松竹120周年祭

 

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原節子、高峰秀子、岸恵子、岡田茉莉子…、“女優王国”と言われた松竹映画の歴史、それは同時に監督を優遇したディレクター・システムの軌跡でした。監督主導で名優たちが競い、“蒲田調”“大船調”と呼ばれた数々の傑作が誕生しました。シネ・ヌーヴォでは2006年に松竹110周年祭を開催、「日本の美」と題し43本を上映。あれから10年、松竹120年を迎えた今年、再び120周年祭を開催します。昨年9月に亡くなった原節子さん追悼特集と、「女優王国松竹」「松竹の監督たち」の2つの側面から42本を一挙上映。先端のデジタル技術で甦った9本のデジタル修復版など歴史的傑作とともに、前回上映しなかった貴重な作品群を特集上映します。

安城家の舞踏会

人間模様1947年/89分/白黒/35mm
◎監督:吉村公三郎◎脚本:新藤兼人◎撮影:生方敏夫◎音楽:木下忠司
◎出演:瀧澤修、森雅之、逢初夢子、原節子、日守新一、清水将夫、津島恵子、殿山泰司

◆敗戦後、華族制度が禁止され、名門・安城家も没落し、抵当に入れた屋敷までもついに手放す時がきた…。安城家の最後の舞踏会を軸に、チェーホフの『桜の園』を下地に、新旧世代の交代を描き絶賛された傑作。原は父や兄を励ます次女・敦子に扮した。

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誘惑

誘惑1948年/84分/白黒/16mm
◎監督:吉村公三郎◎脚本:新藤兼人◎撮影:生方敏夫◎音楽:木下忠司
◎出演:原節子、佐分利信、杉村春子、芳丘直美、河野祐一、山内明、殿山泰司、西村青兒

◆病身の妻を気遣いながら子供を育てる弁護士の矢島は、恩師の娘・孝子が苦学していることを知り、援助を申し出る…。道ならぬ恋を描きながら、己の幸福を堂々と選択する女性像が鮮やか。ラスト、原の「抱っこ」シーンもいい!

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お嬢さん乾杯

お嬢さん乾杯1949年/89分/白黒/35mm
◎監督:木下恵介◎脚本:新藤兼人◎撮影:楠田浩之◎音楽:木下忠司
◎出演:佐野周二、原節子、佐田啓二、坂本武、村瀬幸子、永田靖、東山千栄子、青山杉作

◆“天上の美女”に恋してしまった男と家のために“成金”の彼を愛そうとする女。戦後ならではの恋模様を軽妙洒脱に描いた傑作風刺コメディ! 元華族で気品高い美しさの原節子、無骨な佐野周二の恋の行方は? 戦後の新時代への木下の熱い吐露!

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白痴

白痴1951年/166分/白黒/35mm
◎監督・脚本:黒澤明◎原作:ドストエフスキー◎脚本:久板栄二郎◎撮影:生方敏夫◎音楽:早坂文雄
◎出演:森雅之、原節子、三船敏郎、志村喬、東山千栄子、文谷千代子、久我美子、千秋実

◆ドストエフスキーの名作を黒澤が全身全霊をかけて作った野心作。コントラストの強い白黒映像によるクローズアップを効果的に使い、素朴で純粋な人間が破滅へと向かう悲劇を謳いあげた。ナスターシャを演じた原の演技の見事さはここに頂点を極める!

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晩春

晩春1949年/108分/白黒/DCP
◎監督・脚本:小津安二郎◎脚本:野田高梧◎原作:広津和郎◎撮影:厚田雄春◎音楽:伊藤宣二
◎出演:原節子、笠智衆、月丘夢路、杉村春子、三宅邦子、桂木洋子

◆父と娘など家族を題材とした日常を淡々と描く後期の小津スタイルが確立された作品。北鎌倉に住む大学教授は、婚期を逃しかけている娘を心配しているが、娘は父を一人にはしたくないとためらう。原節子が小津作品に初めて出演した「紀子3部作」の第1作。

