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いきなり、「続」と振られても、なんのこっちゃ、と思われるでしょう。シネ・ヌーヴォ代表・景山理さんによると、わたしが、「酔余の一滴」と題した駄文を、ここに寄せたのは、20年前だったとのこと。どなたも憶えていらっしゃらないと思いますが、わたし自身、忘れていました。ただ、わたしには、このところ「続」というのがついてまわるようで。昨年、今までに書いた映画評を集めた『黄昏映画館』(国書刊行会)という本を出したところ、出版社のリトルモアから、そのHPに、続編を書かないかという声がかかり、昨年8月から、映画評を連載しております。
ですが、「続」は、もともと映画につきものだったのです。『座頭市物語』の第二作が『続・座頭市物語』、『悪名』の第二作が『続・悪名』、そして3作目が、いずれも「新・・・」という具合に。これを連発したのが、今回、特集となる大映です。なんとも芸のないネーミングですが、それは、一本作ってみて、手応えありと感じたら、題名を考える前に、それ、2本目行け、シリーズ化するぞ、と、経営陣が監督以下のスタッフの尻を叩いて走らせるくらい映画会社に勢いのあった、プログラム・ピクチャー全盛期なればこそです。
その大映ですが、誰もが知る、溝口健二や伊藤大輔といったビッグ・ネームの巨匠が年に一作の大作を作る一方で、森一生、三隅研次、田中徳三、池広一夫といった手練れの職人監督に加え、イタリアで映画を学んだ増村保造のような人たちが、当てがいぶちの題材から、スターを存分に生かしつつ、己が工夫を凝らした秀作、傑作を量産してきたのです。
シネ・ヌーヴォの今回の特集には、その粒ぞろいの作品がずらりと並んでいて、公開当時にほとんど見ているわたしにしても、今一度、スクリーンで出会いたいものばかりです。映画ファンたるもの、これを見逃したら、一生、後悔しますぜ!
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