、隅々にまで目を奪われる内装のホテルは玉手箱のような舞台となって、誰もが大切にしまっている、切なくなってしまうほどに甘美な思い出の扉を開けてゆく。ホテルを訪れるナレーター、ヴァランタン役を演じるのは『はなればなれに』『夕なぎ』のサミー・フレイ。深く、端正な魅力たっぷりに物語を支えます。アンニュイな女性歌手リロ役には『ラ・パロマ』『天使の影』のイングリット・カーフェン、“世界一の美女”ステュデール夫人にはエリック・ロメール『海辺のポーリーヌ』のアリエル・ドンバール、伝説の女優サラ・ベルナールには『オール・アバウト・マイ・マザー』はじめペドロ・アルモドバル作品でおなじみのマリサ・パレデス、祖父母役にはフェリーニの妹、マリア・マッダレーナ・フェリーニとモーリス・ガレルが扮するなど、各国の豪華キャスト揃い。また、撮影地の村でシュミットに発見された当時8歳のカルロス・デベーザも、とびきりチャーミングに少年時代のヴァランタンを演じている。

舞台はスイスの山中に建つ古いホテル。ここの持ち主だった祖父母に育てられたヴァランタンが、ホテルが取り壊されると聞いて記憶をたよりにやってくる。今は無人と化したホテルの中を歩きながら、彼は少年時代の懐かしい記憶の数々を思う。あこがれの“世界一の美女”や女性歌手とピアノ弾き、魔術師、思い出話がいつも面白かった祖母。少年ヴァランタンにとって大人たちの世界は素晴らしく魅力的なものだった。過去と現在が交錯するホテルで、シュミットがつむぎ出す夢幻的な舞台がいま始まる。




 

〈上映スケジュール〉

 

〈鑑賞料金〉

一般1900円、シニア1300円、会員・学生1200円、高校生以下・ハンディキャップ1000円
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