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麦秋

麦秋1951年/124分/白黒/35mm
◎監督・脚本:小津安二郎◎脚本:野田高梧◎撮影:厚田雄春◎音楽:伊藤宣二
◎出演:原節子、笠智衆、淡島千景、菅井一郎、二本柳寛、杉村春子、三宅邦子

◆28歳を迎えた娘の結婚話をめぐる家族らの心情を、多彩な人間関係と細部豊かなエピソードで綴った「紀子3部作」第2作。卓抜なカット割りとシーンつなぎによって、人間の孤独と崩れていく大家族への愛おしい思い、新たな希望が見事に織り重なる。

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東京物語

東京物語1953年/135分/白黒/DCP
◎監督・脚本:小津安二郎◎脚本:野田高梧◎撮影:厚田雄春◎音楽:斎藤高順
◎出演:原節子、笠智衆、東山千栄子、杉村春子、山村聡、三宅邦子、香川京子

◆尾道から都会に住む子供たちを訪ねてきた老夫婦を軸に、戦後日本における家族の崩壊、そして人生の悲哀と深淵を描き、世界No.1映画にも選ばれた永遠の名作。原節子は戦死した次男の未亡人・紀子を演じ、小津監督とともに生涯の最高傑作となった。

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東京暮色

東京暮色1957年/140分/白黒/35mm
◎監督・脚本:小津安二郎◎脚本:野田高梧◎撮影:厚田雄春◎音楽:斎藤高順
◎出演:原節子、有馬稲子、山田五十鈴、笠智衆、高橋貞二、中村伸郎、杉村春子

◆二人の娘を残して母が去った、男手一つの家庭の物語。原は出戻りの姉、妊娠した未婚の妹に有馬。妹が偶然出会った女は、死んだと聞かされていた実の母だった…。人間の孤独を見つめた悲痛な作品で、忘れがたい詩情と余韻に溢れた小津の異色作。

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秋日和

秋日和1960年/128分/カラー/DCP
◎監督・脚本:小津安二郎◎原作:里見弴◎脚本:野田高梧◎撮影:厚田雄春◎音楽:斎藤高順
◎出演:原節子、司葉子、岡田茉莉子、佐田啓二、笠智衆、桑野みゆき

◆亡夫の7回忌を終えた美しい未亡人と、婚期を迎えた娘の間に起きる小さな心の波風を繊細に描き出す。人生の真実にさりげなく触れる晩年の小津の成熟したドラマ。『晩春』の父娘の関係を母娘に置き換えカラー化し、小津の技法の到達点ともいえる完成度を見せた作品。

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君の名は 第一部

君の名は 第一部1953年/127分/白黒/35mm
◎監督:大庭秀雄◎原作:菊田一夫◎脚本:柳井隆雄◎撮影:斎藤毅◎音楽:古関裕而
◎出演:岸惠子、佐田啓二、淡島千景、月丘夢路、小林トシ子、野添ひとみ

◆男女の純真な愛を描き、3千万人という歴史的大ヒットとなった名作ドラマの第1作。大空襲の夜に互いの命を助け合った男と女は名乗り合わずに、半年後、数寄屋橋で再会を約束し別れるが…。運命のすれ違いを繰り返す岸と佐田は一躍大スターに。

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君の名は 第二部

君の名は 第二部1953年/120分/白黒/35mm
◎監督:大庭秀雄◎原作:菊田一夫◎脚本:柳井隆雄◎撮影:斎藤毅◎音楽:古関裕而
◎出演:岸惠子、佐田啓二、淡島千景、北原三枝、月丘夢路、笠智衆

◆男女の純真な愛と波乱、すれ違いの悲愁を描いたメロドラマの第2作。心ならずも別の男性と結婚した眞知子。それを知った春樹は、傷心を抱いたまま北海道へと旅立つ。しかし、真知子の結婚生活はほどなく破綻。春樹に会いに北海道に渡るが…。

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君の名は 第三部

君の名は 第三部1954年/124分/白黒/35mm
◎監督:大庭秀雄◎原作:菊田一夫◎脚本:柳井隆雄◎撮影:斎藤毅◎音楽:古関裕而
◎出演:岸惠子、佐田啓二、淡島千景、月丘夢路、川喜多雄二、市川春代

◆北海道での再会もつかの間、再び引き裂かれた眞知子と春樹。東京に戻った眞知子は、夫との離婚調停を申し出る。運命に翻弄されながらも誠実な愛を貫いた春樹と真知子ははたして結ばれるのか!? 日本中が涙した大ヒットシリーズ完結篇。

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残菊物語 (1963年版)

残菊物語 (1963年版)1963年/カラー/104分/35mm
◎監督:大庭秀雄◎原作:村松梢風◎脚本:依田義賢◎撮影:厚田雄春◎音楽:黛敏郎◎出演:市川猿之助、岡田茉莉子、嵐寛寿郎、津川雅彦、伴淳三郎

◆身分違いの女を愛したため、勘当された歌舞伎役者の復活劇。溝口健二の戦前の名作を名匠・大庭秀雄がリメイク。献身する非運の女性の側から描く。大庭の落ち着いた色調の演出も見事で、献身的な愛を注ぐ岡田の美しさが映える名篇。

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黒い花粉

黒い花粉1958年/98分/カラー/35mm
◎監督:大庭秀雄◎原作:舟橋聖一◎脚本:猪俣勝人◎撮影:生方敏夫◎音楽:池田正義
◎出演:有馬稲子、笠智衆、佐田啓二、菅佐原英一、杉田弘子、水戸光子

◆『君の名は』が空前の大ブームを巻き起こした大庭秀雄が、有馬稲子を主演に描く文芸ドラマ。鉄道自殺を目撃した佐田は参考人として呼ばれた有馬と出会い、やがてふたりは恋に落ちる…。先読みできない波瀾万丈な展開で描かれたメロドラマ。

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鑑賞用男性

鑑賞用男性1960年/89分/カラー/35mm
◎監督:野村芳太郎◎原作:中林洋子◎脚本:水沼一郎◎撮影:中島信雄◎音楽:中村八大
◎出演:有馬稲子、細川ちか子、十朱久雄、杉浦直樹、仲谷昇、芳村真理

◆宝塚出身の有馬が軽やかな身のこなしでコメディエンヌぶりを発揮したモード喜劇の快作。実際にパリ帰りだった有馬のコケティッシュな魅力が炸裂。デザイナーの中林洋子のエッセイを原案に、当時の流行ファッションも必見。監督は野村芳太郎!

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恋の画集

恋の画集1961年/83分/白黒/35mm
◎監督・脚本:野村芳太郎◎原作:佐野洋◎脚本:山田洋次◎撮影:川又昂◎音楽:池田正義
◎出演:川津祐介、桑野みゆき、佐野周二、藤間紫、鳳八千代、炎加世子

◆野村芳太郎の軽妙洒脱なセンスが光る恋愛コメディの傑作。桑野に結婚を急かされた川津は、その資金稼ぎに不倫カップルへの恐喝を企てるが…。『青春残酷物語』で当時ヌーヴェル・ヴァーグの象徴となった桑野と川津コンビの実に楽しい快作!

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上陸第一歩

上陸第一歩1932年/88分/白黒/16mm
◎監督:島津保次郎◎脚本:北村小松◎撮影:桑原昴、水谷至宏◎録音:土橋晴夫、土橋武夫
◎出演:水谷八重子、岡譲二、江川宇礼雄、河村黎吉、飯田蝶子、沢蘭子

◆新派悲劇から現代の人々を等身大に描く「蒲田調」の先駆的存在・島津の初本格的トーキー作品。米国のスタンバーグ監督『紐育の波止場』(28年)を翻案したメロドラマで、船員と酌婦の慕情をドラマチックに描いた佳作。若き初代水谷八重子は必見!

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家族會議

家族會議1936年/76分/白黒/16mm
◎監督:島津保次郎◎原作:横光利一◎脚本:池田忠雄◎撮影:桑原昴、水谷至宏◎音楽:早乙女光
◎出演:佐分利信、及川道子、高杉早苗、高田浩吉、桑野通子

◆蒲田から大船に撮影所を移転した第1作。横光原作をもとに、兜町で活躍する株屋の重住(佐分利)の熾烈な株屋同士の争いと恋の行方を描いた壮大なメロドラマ。原節子以前に「永遠の処女」と呼ばれ26歳で夭逝した及川道子の遺作。中村登もリメイク版を監督。

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残菊物語 (1939年版)

残菊物語 (1939年版)1939年/143分/白黒/DCP
◎監督:溝口健二◎原作:村松梢風◎脚本:依田義賢◎撮影:三木滋人、藤洋三◎美術:水谷浩◎音楽:深井史郎◎出演:花柳章太郎、森赫子、高田浩吉、伏見信子、梅村蓉子、河原崎権十郎

◆歌舞伎界の御曹司と女中の許されざる恋を描いた、巨匠・溝口健二監督による映画史上に残る愛の名作。船乗り込みをする菊之助のラストの素晴らしさたるや! 溝口健二のワンシーンワンカットの長回し撮影が確立した記念碑的作品。

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彼岸花

彼岸花1958年/118分/カラー/DCP
◎監督・脚本:小津安二郎◎脚本:野田高梧◎撮影:厚田雄春◎音楽:斎藤高順
◎出演:佐分利信、山本富士子、有馬稲子、久我美子、田中絹代、桑野みゆき

◆娘の縁談に気を揉む父親と父親に構わず自身の結婚相手を決めてくる娘。小津安二郎監督にとって初めてのカラー作品であり、小津映画で有名な赤いやかんは本作から登場。小津が好んだドイツのアグファカラーの落ち着いた発色が鮮やかに甦る。

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お早よう

お早よう1959年/94分/カラー/DCP
◎監督・脚本:小津安二郎◎脚本:野田高梧◎撮影:厚田雄春◎音楽:黛敏郎
◎出演:佐田啓二、久我美子、笠智衆、三宅邦子、田中春男、杉村春子、沢村貞子

◆戦後の庶民生活を活写し喜劇作家としての手腕が冴える小津監督第50作。新興住宅地で暮らす一家を舞台に、出始めたばかりのテレビをせがむ子供たちはだんまりのストを決行する…。「あの子どもが全共闘世代になった」内田樹さんが自らを投影し、絶賛した傑作。

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秋刀魚の味

秋刀魚の味1962年/113分/カラー/DCP
◎監督・脚本:小津安二郎◎脚本:野田高梧◎撮影:厚田雄春◎音楽:斎藤高順
◎出演:笠智衆、岩下志麻、佐田啓二、岡田茉莉子、岸田今日子、三上真一郎

◆妻に先立たれた夫、娘を嫁に出す父親という、戦後小津監督が描き続けてきたモチーフを、「老いと孤独」というテーマとともに、喜劇的に描いた小津安二郎監督の遺作。うらぶれた教師と娘、海軍時代の部下、戦後的な息子夫婦など主筋以外も見事!

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カルメン故郷に帰る

カルメン故郷に帰る1951年/86分/カラー/DCP
◎監督・脚本:木下惠介◎撮影:楠田浩之◎美術:小島基司◎音楽:木下忠司
◎出演:高峰秀子、小林トシ子、佐野周二、井川邦子、佐田啓二、笠智衆、坂本武

◆木下惠介と高峰秀子の初コンビ作にして、日本初のカラー長編劇映画。浅間山の大自然を背景に繰り広げられるストリッパー、カルメンの故郷への凱旋を綴った傑作コメディ。2015年に再修復が行われ、鮮やかなカラー作品となって甦る!

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バナナ

バナナ1960年/90分/カラー/35mm
◎監督:渋谷実◎原作:獅子文六◎脚本:斎藤良輔◎撮影:長岡博之◎音楽:黛敏郎
◎出演:岡田茉莉子、津川雅彦、尾上松緑、杉村春子、宮口精二、小池朝雄

◆バナナ輸入のライセンスをとり一儲けしようとする華僑の息子・津川とその恋人・岡田を巡る物語。小津、木下とともに三大巨匠と呼ばれた渋谷実。モダンでシニカルな作品が特徴だが、本作は岡田茉莉子のコメディエンヌぶりが楽しい都会派ユーモア作品。

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京化粧

京化粧1961年/96分/カラー/35mm
◎監督・脚本:大庭秀雄◎原作:近松秋江◎脚本:斎藤良輔◎撮影:石本秀雄◎美術:芳野尹孝◎音楽:池田正義◎出演:山本富士子、佐田啓二、岩下志麻、山田百合子、千之赫子、浪花千栄子、清川虹子、川津祐介、藤山寛美

◆京都を舞台に、ひたむきな男の恋情にうちふるえる芸妓との悲恋を描いた哀愁漂うメロドラマの秀作。美しくも哀れな祇園の芸妓に扮した山本富士子が絶品。大庭監督は、『君の名は』で知られる松竹を代表する職人監督。その弟子が大島渚!

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猟銃

猟銃1961年/98分/カラー/35mm
◎監督:五所平之助◎原作:井上靖◎脚本:八住利雄◎撮影:竹野治夫◎音楽:芥川也寸志
◎出演:山本富士子、岡田茉莉子、佐田啓二、佐分利信、鰐淵晴子、柳永二郎、乙羽信子、田浦正巳

◆井上靖原作を山本富士子、岡田茉莉子、佐田啓二、佐分利信ら名優が結集し、映画化した文芸メロドラマ。愛憎に揺れる微妙な女の心理、男と女の愛と妄執、そして恩讐の彼方…。巨匠・五所平之助が豪華キャストで贈る傑作。名優たちの演技合戦が見事!

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女の坂

女の坂1960年/107分/カラー/35mm
◎監督:吉村公三郎◎原作:沢野久雄◎脚本:新藤兼人◎撮影:宮島義勇◎音楽:黛敏郎◎出演:岡田茉莉子、乙羽信子、真木康次郎、佐田啓二、澤村國太郎

◆京都の老舗和菓子屋に相続人として継ぐことになった現代娘が、京菓子の伝統に魅せられてゆき、次第に京おんなとして成長していく姿を描く。女性映画の名手・吉村公三郎は島津門下で名作多数。 岡田茉莉子の溌剌とした存在感が素晴らしい!

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鐘の鳴る丘 隆太の巻

鐘の鳴る丘 隆太の巻1948年/81分/白黒/35mm
◎監督:佐々木啓祐◎原作:菊田一夫◎脚本:斎藤良輔◎撮影:森田俊保◎音楽:古関裕而
◎出演:佐田啓二、本尾正幸、野坂頼明、前田正二、芝田幸雄

◆戦後まもなく菊田一夫が戦災孤児救済をテーマにしたラジオドラマの映画化。生き別れとなった弟を捜す復員兵が、戦災孤児たちと自分たちの家をつくる感動篇。佐々木啓祐は蒲田から大船で活躍した職人監督。『鐘の鳴る丘』は続編が2本作られた。

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幸福な家族

幸福な家族1959年/74分/白黒/35mm
◎監督:原研吉◎原作:武者小路実篤◎脚本:松山善三、馬場当◎撮影:森田俊保◎音楽:加藤三雄
◎出演:石浜朗、小山明子、斎藤達雄、水戸光子、九条映子

◆清らかに愛しあう若い男女と、彼らを温かい眼差しで見守る家族の日常を綴ったホームドラマ。武者小路文学の名篇を映画化したもので、善意の人々が織りなす物語を、ユーモアと明るい詩情で描きあげた。詩人スタイルのいでたちで異彩を放った原研吉の秀作。

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大東京誕生 大江戸の鐘

大東京誕生 大江戸の鐘1958年/117分/カラー/35mm
◎監督:大曾根辰保◎脚本:猪俣勝人他◎撮影:石本秀雄◎音楽:木下忠司◎出演:高田浩吉、瑳峨三智子、新珠三千代、澤村國太郎、島田正吾、近衛十四郎

◆慶応から明治へと至る日本歴史の大転換期、無血開城して大政奉還するまでの江戸の動乱を「風雲篇」「開花篇」の二部構成で描く。松竹時代劇35周年を記念して、松竹京都の雄・大曾根辰保が映画化。映画、歌舞伎の豪華キャストが結集した超大作。

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夜の片鱗

夜の片鱗1964年/106分/カラー/35mm
◎監督:中村登◎原作:太田経子◎脚本:権藤利英◎撮影:成島東一郎◎音楽:日暮雅信
◎出演:桑野みゆき、平幹二朗、園井啓介、岩本多代、富永美沙子

◆可憐な女工がヤクザにだまされ、街娼にまで堕ちていく…。女性映画の名匠・中村が松竹ヌーヴェル・ヴァーグ世代を意識した、性と暴力の衝撃作。そのスタイリッシュな映像と溢れる抒情性で再評価が進む傑作。桑野の伸びやかなうなじが美しい!

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千万長者の恋人より 踊る摩天楼

千万長者の恋人より 踊る摩天楼1956年/92分/カラー/35mm
◎監督・脚本:野村芳太郎◎脚本:光畑碩郎◎撮影:井上晴二◎音楽:松井八郎、鏑木創
◎出演:古川緑波、川喜多雄二、越路吹雪、高橋貞二、朝丘雪路、日守新一、藤乃高子、大木実、有馬稲子、中川弘子、浅茅しのぶ


◆野村芳太郎は洒落たミュージカルコメディも作っていた! 華やかなテレビショーの舞台裏で起きる恋愛騒動を軽やかに描くミュージカル仕立ての恋愛コメディー。弟のために一肌脱ぐ越路吹雪のコメディエンヌぶりも絶品!

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最後の切札

最後の切札1960年/93分/カラー/35mm
◎監督:野村芳太郎◎原作:白崎秀雄◎脚本:橋本忍◎撮影:川又昂◎音楽:芥川也寸志
◎出演:佐田啓二、桑野みゆき、小田切みき、芳村真理、宮口精二

◆とはいってもやっぱり野村芳太郎のサスペンスは絶品! いかがわしい新興宗教と、それにたかる腹黒い連中の駆け引きを描くピカレスク活劇。2つの顔を持つ小悪党の主人公を佐田啓二が怪演。橋本忍の脚本による、野村芳太郎の隠れた秀作である。

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この広い空のどこかに

この広い空のどこかに1954年/111分/白黒/35mm
◎監督:小林正樹◎脚本:楠田芳子、松山善三◎撮影:森田俊保◎音楽:木下忠司
◎出演:佐田啓二、久我美子、高峰秀子、石浜朗、浦辺粂子、内田良平、大木実

◆今年生誕100年を迎えた巨匠・小林正樹監督が、師である木下惠介の妹・楠田芳子のオリジナル脚本を映画化。 川崎で酒屋を営む一家の貧しくても懸命に生きる姿をいきいきと描いたホームドラマの名作。名優たちの演技も素晴らしい!

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ハイ・ティーン

ハイ・ティーン1959年/107分/白黒/35mm
◎監督:井上和男◎原作:上田平雄◎脚本:山内久◎撮影:長岡博之◎美術:浜田辰雄◎音楽:真鍋理一郎
◎出演:佐田啓二、桑野みゆき、神山繁、小林トシ子、戸塚雅哉、杉浦直樹、三上真一郎、桜むつ子、加藤武、東野英治郎

◆佐田啓二が、手のつけられない不良たちのクラスを受け持った高校教師を演じる、爽やかな青春ドラマ。教え子に当時売り出し中の桑野みゆき。井上監督は、“蛮さん”の愛称で知られ、師匠だった小津のドキュメンタリーも残している。

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青春残酷物語

青春残酷物語1960年/96分/カラー/DCP
◎監督・脚本:大島渚◎撮影:川又昂◎美術:宇野耕司◎音楽:真鍋理一郎
◎出演:桑野みゆき、川津祐介、久我美子、浜村純、小林トシ子、佐藤慶、山茶花究

◆“松竹ヌーヴェル・ヴァーグ”の始まりを告げる巨匠・大島渚監督の鮮烈な青春映画。リンゴを丸々かじるシーンは青春の挫折と喪失を描き、伝説となった。ゴダールが「大島渚の『青春残酷物語』が真のヌーヴェル・ヴァーグだと思う」と評す衝撃作。

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日本の夜と霧

日本の夜と霧1960年/107分/カラー/35mm
◎監督・脚本:大島渚◎脚本:石堂淑朗◎撮影:川又昂◎音楽:真鍋理一郎
◎出演:桑野みゆき、津川雅彦、渡辺文雄、小山明子、芥川比呂志、戸浦六宏、佐藤慶

◆安保闘争で出会った男女の結婚披露宴に集まった人々の暴かれる過去の内実。安保闘争を巡る新旧世代による痛烈なディスカッションドラマ。ヌーヴェル・ヴァーグの旗手と呼ばれながらも公開4日目で上映中止となり、大島は松竹を退社することになった。

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血は渇いてる

血は渇いてる1960年/87分/白黒/35mm
◎監督・脚本:吉田喜重◎撮影:成島東一郎◎美術:佐藤公信◎音楽:林光
◎出演:佐田啓二、岩崎加根子、三上真一郎、芳村真理、織田政雄、佐野浅夫、柏木優子

◆首切りに抗議して、社長の前で拳銃自殺を図ろうとする男。彼はマスコミに注目され、英雄扱いされるが…。現在につながるマスコミ報道の問題に迫る吉田の第2作。傑作ながら『日本の夜と霧』の併映だったがゆえに、公開中止に追い込まれた幻の映画。

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乾いた湖

乾いた湖1960年/87分/カラー/35mm
◎監督:篠田正浩◎原作:榛葉英治◎脚本:寺山修司◎撮影:小杉正雄◎音楽:武満徹
◎出演:三上真一郎、岩下志麻、山下洵一郎、高千穂ひづる、炎加世子


◆60年安保闘争で揺れる大学を背景に、大衆運動を軽蔑し自堕落な生活に溺れるひとりの青年の破滅を描く。大島、吉田、高橋らとともに“松竹ヌーヴェル・ヴァーグ”を代表する篠田の第2作。当時まだ無名だった寺山修司の脚本デビュー作でもある。

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七人の刑事 女を探がせ

七人の刑事 女を探がせ1963年/86分/白黒/35mm
◎監督・脚本:高橋治◎脚本:成田孝雄◎撮影:加藤正幸◎音楽:山下毅雄
◎出演:堀雄二、芦田伸介、菅原謙二、佐藤英夫、高千穂ひづる、田村高廣、十朱幸代

◆“松竹ヌーヴェル・ヴァーグ”の一人で、その後、小説家として活躍し、昨年亡くなった高橋治の松竹時代の監督作。人気刑事ドラマの映画版第二弾。二つの殺人事件を巡ってお馴染みの七人の刑事が活躍。こんな映画に出会えるから映画はやめられない!

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馬鹿まるだし

馬鹿まるだし1964年/87分/カラー/35mm
◎監督・脚本:山田洋次◎原作:藤原審爾◎脚本:加藤泰◎撮影:高羽哲夫◎音楽:山本直純
◎出演:ハナ肇、桑野みゆき、花澤徳衛、清水まゆみ、犬塚弘

◆「男はつらいよ」につながる山田喜劇の原点となったハナ肇主演「馬鹿シリーズ」第一作。瀬戸内の小さな町にやって来たシベリア帰りの風来坊が巻き起こす騒動記。ハナが惚れる未亡人・桑野みゆきの清楚なマドンナぶり! 山田洋次初期の傑作。

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小さなスナック

小さなスナック1968年/83分/カラー/16mm
◎監督:斎藤耕一◎原作:◎脚本:桜井義久◎撮影:竹村博◎美術:梅田千代夫◎音楽:今井久
◎出演:藤岡弘、尾崎奈々、清水将夫、高橋昌也、パープル・シャドーズ、ジュディ・オング、ビレッジ・シンガーズ

◆恋人の秘密が2人の恋の行く手を妨げる…。鮮烈なカメラワーク、甘く爽やかなメロディー、グループサウンドがいっぱいの今は懐かしの青春ポップス映画。“日本のクロード・ルルーシュ”と呼ばれた映像派・斎藤耕一の初期佳作。

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